「レッド・ライト」
警察組織に所属する主人公が殺人犯を追求し逮捕する
クライムノベルとしての体裁の底に
必ず親と子、家族の物語が織り込まれている
T・ジェファーソン・パーカーの作品群。
本書「レッド・ライト」は1999年に執筆された
「ブルー・アワー」に続く、オレンジ・カウンティ保安官事務所
刑事部殺人課巡査部長マーシ・レイボーン主人公とする
シリーズ第2作として2000年に出版されている。
同じ人物を主人公として描く事の無かったT・ジェファーソン・パーカーは
「ブルー・アワー」「レッド・ライト」そして「ブラック・ウォーター
」
の三部作で、初めて、女性巡査部長マーシ・レイボーンを主人公として
複雑な警察組織の中で自己の信念を曲げずに戦い続ける個人の成長の
姿を描いている。
勇敢ではあるが向こう見ずな、賢くはあるがその程度は十分とは言えなく、
タフではあるが孤立している女性巡査部長マーシ・レイボーンが前作の事件から
学んだ成長の姿を描きたかったとする本作。
前作から2年経過し、自らの不手際も原因として殺人犯の手で殺された
愛する老刑事ヘスの死後ヘスの遺児として生まれた愛息ティム・ジュニアは
幼児に成長し、日中はかつて警官であった父親のクラークが面倒を見ている。
高級コールガール殺人事件の犯人捜しとして展開するストーリー。
「我々が理解していようがいまいが、過去は我々に影響する」との
思いで描かれた本作では、過去の出来事がマーシ・レイボーンの
父、家族、そして国家の過去をあぶり出し、マーシ・レイボーンの
生きざまに自身の決断をせまる。
2003年の作品「コールド・ロード」を思わせる本作に、
試行錯誤してきたT・ジェファーソン・パーカーのスタイルが
確立しつつあることを感じた。






