夫が、アメリカ出張に出掛けていた先日のこと。
深夜3時、豊が私のベッドに前足をかけ、枕元をカリカリしている。
ママ、ママ、ママ、ママ!
助けてー!
こんな感じの鬼気迫る様子で。
ん……。
臭い
私はいったい何を助ければいいのだ
スマホのライトを付けた。
この臭さの意味がわからん
寝室の電気を付けた。
トイレから外れてが転がっていた。
よく見ると、豊はそれを踏んづけてしまったようだ
その足で部屋中歩くので、そりゃ臭い……
私こそ、助けてー!だよ
夜も明けやらぬ夜中の3時。
私は寝室の床と豊の足をウエットティッシュで全部拭いた。
うちは何でもかんでも全部コレよ↑ いろんな部屋に置いてある。
拭いてもさぁ、何かまだ臭いような
翌日、床も豊の足もすべて拭き直した。
うーん
豊は本当に清潔な子で、ウチに初めて来たときからトイレは完璧。
もしトイレが汚れていた場合、豊は私たちに見せつけるよう違うところでわざとした。
あ、ゴメン、気づかなくて。
私たちが謝りながら掃除した。
だから、ジブンのモノを踏むとか、絶対になかった。はじめてだ。
これもそれも脳腫瘍の影響なのだろう。
退院後処方されたクスリが効いて一瞬症状がよくなり、素の豊が顔を見せたけど、このごろはクスリにも慣れたのか、ふたたび症状が進んでいる気がする。トイレの失敗も増えた。
一番最初、検査入院でMRIを撮ったERの医師いわく、「梅雨明けは難しい」と余命宣告されたが、本当にその日がそろりそろりと近づいてきた気がする。
でも、こうやって一日中一緒にいて、昼夜問わず一生懸命お世話して、「違うだろー、トイレはそこじゃないー!」と、文句言いながらティッシュ持って追いかけている時間も、なんだか幸せだけどね笑
今朝、出勤前にクスリをいただきに近所の獣医へ。
どうですかと聞かれて、徘徊が激しいことを伝えた。朝の4時からほっとけばノンストップで5時間くらい歩き回っていると。倒れる前まで6kg前後あった体重が今日計ったら5.2kgになっていた。最近は健康なときの倍近くエサをあげているのに。
でも、こうやってベビーカーに載せると、急に寝だすんですよー。
あと、クルマの移動もね。
夜中にチョコチョコ起こされたりとか、下の世話したりとか、寝かそうと思ってわざとベビーカーで歩き回ったり……、なんだかまるで3番目の赤ちゃんを育てているみたいですよー。私が言った。
「そうか、赤ちゃんかー」と主治医は笑った。
命の終わりが近づいている哀しい話をしているのに、なんで人間って笑顔もセットなんだろうなー。おもしろいなーと思いながら、私も笑うのだった。