東狩場山‐狩場山‐フモンナイ岳(島牧村)ー2023.3.11
東狩場山‐狩場山‐フモンナイ岳(島牧村)ー2023.3.11 (単独)
積丹の山に登るようになり、南側にどっしりと構えた山塊が気になり始めた。
ニセコ山塊を飛び越え、さらに南に位置する狩場の山々である。
岳友によれば、春山の時期ともなれば随分と賑わうらしいが、早い時期に登る人は殆どいないと・・・。
であれば、ヒトの少ない静かな時期が良いだろうと、さっそく計画を立ててみた。
賀老の滝へ通じる道路は3月であれば林道の融雪など全く期待できないし、期待もしない。
地形図を頼りに、オリジナルルートでプランを練る。
考えたルートは、九助川右岸尾根の林道から、東狩場山経由で狩場山に向かうルート。
国道から3km入った林道出合いが出発点となる。
旭川からは軽く300kmオーバーで積丹より一段と遠かった。
昨晩はザンザン降りの大雨だったが、明け方にはあがっていた。
最近の異常とも思える高気温で融雪は著しい。
3月で積雪の心配をするとは昔は考えられなかったことだが、今は林道に雪が残っているだけでもありがたく感じてしまう。
Co255のT字路から尾根に取り付いて、腐り雪の急斜面を抜けると、広く緩い尾根に変わった。
・543の先からは馬蹄型の尾根や沢がある。
案外難しい.地形で、手元の地図確認が忙しい。
・855から・989に抜けると次第に疎林斜面に変化していく。
当初覆っていたガスが次第に取れ、青空と樹氷が良いコントラスト。
日が当たると樺の枝に付いた氷がパラパラと音を立てながら落ちてくる。
ドーンと、目の前に広がる狩場山塊は白く眩しい。
初めて見るその山容は増毛山塊にソックリだ。
一人貸切となる幸せな空間・・・・。
東側には切り立った山がガスから現れ、地形図を確認すると大平山のようだ。
全てが初見となる山域は新鮮で実に楽しい。
標高を上げると山全体が凍り付き、恐ろしいことになっていた。
スキーアイゼンでの登りもスリップが激しく限界を迎え、Co1100付近でスキーデポの決断をする。
予定より早いスキーデポとなったが、滑落のリスクを考えれば止む得まい。
アイゼンを装着し、まずは東狩場山へ直接向かう。
東斜面は前爪しか入らないほど硬く、転倒厳禁の緊張した登りである。
ここら辺りがGWの頃の雪の緩み方とは決定的に違う部分だろう。
東狩場山山頂はピークというより稜線の通過点に過ぎない。
ここに来て陰になっていた狩場山本峰を初めて見ることができた。
女性的なラインを見せる狩場山。
東狩場山から本峰までは景色を眺めながら快適な稜線歩きに変わる。
超クラストした斜面のお陰で、アイゼンが気持ち良いほど効き、踏み抜きの心配は全くなかった。
ザラメの時期であればスキーで一気に進めるだろう。
二つの顕著なコブを越えると雲海の狩場山山頂に到達となる。
西側は日高を彷彿させる荒々しい山々が連なる。
須築川周辺の興味ある山並みだが、残念ながら山名のあるピークは無い。
狩場山山頂を後に、引き返しに入る。
フモンナイ岳は遠すぎて時間的に無理と思い込んでいた。
しかししかし、じっくり地形図を見直すと、自分がフモンナイ岳と思っていたのは1249mコブと発覚。
本当のフモンナイ岳は随分手前のコブだったのだ。
再びこの地を訪れるのは容易くない、行くなら今でしょう!(笑)
西側の断崖を見ながら東狩場分岐からフモンナイ岳までは約2km。
小さなアップダウンのある稜線を急ぎ足で歩を進める。
山頂が近づくと、フモンナイ川右岸尾根からの真新しい単独トレースが現れた。
トレース主はすでに下山されたようで、フモンナイ川へのガリガリ斜面を下ったようである。
スキーとしては楽しめなかったことだろう。
フモンナイ岳山頂。
初めての挑戦で三座登頂できたことは幸運以外の何物でもない。
雲海の向かい側には端正なオコツナイ岳が顔を出していた。
下りはスキーデポ地から全面アイスバーンの恐ろしい斜面を慎重に滑る。
中腹からは雪は腐り気味、そして林道では完全に腐り、腿がパンパンになって山行終了となった。
ルートです。
翌日は前山ーオコツナイ岳と決め込んでいたが、大平山の迫力ある山容が頭から離れない。
狩場山周辺の五座を一度にやってしまうか、はたまた気になって仕方ない大平山をやるべきか。
どちらにすべきか最後まで決断できないまま夜は更けていった。