〕Э佑イタリア製の素晴らしい画布を持っているのですが、黒かびに侵されてほとんど白地が残っていないような状態です。この上に直に絵の具を載せてもよいものでしょうか。あるいは洗濯、乾燥すれば使用できるものでしょうか。手元に現物がないので実験ができずお伺いする次第です。
画布には麻布が最適なのでしょうか。ジーンズやテント地などの綿製品でも可能でしょうか。その上に市販の建築用ペンキなど塗って画布の代用にできないものでしょうか。
ベニヤ板以外で安価につく画布代用品はないでしょうか。

≪ご回答≫

 ,話のイタリア製の画布とはロールキャンバスでしょうか?日本は高温多湿で元々油彩もテンペラも向いていないといわれるほどで、黴は悩みのタネです。ただ白地が残ってないほど黒黴に侵されたという経験はありません。イタリアという土地柄、もしかしたら油性下地でない場合も考えられます。一部の水性下地、エマルジョン下地は油性より黴や虫がつきやい場合があります。仮に膠引き画布だと水で洗濯はできません。油性で拭くと今度は水性絵の具で描けなくなります。その辺要確認ですが、いずれにしろそのままでは描けません。ここは地道に先ず柔らかい、水で湿った布で軽く表面を拭き、もう一度強めに拭いて綺麗にします。

◆↓ この辺は私もいろいろやったことがあります。結論から言えば油絵は重厚でコクと深みのあるマティエール(画肌)が大きな魅力であり、その辺の処理が客観的な作品の価値判断にも直結するほど大きな要素です。その味を出すのはやはり布目の麻のキャンバスが最高で、ここは苦しくても最終的にはキャンバスで描きたいものです。大きな画材店では何枚で一組の安い張りキャンのセールをしてたり、会員3割引きとかをやってるところがあります。そういうのを利用して何とか確保していただきたい。
 絵というのは描く以上「どうせ習作だから」ではなく、これで「天下」を取ってやろう!ぐらいの気持ちを持って一作一作に向かわないと通り一辺の甘えがでてきます。そう言う気持ちの受け皿となる支持体だけは常に用意したいものです。

 以下一長一短
  先ずベニアは薄いので保存スペースはとらないが、なんと言っても反る、描きにくい、持ちにくい。吸収され色味が黒っぽくなり艶もない、油絵のマティエールを生かせないなど習作用として以外には難しいです。
 以前綿製のキャンバスを見たことがあります。ナイフでもひっかかったら破れそうで支持体としては心もとない。合成科学繊維は将来の剥落の可能性でダメ。
 布でも板でももし他の素材で描こうと思ったら一度下地塗りをする必要があります。油性ではソル・コートとか油性ジェッソ、アクリルジェッソなど普通のキャンバスでもに使う地塗り剤が市販されてます。
 ただこれは高い。安く大量にやるなら石膏を膠で溶いて塗る、即ちこれはテンペラの下地です。方法は検索すればいくつかあるでしょう。
 ベンキはアルキドとか成分がまるで違うのがあるし剥離、落剥の危険大でダメです。
 
 麻布は生地屋でメーター買いできます。できるだけメッシュの細かい方がよいでしょう。
 私の家には大量のコーヒー袋があります。これはコーヒーの焙煎をしている店が余った袋を100円ぐらいで売っていたのを買ったものです。純度100%の完璧な麻布です。しかも40号は取れる。因みに荒目の油性キャンバス画布は普通目の倍近い値段がします。
 ただ通気性を考えているのでメッシュが粗い。だから大量の石膏を塗り目をある程度潰していかなければならず結果重くなる。それを張るパネルも丈夫なものでないと反ってしまう。したがってこれも手間や保存の事考えるとあまりお勧めできません。因みに私はコーヒー袋にテンペラを何枚も描いてます。

 ≪別記事の回答≫
 絵は時間をかければよいというものではありませんが、油絵という素材の持ち味を生かしたコクのある画面にするにはいろいろな工夫が必要です。地塗りして下層の色味を生かす、生乾きの上に塗る、乾いてからグラシ(おつゆがき)する、削るなど、さもなければ古典絵画並みの描写力。傾向、画風に応じた一定の時間が必要です。私らはよく「描き込みが足りない」と言います。自分で描いていると分からないのですが他人の作品の中においてみるとこういう描き込み不足は一目瞭然です。一般的なことを言えば早描きは「軽薄」です。分かりやすく言えば公募展などでは写真的、イラストレーション的価値はほとんど評価されません。
 表示作品は地塗りと乾く時間を除けば水彩画を基準にすれば6号なので1~2日でしょう。