もう一つ付け加えておこう。

 我が祖先も関係してるが佐賀鍋島藩には「葉隠(はがくれ)」という「武士道精神」のバイブルのようなものが伝えられていた。「武士道とは死ぬことと見つけたり」と言う有名な書き出しで始まるものである。この「ブシドウ」も先の神話と同様、「富国強兵」のプロパガンダとして国家権力に悪用されたもの。
 その支柱である「義に生き忠に死す」という精神は、「武士」の出ではない「百姓、町人」の子弟をも≪武士(もののふ)≫とおだて上げた挙句、「大和男子(やまとおのこ)と生まれなば 散兵線の 花と散れ」として戦場に散らしめる大義名分とされた。

 一方神話には「八咫烏(ヤタガラス)」という、三本足のカラスが出てくる。これは高天原(たかまがはら)から「天孫降臨」した「建国の神様」が東征し大和朝廷になる過程で道案内したカラス。もう一つ貢献した鳥がいる。「金色のトビ」がそれ。これをあしらったのが「金鵄勲章」(きんしくんしょう)。戦争で「殺人」の功績を挙げた軍人に贈られた。つまりヤタガラスも金色のトピも同じ所に出てくるのだ。
 そしてその八咫烏は日本サッカー協会のシンボルマーク、エンブレムには黒い三本足のからすがデザインされているのだ。

 一方「日の丸」は周知のごとく日本の国旗。これは確かにデザイン的には優れている。しかしそれが翻ったのはこの国だけではない。中国大陸や朝鮮半島、南の島々にも翩翻としていた。

今その武士道、神話、日の丸を象徴としてで日本人の精神性がしきりに強調されている。
 繰り返し言う。生き残らんがために昨日までの「鬼畜米英」に「ギヴ ミー チョコレート!」と愛想振りまいたのが戦後の日本。その一朝にしての変わり身の早さは「義に生きるべき武士道精神」とどう繋がるのか?
 没主体性の親米一辺倒で拝金国家のどこに「美しい国」、「国家の品格」があるのか?
 「芸術・文化」のカテゴなら少しは足元のそういうことを言ったらどうかと思うのだがね。 

 そして今マスメディアによる圧倒的「アジテーション・カルチャー」の下で、Wカップサッカーなどにおいて「ヤタガラス」をあしらった「サムライブルー」のTシャツを着て「日の丸」振って大騒ぎしていた「善意・無過失、無知蒙昧」のミーハーがいる。
 正直言わせてもらう。「バカじゃねーの!」