昨日同級生のシャンソン歌手のコンサートを観に博品館劇場まで行ってきた。「百万本のバラ」という歌の存在は彼女から教えられたようなもので、いい歌だし、「貧しい絵描き」も出てきて、歌からもダメ押されるし、以来ことあるごとにこの歌の沿革に関心をもった。
 先ずこれは実話である。主人公の画家はニコ・プリスマニと言う、後に名を残すこととなる画家である。女優はマルガリータと言う旅回りの一座の女優でフランス人。朝日新聞の特集記事によると、プリスマニの死後、彼女を描いた絵の前で涙を流す老女がいて、それがかのマルガリータ。「あなたのことが好きだったらしい」と告げられると「言ってくれればよかったのに」と言ったとか。遅いんだよ!
 プリスマニは、本当に彼の店舗兼居宅の彼の家を売り払い、赤いバラを買占め彼女が泊まっている宿の前に敷き詰めたが、この恋は実ることなく彼女は旅立ってしまう。
 「惚れたはれた、やったやらない」の「動物的恋愛」のご時勢からして信じられない「純愛」であるが、「自分的」には今の時代こういうものにこそ…と言う、「無法松」の富島松五郎的性格がある。実は私の絵もそうなんだが…。(プッ!)
 ともかく、このエピソードを歌って大ヒットさせたのがロシアの「美空ひばり」こと大御所のアラ・プガチョワで、この歌詞を忠実に訳した日本でヒットさせたのが加藤登紀子である。ところがこれには元歌の元歌があった。バルト三国の一つラトビアで「マーラが与えた人生」と言う、詞の内容が全く違うものである。これが詞だけが変えられてロシアで「百万本の赤いバラ」となったということである。
 さて、件の同級生、元パリコレのモデルで身長177センチ、低音から搾り出すそれは誠に聞かせるものあるが、彼女の「百万本…」は「小さな家とキャンバス~♪」の加藤登紀子と同じフレーズで、主人公は画家であるが、別記事で書いたシャンソニエのママが歌ったそれは主人公を女優側に据えた別歌詞となっていた。
 まだある。家を売ってその金で全部バラを買占め、好きな女性に捧げるという「信じられない」エピソードにスポットを当てたもので「信じてくれますか~♪」というフレーズで始まる。これを歌っている歌手の一人に「久米小百合」というのがいる。実はこの人、かの「異邦人」の「久保田早紀」の結婚後の名前である。加藤のとは違う、哀愁あるアップテンポで、異邦人もよいがこれも誠に良い。(このCDないかなぁ~)
 因みにYOU tubeでプガチョワのも久米小百合のも見れる。
 つまり、「百万本のバラ」とは関連もふくめて6種類もあるのだ。さて、どれを覚えよう!