イメージ 1Ψ 筆者作 「野の道」 F20 油彩
 
ともかくその過程においては、これは功罪相半ばする。開き直れるし、諸々楽になると言えば楽だが、無理をすれば、出口のない自己閉塞に陥ったり、「生命活力」が低下した危険な状態となる可能性を含む。世間に数多ある自殺やうつ病もその一つの結果だろう。
 問題はその透けた向こうに何が見えるか、何が設定できるかということである。例えばコロ―の絵の魅力はその「超越性」にある。光源をモティーフの向こう側に設定し、文字通り透けて見える「銀灰色」から、単なる自然描写を超越したイメージ世界が広がる。タルコフスキ―の映像世界もそのイマジネーションに通ずるだろう。「惑星ソラリス」や「ストーカー」の中の「ゾーン」と呼ばれる空間も「現象」の背後にある、それを超越した「真実」をイメージさせる。
 と考えると自分がそういう世界に近づくためには、現象や社会的存在としての自我が透明化するのは悪いことではない。