油絵の具か水彩絵の具か等はメデュームの性質による。もともとの顔料は・染料は粉。この顔料等を油性のメデュームで練ったら油絵の具、アラビアゴムで練ったら水彩絵の具、アクリル樹脂ならアクリル絵の具、鶏卵ならテンペラとなる。

 以前テンペラを描いた時、下地に青を仕込み、その上を赤味がかった色を塗ったことがある。絵が完成し暫くしたら唖然!大きな亀裂が入り、下地の青が剥き出しとなっていた。指でちょっと触ったら全くメデューム気のない乾いた青い粉そのものがへばり付いている状態。指で触ると指が青くなるくらい。上層もたわいなく落剥。。そんなバカな!なんとそのイギリス製の顔料そのものが油性だったのである。

 しかしこのことが後にエマルジョン・メデュームによってではなく、油と水の性質をうまく利用すれば同一画面で面白い描き分けができると気づかされた。
 しかしである!これは実は幼稚園でやってたことだ。クレヨンで線描きした上に水彩で描けば水を弾いておもしろい絵ができる。つまり、難しい技法も原理は単純だということだ。

 市販のパネルに麻布を貼って石膏を塗り絵を描いた。だいぶ日が経ってその絵を見たら唖然その2!
支持体の反りが木枠を弾き飛ばしている!市販のパネルは糊付けの上ホッチキスのようなものでつないでいるだけ。これは石膏画面では余りに脆弱。自然の威力とはすごいものだ。
 以来パネルは自分で作ることにした。

 そのパネルに貼る麻布はナマキャンバスではもったいない。蚊帳生地も和紙も手に入りにくいし私のテンペラ画では弱々しい。ある日コーヒ-を焙煎している店の前を通りがかった、コーヒ-の入っていた麻布を50円で売っていた。じっとそれを見る。あれは純度100%の麻布だ。普通のより高い荒目のキャンバスは元々あんなものだ。マンテーニャの「死せるキリスト」のようにハッチングで凹凸にトーンがつけられる。何といっても広げれば40号は取れる。決まった…大量に買った!

 今別途表示のミニアチュールの額を作っている。建築現場を通りかかったら大量にラティスが捨ててあった。もったいない!当然頂いた。柵などを作って余ったものがある。それで作っている。紙やすりで削り、各種塗料を塗った。あえて何も塗らない白木のもある。不細工でもなかなか味がある。
 塗料がまた良い。艶のない水性ニス、ステイン、着色剤など。今度これで木目を出した板に絵を描いてみよう!