愛しい3の日を君に贈る -37ページ目

愛しい3の日を君に贈る

この人生を命ある限り届けたい。

春夏秋冬

そんな純粋な保育所の時間は

成長の喜びのはじまりとともに

さよならしなきゃいけない日が必ずやってくる


いつだって

「はじまり」は「さようなら」と一緒だ


初めて着せられた

ぶっかぶかの黄色い帽子

ピカピカの黄色い鞄

遊ぶ時は必ずスモックと一緒にどろんになって

なのに

胸元にぶら下がるチューリプの名札は、

真っ赤な色のままに揺れている


成長とともに

いつの間にか…

ぴったりと自分に馴染むものになった


お兄ちゃんの卒業式もみてはいたが

みていたのは大人たちの泣いている姿が印象的で

これっぽっちもお兄ちゃんの姿が浮かばない


「ああ…

自分もここをさようならする時には、こんな風に

たくさんの大人たちが泣くんだな。嬉しいことな

のに。」


そんな気持ちを早くも学んで二年後の自分を投

影しながら…

大人たちが笑顔になってほしいと一

生懸命その涙よ、飛んでいけと祈らんばかりにお

兄ちゃんたちの卒園式を見送った



そうして脳裏に焼きつけ

やってきた

「卒園式」


一体、卒園は誰のためにあるんだろうか

たくさん練習した作成された成果は、もちろんば

っちりだったが

ばっちり練習通りにいかないのは、大人たちや自

分たちの感情だった


先生達が泣いているのが

とにかく悲しかった

涙は出ないが

笑顔でいて欲しいと切に願っいたことは確かだ


「ああ…

私が、ここで過ごす日々はおしまいなんだ。」


2年前に客観的に見ていた感情と明らかに違った

自分の立場と理解力だった


♪いつのことだか

思い出してごらん

あんなこと

こんなこと

あったでしょ♪


いつもと違う

おじいちゃん達

おばあちゃん

お父さん

お母さん


立派なおべべを着て

いつもの見つめる景色の3人じゃなく

この日ばかりは5年間の私の成長した姿だけを

愛おしく見てくれていた


無事に終わった卒園式

運動場もいつもよりは狭いように感じながら

そよそよと桜の花が満開に揺れている



大人への一歩


運動場で母親が誰かと話ししているのを

いつものように

早く終わらないかなと

ただただ見上げて待ち続けた最後の日


私を育ててくれた全てのことに

「ありがとう」

「さようなら」