掲示板より

 私実はあのような絵を以前かなり描いてたんです。その時いつもぶつかるのは「風景画のモティーフ」のことでした。ああいう画風の受け皿がこの国にはないように思えたのです。つまり実感として佐伯の「下落合ではダメ!」っていうのが分かるような気がしてました。
 これは、油絵の(広義の)マティエールとモティーフとの関係、つまり本邦における「洋画」は実は「油絵で描く日本画」ではないか、というかなり重要なテーマに思えたのです。このテーマの追求を「レオナルド・熊プロジェクト」と呼んでます。(^^)
 私は今回佐伯をかなり本腰を入れて(そのつもり)を論じたのは、練馬で展覧会が開かれた事もありますが、そういうことでまとめてみたいと思ったのです。
 その脈絡から言うなら、今回使った言葉で言うなら「パリの情報」と日本人女性「米子の線」あるいは「北画の線」とは相容れないものです。私はそのようにまとめる以外にありませんでした。
 理論的には一応まとめまたつもりなので、実作でもう少し追求してみたいと思いました。以前気づかなかったことが気づくかもしれませんからね。
 幸いテンペラ(水性吸収地)の描きかけのパネルが多数残ってましたし、今回佐伯のキャンバスも再現してみましたので以前の画風で描いてみてます。
 ゆっくり描いても意味がないので佐伯なみのスピードで描いてます。この2~3週間で20号と30号10点ほど描きました。まだ結論は出てません。

 さてキャンバスですが今回の実験ではやはり混合レシピの問題が残りました。混合比率が出てる資料が一つもありませんでしたので。
 吸収具合はあんなものだと思いました。ただ下地層はかなり厚塗りでなければ吸収の効果はない。その場合乳化が常にうまくいってないと油性と水性の分離、落剥の危険性大。
 膠を使うとどうしても硬質で弾力のない画面ができてしまう。つまり力を入れすぎると必ず眼に見えない亀裂が入るはずです。吸収地等は普通はこれを避ける為パネルに麻布を貼ります。佐伯のはかなり落剥、亀裂があったようですね。
 ともかくいろいろ問題点出てきました。
 因みに私のは布から染み出た膠が木枠にくっ付き、それをパレットナイフではがしたら亀裂が入ってしまいました。もしorionさんのに何某かの亀裂や落剥があったら知らせてください。それは多分塗り重ね層の水性と油性、マルセル石鹸等の混合比率に差があったせいだと思います。
 まぁ委細構わずやったのが佐伯ですから(^^)

 材料がまだ残ってるので今後ともキャンバスづくりやってみようと思います。orionさんも機会があったらチャレンジしてみて下さい。お手伝いしますよ。