1415m峰/夕張マッターホルンー2023.4.2 | 道北ヤブ山日記

1415m峰/夕張マッターホルンー2023.4.2

1415m峰/夕張マッターホルンー2023.4.2 (3名)

 

積雪期では約6年ぶりとなる1415m峰/夕張マッターホルンである。

当時はまだ積雪期に登る記録は殆どなく、遠い山と考えられていた。

 

2017年に日帰り山行を行って、当ブログで結梗川左岸ルートを紹介(その時の記録)。

更に「北海道の山と谷3」にも掲載したところ、最近では同ルートからの登頂記録を数多く目にするようになった。

いまや日帰りメジャールートになったと言っても過言ではないだろう。

 

前回と同時期とはいえ、今年の融雪は凄まじい。

不安だらけで現地に着くと、十梨別の最終人家より雪が続いており、胸を撫で下ろす。

路面が出ている箇所も僅かにあったが、ほとんどは繋がっていた。

 

メンバーの一人とは数年ぶりの同行。懐かしい話を交えながらの楽しい歩き。

二人のリクエストを受けて、早くも遅くもない?還暦ペースを維持し、約8kmで結梗川出合となる。

快晴予報にもかかわらず、上空はガスが覆って気温が上がらず寒い。

 

今回の第一の核心は結梗川左岸尾根の残雪具合。

下手すれば早々に撤退もあり得ると考えて、メンバーには登頂確率50%と予め伝えてあった。

スキーを脱いで枝沢を三か所渡り、熊の足跡を追いかけながら進んだ。

 

・478の先の急斜面のトラバースが最も懸念していた場所。

予想通りに雪が切れており、滑る笹に細心の注意を払ってシートラで通過する。

 

正面に岩々した鋭鋒を見て・617から右手の沢形に入る。

6年前にも見た1146Pからのデブリは健在。

 

次第に雲が取れて日差し強くなると、雪面が緩んで重く消耗する。

適当な小尾根から・1112に向かう途中、メンバーの一人のシールの付きが悪くなり、バンドで縛って進むなど、苦労も多くなる。・1112手前で見るマッターホルンは遠く感じ、時計を眺める回数が多くなった。

 

・1112で平坦になればスピードが上がると思っていたが、前日に降ったと思われる新雪が深く沈んで思い通りに進まない。1415m峰は簡単には登らせてもらえない山のようだ。

 

Co1200でシールを外すと、メンバーの足取りも軽くなり、息を吹き返す。

やっとたどり着いた七つ池から見る1415m峰は黒々していた。

 

基部に到達してスキーをデポると、いよいよ第二の核心、本峰への急斜面を残すだけだ。

もう迷いは無い。山頂に向かってがむしゃらに(笑)登るだけである。

冷静に地形図を見ると標高差は所詮160m。例え時間がかかろうとも、すでに勝負アリだ。

 

斜面は急峻だが雪が腐っているので滑落の心配はない。

後続のためにひたすらキックステップで足場を作って登っていく。

 

グングンと高度が上がる。

キックステップで蹴り込む山行をした時には後日決まって膝に違和感が出るのだが、今更そんなことを気にしていられない。

 

歩き始めて7時間30分。念願の1415m峰/夕張マッターホルン山頂に立つ。

メンバーお二人は初登頂!

一人一人が自分の力で勝ち取ったピークである。

 

夕張岳方向。遮るものの無いピークからの展望は圧巻。

積雪期は6年ぶり、無雪期では1年半ぶりとなる。

(ブログに記録は掲載していないが、直近では2021年秋に単独登頂。)

 

鉢盛、芦別、シューパロ、夕張中岳などなど・・・。最高の展望。

自分はこれで4回目の山頂となったが、今回が最も天候に恵まれた。

 

いつまでも山頂でマッタリ過ごしていたかったが、長い復路を考慮し早めに切り上げる。

 

恐怖感の出る閾値は人により異なる。

いつもの自分の調子で危なっかしくガツガツ降りたら、他のメンバーが怪我する可能性もある。

バックステップで降りたり、面倒がらずにロープを出したりと、とにかく時間を使って安全最優先で下った。



緊張の下りが終わって安全地帯に戻ると、メンバーからは安堵の表情が浮かぶ。

日中より陽が傾き、立体感を増した本峰ともいよいよお別れだ。

 

あとは我々のトレース通りに戻るだけである。

 

朝繋がっていた林道の雪は、帰りには何か所も切れていた。

長く切れた場所もあり、融雪のスピードは想像よりも遥かに早い。

 

宵の西空は素晴らしいグラディエーションを披露。

13時間を超えるロング山行は、課題の山を完遂できた達成感と心地良い疲労感に包まれ無事終了。

 

ルートです