Ψ筆者作「コロッセオ2」 F20 油彩
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  《先の戦時、その国策のため日本及び日本人精神論が声高に叫ばれた。曰く「神国日本」「八紘一宇」「鬼畜米英」「撃ちてし止まん」「一億玉砕」これに反対するものは「非国民」「国賊」のレッテルを貼られ有形無形の制裁が科されたのである。その結果、内外300余万の戦争犠牲者を出した。ところがひとたび降伏文書に署名するや一朝にして、「アメリカ様様、永遠のパートナー」となり、世界に抜きんでる「対米追従」の国となる。一瞬にしての180度の国家的大転換である。
  一体あのスローガンや精神論は何だったのか、何のために300万は死んだのか、この、真の戦争責任と史上稀な壮大な方針転換について、実は政治家からも国民からもはっきりとした総括はなされていない。曖昧なままなのである。…》
  総ては先ずここから始まる。本質に係る議論を避け、目先の現象の利益だけに走ったご都合主義が、戦後のこの国の政治の底流にある。上記「何のために三百余万の人間が死んだのか」を考えれば、次にその死を無駄にしないためにはどうしたら良いかを考えるのがまともな発想である。筋の通った答えは二つ、アメリカ等戦勝国にリベンジするか、もう戦争は絶対しないかを決意するかである。現下の総保守翼賛体制はその両方ともでない。
  アメリカは戦後大きな戦争を三っつしている。「朝鮮戦争」、「ベトナム戦争」、「中東・イラク戦争」である。そしてそのことごとくが何の解決も見ていない。朝鮮戦争は分断国家の悲劇を生んだし、未だに戦争状態で周知のような一触即発の緊張した状況にある。ベトナムは多大の犠牲者を生んだだけの完全敗退と言える。中東の不安定は一層強まり、周知のごとくテロや難民は増え続けている。
  アメリカが「正義と民主主義の担い手」たる「世界の警察」として世界各地で軍隊を動かしているのは周知の通り。したがって上記結果を見ても、「永遠のパートナー」たるアメリカの世界戦略に乗ることはリスク大きく、危険極まりないことと普通は考えること。「アメリカは強いから心配ない」というのは、「勝ち馬に乗る」という姑息なコバンザメ根性以外のなにものでもない。
  ともかく、先に述べた、「筋の通った答えは二つ、アメリカ等戦勝国にリベンジするか、もう戦争は絶対しないかを決意するか」ということにつき、前者は不可能である。アメリカに伍する軍備を整えた軍事大国など望むべきもないことだし、国民生活などめちゃくちゃとなる。国土面積の差もさることながら、アングロサクソン、ユダヤ等のグローバルネットワーク包囲網まで敵にしきれない。
その一方で、頭のてっぺんからケツの穴までアメリカに占領され、原爆投下等の無差別大量殺戮には何も言わず、アメリカ流モノカネ主義に頭を撫でられ骨抜きにされ、強いものには何も言えない、長いものには巻かれながら、「中・朝(韓)向け」にだけ国家の独立や尊厳、威勢の良い「日本・日本人精神論」を振りまき、虎の威を借る狐のごとき軍備の要を叫ぶは正にご都合主義、ニセ愛国者も甚だしい。
対米隷属下、憲法9条や自衛隊を弄り回して筋の通らない緊張状態を作り出し、鎧兜着用で平和云々など言っても相手国には通用しない。それらを戦後70年の事実、実存として上記後者の道を懸命に探る以外に本邦の平和は維持できないと考える。
 (つづく)