Ψ筆者作「ヴェッキオ橋とアルノ川」 M10 油彩
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《…安保法制や改憲、昨今の共謀罪について、その陣営の主たる論拠は「万一に備える」ということである。その「備え論」が本当なら、オリンピックなど招致できるはずがない。
以下は「巨大地震」の可能性に触れた記事の列挙である。
「国の機関である地震調査研究推進本部は、平成255月に南海トラフの地震活動の長期評価を見直しましたその結果、南海トラフのどこかで発生する巨大地震の長期評価は、地震規模がM8930年以内に発生する確率は6070%となりました。この確率は大変高いものです。

「経済的な被害は220兆円。国家予算2年分を上回り、東日本大震災の13倍に相当する。東海沖から九州沖の「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の被害想定である。衝撃的な数字だ。」
「今後30年以内の発生確率は、東南海地震70~80%、南海地震60%、東海地震88%とされる。

「首都直下型のM8クラスの巨大地震は、約200年周期で発生していると考えられています。その巨大地震の発生後、約80100年の静穏期を経て、再び活動期に入る。活動期に入ればM7クラスの地震が頻発し、最後にM8クラスの巨大地震が発生します。1923年の関東大震災から現在までの東京が静穏期だとすると、そろそろ活動期に突入するM7クラスの地震はいつ起こっても不思議ではない。」
「首都直下地震の被害対策を検討してきた国の有識者会議は20131219日、30年以内に70%の確率で起きるとされるマグニチュード(M7級の地震で、最悪の場合、死者が23000人、経済被害が約95兆円に上るとの想定を発表した」
中略そう言う中何故オリンピックなど招致できるのか?「美しい国日本への愛国心」を言うなら、現に国土を汚染させ、生活の場を奪った原発について、世界でも希な四つプレートが交錯し、しかも数多の活火山を擁する全日本的危険因子として捉えるべきであるのに何故再稼働を図るのか。さらに、日本海側に東から西まで連なる原発が仮想敵国から攻撃されたら、核攻撃を受けるのと同じことになる横須賀を母校とする米原子力空母が巨大津波で打ち上げられたら、東京、横浜はどうなる!少なくとも「防衛」と関連した「防災」の想定情報は、重要なものであるにもかかわらず一切知らされていない。こうしたことは「想定外」では済まない。中略…念のために言うが「30年以内」とは、「30年後」ではなく、今日只今起こっても不思議でないということだ。しかも昨今の自然界や気象の出方は尋常ではない。火山も活断層も活動期に入っているとの分析もある。
 上記記事を読んだだけで普通の神経を持った人間なら(!)、そういう状況下で果たしてオリンピックを招致することが合理的で適切な判断であるかどうかを思い及ぶはずだが、不思議なことにそんな話はマスコミからは一切聞こえてこない。「オモテナシ」がどうしたなど言っている御仁らはどう責任とるのだろうか?
 中略…もう一度書いておこう。こういう中で、正に「一か八か」のごとく、オリンピックを呼ぼうなど正気の沙汰とは思えない。2020年までに大震災が本当に起こるか否かは問題ではない。「国民の生命財産を守るため万一に備えるのが政治の責任」と言うならオリンピックなど呼べるわけはない。そうでなければ、例えれば「安保法」云々で上半身は鎧を纏っているが、下半身はフルチンで身構えるようなものなのだ!… 要するに、総てご都合主義、都合の悪いことは考えない、あるいは自分たちの都合の良いように考える、国民には知らせない。これが「現象」たる政治である。
  ところで、空蝉」(うつせみ)とは現身(うつしみ)をかけた、儚いものを指す美しい古語であるが、忖度あろうが、暴言吐こうが、強行採決しようが、身辺の満足や世襲や話題性や利害関係に政治的判断の価値基準がある、選挙のたびに「ジミン、ジミン」と鳴くセミは、思考回路の欠落した「空(から)蝉」であろう。
(つづく)