掲示板で似顔絵描きの大道商売についての話があった。1000枚とか2万枚とか10万枚とか相当な数量の話だ。似顔絵描きは世界中にいる。万国共通の、資格はその技量だけのインターナショナルな職業だ。
ところで絵描きが「大道商売」をする場合似顔絵描きしかないのだろうか?そのメッカ、モンマルトルのテルトル広場では風景画など普通の絵も売っていた。
上記は、私がテンペラ・イコンの勉強で訪れた、トランスフォーム直後のブルガリアの首都ソフィアで買い求めたものである。0号キャンバス程度の大きさのイコン風絵画。大きなホテルの傍の広場で内外の観光客相手のフリー・マーケットが開かれていた。厳密な意味のイコンとは「イコノスタス」と呼ばれる東方正教会の仕切りの壁面に飾られたものと特定されるので、これはイコン風絵画の「土産物」である。
しかし御覧のように相当な出来である。厚めに木に本物と同じくテンペラで描いてある。麻布は貼っていない。金箔の代わりに銀箔状のものに後からニスをかけているのでイコンの特徴である黄金背景に見える。
「店」はいくつかあったが、面白いもので同じモティーフを同じ素材で描いてもみんなそれぞれ違う。出来不出来もあるが、みんな本来は絵描きか修業中の者だろう。一つだけからだと気が引けるので歩きながら3点を3個所から買った。これは若い愛想の良い男性から買った。
当時は変革後の凄まじいインフレであったがこれは日本円で2000円位でなかったか?しかも先方が希望する国際通貨の米ドルで払ったのでもっと安くなったと思う。
日本ではここまでのレベルにない油彩画が、いろいろな能書き付きで金ピカの額に入れられ数十万のローン販売されているのを思うと、ワリに合うのだろうかと心配するくらいの額である。
絵の値段は「あってないようなもの」とよく言うが、少なくても芸術の価値がそうであるということない。