今回の「フェルメール展」には「光の天才画家とデルフトの巨匠たち」という、「フェルメール」に比べ遥かに小さくサブタイトルがついているが、私はメインタイトルに「フェルメールとデルフトの画家たち」とすべきと先に述べた。
 なぜならフェルメールの作品は全39点中わずか7点にすぎず、しかもメインたるべきフェルメールの代表的作品≪絵画芸術≫(The art of painting)が、カタログに掲載されているにもかかわらず、直前になって「出品不可」となったのである。
 このカタログには2枚別刷りに印刷物が添付されていた。一枚はフェルメールの≪手紙を書く婦人と召使い≫という作品が「特別出展作品」として出品されたということ、もう一枚はヤコブス・フレルの≪子供の髪を梳く女のいる室内風景≫は誤りで同じ作家の≪子供と本を読む女のいる室内≫であるとした訂正文である。
 
 前者についてはカタログに印刷された作品が来なかったので代わりにこういうものを出品したと解釈すべきであろうし、後者についてはカタログに印刷され、作品も実際に展示されたが、その作品タイトルと説明文が全く違う作品のものであったという趣旨である。
 いずれにしろ作品の借受けとカタログ印刷等情宣活動がチグハグで、後者が先行してしまった観がある。先の≪絵画芸術≫は既に6月27日付け「朝日新聞」特集紙面でも他の出品作と一緒に出品されるものとして紹介されているのである。

 主催は東京都美術館・朝日新聞社・TBS、特別協賛は第一生命である。多くの人は実際に足を運び、会場でこれらの事実を知ったのではないかと思う。確かにそのネームヴァリューから「フェルメール」を大きく取り上げるのは仕方ないとしても、いろいろな情報媒体から誰が見ても「フェルメール展」と思うだろう。事実と違う!わざわざ遠方から≪絵画芸術≫を見に来た人などどうするのだ。主催者の杜撰さと配慮のなさを思う。