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Ψ筆者作「渦巻く棚田」(イマージュ「ブランデンブルグ協奏曲」) F100 油彩(一部切れ・未完)

 初めてこの風景を目にした時、果たしてこれを上手く絵画に収めることができるだろうかとの感慨をもった。先ず絵画的に無難な安定した構図ではない。次にパースペクティヴの捉え方としては超一級の難物と思った。それは単純な遠近法ではない、渦を巻きながら下方へ集約されるものでありながら、棚田や切り取られた稲跡などそれぞれのパートにも固有のパースペクティヴと実在感の主張がある。かつ遠方の山との関係、その山同士の遠近関係。さらにリアリズム表現の手がかりとなる木立や水があるわけでもない。人間の視覚が観てもカメラの魚眼レンズようなパノラマ展望である。
 しかしこれほど造形的に面白い風景はない。絵描きとしてここで尻込みはできない。それは「挑戦」といえるものであった。
 ところでで副題の「ブランブルグ協奏曲」とは長いこと理想的風景にイメージするものであった。以前信州を旅行した際、列車の窓からみた、夕日に照らされ金色に輝く晩秋の野山を見た時、それはまさにコロコロと旋律を繰り返しながら、大らかにに広がるバッハの世界のイメージであり、いつかそういう副題を冠せる風景を大画面で描いて見たいと思っていた。
 そういう表現性と件の造形性を併せ持つという意味でもこう言う風景はそうお目にかかれまい。