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Ψジャン・フランソワ・ピエール・ベイロン作「サムニウムの大使達の獲物を拒否するクリウス・テンタトゥス」1786年  ペン・黒インク・灰色の淡彩・白のハイライト

≪YAHOO掲示板「どうしたらうまくかける」の転載記事抜粋≫

※「アカ造」…「アカデミックな造形要素」の略。私は、構成(構図)、フォルム、トーン、立体感、質感、量感、ヴァルールなどを定義し、ここでは色彩とマティエールは含んでいない。

  これはグリザイユではありませんが、使われている描画材は無彩色のグラデーションに対応するものですので、考え方は同じです。ポイントは、古典絵画とは、このような極くプリミティヴな早い段階の下絵から厳格な「アカ造」の支配を受けるものであるということです。ここが印象派以降とは決定的に違います。
 模写は結果を写すだけでそのベースを知ることはできません。こういうものから「アカ造」を読み取る以外にありません。ここでは使われている描画材からもそうですが、「ボカシ」以下今まででてきた手練手管は一切でてきません。しかし「アカ造」が的確ならこれだけ見ごたえのあるものとなると言うことを知っていただきたいと思います。事実これはこの段階でパトロン筋にプレゼしてるものの独立したカルトンです。
 具体的に現れている「アカ造」は、遠近法含む「構成」、将来色面となる「グラデーション」の配備計画、大まかなな個個のモティーフの「トーン」、布を通しての人物の「量感」の表現、布、石の床、つぼなどの「質感」などに見られます。ボカシから着色にたるまでの具体的リアリズム作業はここから始まるということを知っていただけたらと思います。