愛しい3の日を君に贈る -30ページ目

愛しい3の日を君に贈る

この人生を命ある限り届けたい。

『今日も元気にみんなと仲良くいってらっ

しゃい。』


お爺ちゃんは

いつものように

いつものスタイルで


いつもの魔法の言葉を私にかけて玄関で見送って

くれる


人生の始まりは全て

キラキラして見えるものだ


行きはヨイヨイ

帰りはツライ

とはよく言ったもんだ


夏は暑いし

冬は寒い

子供ながらこの上なく体験する


初めましてのドキドキは

既に2日から忘れている


いつの間にか

皆の名前もすっかり覚えて


校門を潜れば

水槽に泳いでいる金魚の光景も当たり前になって

茶色い床に

茶色い机

茶色いロッカー

緑色の黒板

を目指して教室に入る


真新しいランドセル

真新しい筆箱と鉛筆と消しゴムと下敷き

真新しい教科書をとりあえず準備する


『おはようーございますー』


小学一年生

初めての担任の先生


小柄でいつもにこにこと優しくて可愛らしい

ふわっとパーマのかかった先生

音楽が得意で

歌が上手くて

大好きだ


一体、何を勉強したかは、一向に覚えていない

『さよーうならー』


トトロが現れそうな生い茂る木々 

家の前の地蔵さんの地獄…

いや、天国坂にしておきたい


緩くて

長くて

息切れは覚悟


どうにも慣れないんだ


『ただいま』

「おかえり」


毎日、必ずおじいちゃんが朝のように出迎えてく

れるんだ


無事に戻ってくるのかと言う心配と 

寂しい思いをさせないようにと言う

おじいちゃんの真心だってこと


あの頃の私には

当たり前過ぎる光景に浸り過ぎていて

その有り難さを知らなかった


そうやって

また日が昇り

魔法の言葉をかけてくれるんだ