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Ψ 筆者作「ラブのいる森」 F12 油彩
 
 別項で「有為」(諸行無常)と「無為」(永劫不変)とか「現象」と「本質」とか、思うままに述べたが、そういう意味で本来芸術は信ぜらるものであるべきだが、本邦現下のそれぞれの分野の「社会性」に見る実情ではとてもそう思えない。社会性とは、ここでは画壇、市場、商業主義、流行りもの、マスメディア、テクノロジ―等外側のシステム、メカニズム等をそう呼んでいるが、そういうものに浸かりきっているものには興味ない。
  そこで今信ぜられるものは何かと言えば、やはり動植物の生命を含む「自然」しかない。そうした自然とは「現象」そのものだが、同時にもっと深い「本質」が垣間見ることができる場合がある。そういう風景は物質感が精神性に溶け込み、半透明でどこかノスタルジックである。そういう境界のような風景をずーっと探している。コロ―やタルコフスキーにはその意味で憧憬しているのである。
 ところで、モティーフをしっかり捉えしっかり表現している絵に最近余りお目にかかれなくなった。公募展などの影響もあるのだろうが、多くが「絵づくり」に走っている。それはモティーフの拘束を受けないし、その意味の自由さもあるが、それは「職芸」にも似て、普通は経験を積めば誰でも相当のレベルまで達するものだ。モティーフをしっかり見る目、解釈する感受性、表現する力、「画才」とはこちらの方にこそ存すると信じる。
 
この人、久しぶりに見たしっかりした描き手と思う。
 
これも良かった(後日)