
周知のように「風景画」は造形世界に一番遅く表れたジャンルである。一口に風景画と言ってもその意義内容は幅がある。例えば最もポピュラ―なものは風景をそのまま描写する、文字通りの「風景描写主義」だろう。勿論これも高い技術を背景とした成功したものは十分芸術であるが、これが一皮剥けたのが画家の造形思想や美意識が全面に出た「自然解釈主義」と呼ぶべき傾向である。ターナー、コロー、セザンヌ、ヴラマンクなどの系列で括られるだろうが、印象派風景画もそう考えるとそうだろう。以前から個人的にはもう一つイメージするものがあった。それは自然を構成する個々のモティーフの持つ造形性への着目によりアプローチできる。それは「原理」とか「本質」とか言えそうなものを引っ張り出すことになるので、筆者は「原理抽象主義」とちょっと大仰な名前で呼ぶ。最近、自然が発するその根源的なメッセージを捉えるには意外にも情緒的なものではなく純造形的工夫を以てすると感ずるようになった。
ともかく、新設ギャラリーに一定傾向の作品をまとめ、今後そうした方向の価値を希求する資料にしたい。
◎作品は新作、既表示込み