先ず既出拙文からの抜粋(一部編集)
「御都合主義はまだある。「別腹」ということばがあるが、これは御都合主義というより「別脳」というべきだろう。二者を同一の頭脳で考えるというのではなく、それぞれ都合の良い別の頭脳で考えるのである。例えば、「万一日本が攻撃された時のことを考え防衛戦力を整備する」というのなら、万一「日本にかの東北大震災のような災害が起こったらどうするか」も同じ発想で考えるべきである。しかもそれは万一ではない。…中略(趣旨以下)…そう言う中何故オリンピックなど招致できるのか?「美しい国日本への愛国心」を言うなら、現に国土を汚染させ、生活の場を奪った原発について、世界でも希な四つプレートが交錯し、しかも数多の活火山を擁する全日本的危険因子として捉えるべきであるのに何故再稼働を図るのか。さらに、日本海側に東から西まで連なる原発が仮想敵国から攻撃されたら、核攻撃を受けるのと同じことになる、(ちなみにこの問題は昨日7月30日、参議院において山本太郎議員によりやっと取り上げられた。(2015.8.1時点))横須賀を母校とする米原子力空母「ジョージ・ワシントン」が巨大津波で打ち上げられたら、東京、横浜はどうなる!(少なくとも「防衛」と関連した「防災」の想定情報は、重要なものであるにもかかわらず一切知らされていない)こうしたことは「想定外」では済まない。…」
次に「巨大地震」の可能性に触れた記事である。(一部編集)
≪国の機関である地震調査研究推進本部は、平成25年5月に南海トラフの地震活動の長期評価を見直しましたその結果、南海トラフのどこかで発生する巨大地震の長期評価は、地震規模がM8~9、30年以内に発生する確率は60~70%となりました。この確率は大変高いものです。しかし、次に南海トラフで起きる地震の規模は、M8からM9の間で、発生場所も南海トラフの全域か、ある一部なのか、現時点では評価できないことになったのです。 ≫
≪経済的な被害は220兆円。国家予算2年分を上回り、東日本大震災の13倍に相当する。東海沖から九州沖の「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の被害想定である。衝撃的な数字だ。
≫
≫
≪今後30年以内の発生確率は、東南海地震70~80%、南海地震60%、東海地震88%とされる。≫
≪首都直下型のM8クラスの巨大地震は、約200年周期で発生していると考えられています。その巨大地震の発生後、約80~100年の“静穏期”を経て、再び“活動期”に入る。活動期に入ればM7クラスの地震が頻発し、最後にM8クラスの巨大地震が発生します。1923年の関東大震災から現在までの東京が静穏期だとすると、そろそろ活動期に突入する。M7クラスの地震はいつ起こっても不思議ではない。≫
≪首都直下地震の被害対策を検討してきた国の有識者会議は2013年12月19日、30年以内に70%の確率で起きるとされるマグニチュード(M)7級の地震で、最悪の場合、死者が2万3000人、経済被害が約95兆円に上るとの想定を発表した≫
念のために言うが「30年以内」とは、「30年後」ではなく、今日只今起こっても不思議でないということだ。しかも昨今の自然界や気象の出方は尋常ではない。火山も活断層も活動期に入っているとの分析もある。
上記記事を読んだだけで普通の神経を持った人間なら、そういう状況下で果たしてオリンピックを招致することが合理的で適切な判断であるかどうかを思い及ぶはずだが、不思議なことにそんな話はマスコミからは一切聞こえてこない。「オモテナシ」がどうしたなど言っている御仁らはどう責任とるのだろうか?
(後に「新国立」について、北京、ロンドンの4~5倍にも及ぶという費用を最初聞いた時には唖然としたが、流石にこれは見直しとなった)
これに莫大な費用をかけ、大震災で文字通り灰燼に帰したら国家財政はどうなることか!政治家や官僚等には所詮自分の懐の痛む金ではないので深刻に考えることもないのだろう。
では何故、たかだか20日間程度の「国際運動会」に国を挙げて大騒ぎすののだろうか?内外の観戦、観光の人的量など、大規模な道路や施設の建設、インフラ整備などの必要性を伴うものであるはずがない。「原発」の必要性の論理も「経済のため」だったが、これも「経済効果」と日本の「国際的地位」誇示のためなのである。つまり、競走馬の鼻先に人参をぶら下げるごとく、何か目標を作りそれに向かってまい進させようという、「国家管理」上の都合なのである。
1965年「東京五輪」は戦後の復興と高度経済成長を象徴するものとにしての相応の意義はあったかもしれない。一部インフラの整備もその後に生かされた。しかし今回は違う。都合の良い側面だけを考え、都合の悪い側面は無視した、全くその大義のないもの。
今般冬季五輪立候補を取りやめたアメリカは昔「デンバー五輪]も住民投票で返上した。「エンブレム」のオリジナリティーも怪しくなっていることだし、「対米追随」は「国策」だし、膨大な金もかかるし、いっそ返上したら!?
(2015.8.1)
もう一度書いておこう。こういう中でオリンピックを呼ぼうなど正気の沙汰とは思えない。2020年までに大震災が本当に起こるか否かは問題ではない。「国民の生命財産を守るため万一に備えるのが政治の責任」と言うならオリンピックなど呼べるわけはない。そうでなければ、例えれば「安保法」云々で上半身は鎧を纏っているが、下半身はフルチンで身構えるようなものなのだ!↓
≪東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)の最大級の巨大地震について内閣府は29日(2013年)、死者は関東以西の30都府県で最大32万3000人に達するとの被害想定を公表した。マグニチュード(M)9・1の地震で最大34メートルの津波が太平洋岸を襲い、震度7の強い揺れなどで最大約238万棟が全壊・焼失すると推定。東海地方から九州までの広い範囲で甚大な被害の恐れがあり、国や自治体に防災対策の抜本的な強化を迫るものとなった。≫
Ψ筆者作「大都会の無題」 F120 油彩(分割表示)


