Ψ 上 筆者制作途中模写 コロー作「牧歌的な踊り」 油彩 F30
  中  上の現物写真               
  下 筆者作制作途中 「森シリーズ」オリジナル  油彩 F30
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 岡鹿之助に「冬の発電所」と言う画題だったと思う作品がある。これは岡が長い間捜し求めていた理想的なモティーフで、それと出った時の喜びは如何ばかりであったろうと思う。
 こう言う感情が持てるのも風景画家の特権のようなもので、私は未だに自分がイメージする最高の風景モデルに出会あったとは言えない気がする。それはそれで先延ばししても楽しみなのでよいが、探し続けると言う意思は常にもっていなければなるまい。
 ともかく件のコロー作品は、もうこれ以上何も描く必要がないと思うくらい、風景画の極致を示しているような作品だと思う。私が仮にこれとそっくりに仕上げても、それはコローであり、コローを超えることはできない。それが残念だ。もしこれが自分のオリジナルだったら狂喜乱舞するだろう。
 コローにとってもこのモティーフはそういう意味があるような気がする。そうした意思を模写しながら感じるのだ。
 ここまで来るとコローの絵はただの風景画ではない。情景画でありイメージ画である。先に述べた岡も、風景画というより「自分の造形世界たる風景画」と言える。ただ確実に言えるのは、現にある自然を疎かにしてはこういう画境に達することはできないということだろう。即ち初めからイメージに逃げたり、自然描写に及び腰だったりしては絶対無理だろう。