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Ψ 筆者作「生神女福音」 テンペラ・グラッサ   縦長変形パネル
 前回のテンペラは鶏卵の黄身のみを使用していたが今回のは全卵であり、油性分を含む。グラッサはルネッサンス期のイタリアを中心とし、ボッティチェルリがその代表格である。油性分をまぜたマヨネーズ状のメデューム作り、顔料をこれで溶き水で希釈しながら描く。大量の油分を含みながら水で希釈できるという、水と油の常識を覆す技法であるが、これはメデュームのエマルジョン性による。
 同じ全卵でもミスタは北方フランドル中心の技法。テンペラによる描きおこしと油性の透層を交互に行う。今日の混合技法はこれが多い。
 上掲作品は東方イコンでは類型化され、繰り返し作られたテーマの一つであるが、これを自己流のものとし、古さをイメージした若干の作為を施した。
材料
〇支持体 板、麻布、砥の粉、硫酸カルシウム
〇描画  顔料、金箔
〇媒材  鶏卵、スタンドオイル、ダンマル樹脂、テレピン 
(つづく)