Ψ筆者作「エマニュアル二世橋」 F20 油彩

「政治」はその最たるものであるが、そも虚しさの最大の例が先の太平洋戦争である。本邦は明治期以降欧米に追いつくべく「殖産興業・富国強兵」の国策の下、急激な近代化を急いだ。その基礎となる教育では、「教育勅語」により徹底的な皇国思想が叩き込まれ、天皇は神、国は神国、忠君愛国は国民の義務とされた。男は「大和男子(ヤマトオノコ)、もののふ(武士)」、女は「やまとなでしこ」などととおだて上げられ、それはやがて国民精神総動員の精神訓となり、「鬼畜米英」、「撃ちてし止まん」、「一億玉砕」など威勢のよいスローガンとなり、これに反対するものは「非国民」「売国奴」などのレッテルが貼られ投獄さえされた。そして「ヒロシマ・ナガサキ」に至る亡国的戦禍により300余万の人命が失われたのである。

 しかし、ひとたび敗戦が決まると、時を経ずして、アメリカ様々、アメリカは永遠のパートナーとなり、世界でも冠たる対米隷属の国家となったのである。まさに世界史にも稀な、180度のご都合主義的大転換である。

 その有様を戦没者は見ることができない。しかし「英霊の声」というものがあったら、「そりゃねーぜ!何のために俺たちは死んだんだ!」と怒り心頭に発するだろう。どう慰霊の後付けの言葉をかけても取り返しはつかない。そして問題は、この御都合主義的大転換そのものについてはを政治家も国民も誰も総括、検証をしていないのである。

 つまり、政治がその良い例であるが現象とはかくも御都合主義でいい加減で無責任であり、流される者が取り返しのつかないバカを見る。前記戦前の本邦のあり方から戦争までを肯定する傾向が昨今目に着く。歴史修正主義者と呼ばれる右翼保守陣営一派である。しかしそれなら現下の「対米隷属」を先ず否定すべきであろう。アメリカの言うことはなんでも聞くのみならず、その力を当てにしつつ、虎の威を借る狐のごとく、小判鮫のごとく、中韓向けにだけ威勢のよいことを言う。繰り返すが、アメリカはこの国に原子爆弾を落とし、東京以下大都市への大量無差別破壊空襲をした国である。それを永遠のパートナーとは恐れ入谷の鬼子母神、喉元過ぎれば熱さを忘れる、呆けとしてたらどこへ持っていかてるか分かったものではない。政治のいい加減さご都合主義はまだある。