歌登・坊主山(枝幸町)ー2019.2.17 | 道北ヤブ山日記

歌登・坊主山(枝幸町)ー2019.2.17

歌登・坊主山(枝幸町)ー2019.2.17 (単独)

 

歌登・坊主山は函岳の北東に位置する存在感のある山。

昨年1月に歌登大奮地区からの東ルートで一度登っている。(その時の記録

今回は歌登本幌別からの西ルートで登ることにした。

 

本幌別から見る歌登・坊主山。

当初は音威子府にある未踏の山に登る予定だったが、道路から坊主山の姿を見て、衝動的に登りたくなってしまったのだ。衝動買いにも似た、計画性の無い衝動的登山である(笑)。

 

本幌別の除雪最終地点に車を置き、上流川沿いの林道を歩き出す。

 

適当なところで林道を離れて上流川を渡渉し、・626の西側を南進する。

次第に天候が悪化、強風が吹き始める。何か嫌な予感だ。

 

Co500で尾根を乗り越すと、ツネオマナイ川まで約100m下って右岸に渡る。

 

3本ある顕著な西尾根のうち、手っ取り早そうな一番手前の尾根を使うことにした。

この尾根を使うと、山頂の北200mに抜けることになる。

 

斜面は密林あり、疎林ありと様々に変化する。

何時しか沢からの吹き上げが強烈になってきた。

 

沢から山頂台地までの直線距離約800mに対し、獲得標高500mとは結構な急斜面だ。

 

稜線が近づくと地吹雪模様となって、いよいよ厳しくなってきた。轟々と山全体が唸り、心が折れそうになる。

相当な気圧の変化が起きていることが身を持って感じられ、このまま頂上台地に上がれば更なる状況悪化は避けられない。

状況を見守りながら進退についてしばらく考えたが、ひとまず完全武装になって、もう少し進む決断とした。

 

Co930で頂上台地に出ると、地吹雪が一段と強烈になる。

気温は-12℃、風速は常時15m以上か。じっとしていると、指先が痛い。

 

風上に顔を向けるのは難しい状況で、目出帽を被っていても頬がヤバくなってきた。

何度も頬をつねって、感覚を確かめる。

縦走で進退窮まる、あるいは停滞を余儀なくされるのは、このようなシチュエーションの時なのだろう。

 

山頂方向を見ると、2本の松の先に対象物は無く、完全なる視界不良だ。

足元の凹凸も良くわからない中で、これ以上進むのは危険と判断とした。

山頂までの標高差は残り25m、距離は残り180mの地点だった。

 

これほど天候が悪化するとは思っていなかった。

初ピークを絶対落とすという意気込みであれば、直接山頂に突き上げる尾根を使っていたはずだ。

でも一度登頂している余裕もあって、そこまで深く考えずに、最初の尾根に取り付いてしまったのだ。

 

出発時の穏やかさが嘘のように、最後まで天気は悪いままだった。

厳冬期の歌登・坊主山は、衝動的登山でピークを踏めるほど容易い山ではないということだろう。