488m峰ー前珠文岳(中頓別町)ー2019.2.16
488m峰-前珠文岳(中頓別町)ー2019.2.16 (単独)
今シーズンは宗谷地方の山に多く足を運んでいる。
以前浜頓別に住んでいた岳友のノリタマ君が、地元で通称「前珠文岳」と呼ばれる良い山があると教えてくれた。
それは珠文岳の南西約2.3km付近にある標高660mの山で、地形図を見ても山名はおろか、三角点や標高点すら無い。しかし麓から見ると、確かに立派な山容をしている。
中頓別町兵知安地区から見る山並み。
今回この「前珠文岳」に登ってみることにした。
計画ルートは、少し遠回りになるが、488m峰から北西尾根を辿るものである。
2019.1.13 珠文岳北西尾根から見る488m峰
過去にノリタマ君は488m峰にも登っており、尖ったコブのテッペンからの展望は最高とのことだ。
尻無川右岸にある中頓別町最終処分場付近に車を置いて歩き出す。
牧場地帯から118標高点のある小尾根に入ると、何時しか立派な道路が出てきた。
Co180で林道と交差してCo250に上がると、488m峰が目の前に聳え立つ。
その姿を眺めながら、しばし戦略を練る。さてどこから攻めようか。弱点はどこだ?
ノリタマ君は固雪の時期に南から登ったというが、雪の安定しない今時期は危険極まりない。
植生のある北西側に回りこむのが賢明との結論とした。
急な斜面にジグを切り、スキーを何とか駆使して基部まで到達。
スキーデポの後の装備をどうするか悩んだが、結局ワカン装着で最後のアタックとする。
崩れやすい雪質、そして岩に乗った不安定な雪庇は冷や汗ものだった。
胸まで抜かり、雪で泳ぐ場面もあった。手で雪を切り崩して足場を固めては一歩ずつ上がってゆく。
万が一南側に大きく崩壊したなら、一発であの世行きだろう。
何とか攀じ登って488m峰のピークに立つ。
尖がりの先端だけに、息を呑むようなパノラマが広がっていた。
次に488峰から前珠文岳に向かう。
北西尾根に直接乗るのは勿論無理だ。北側に一度下り、南斜面を大きく反時計方向に回りこむようにトラバースし、沢地形を登り返してCo400でようやく尾根に乗る。
灌木をかわして高度を稼ぐ。振り返ると先ほど登った488m峰が良く見えた。
煩い尾根も次第に落ち着き、Co520で広い地形となる。
風が出てきてクラスト斜面に変わる。
3週前に登ったばかりのポロヌプリ山が懐かしい。
手前が鬼河原川の珠文岳左岸尾根、向こうが1ヵ月前に登った右岸尾根。
珠文岳に向かう尾根は途中にコブがあって、いずれも簡単ではない。
見る限り左岸尾根は一番険しそうだ。
前珠文岳は小さな双耳峰となっている。
西峰を越えて、雪庇に気をつけながら10m高い東峰に向かう。
前珠文岳山頂。
ポロヌプリ山から珠文岳に続く稜線は700m級なので、確かにそれに比べると660mの標高は低い。
しかしやや独立峰に近い本峰は、麓から眺めても存在感があり、また山頂からの展望も良い。
山名がつけられていても全く不思議ではない山だと思う。
山頂から見る珠文岳。
488m峰を経由しないルート取りならば、十分に射程範囲の距離である。
下りは同じ尾根を戻るのは面倒そうなので、平賀内川右岸尾根を使って中頓別鍾乳洞に向かうことにする。
西峰から南西に派生する尾根に向かって下る。
麓から見る前珠文岳は、高い位置に立派に見えた。
尾根上には作業道跡が現れ、上手く繋いでいるうちに、雪で閉ざされた鍾乳洞の建物に着いた。
鍾乳洞からの林道上は夥しい数のスノーシューの跡。
地元の学校で?スノートレッキングでもしていたのだろうか。
おかげさまでラッセルすることなく、楽をして車まで戻れた。
488m峰と通称「前珠文岳」。
両ピークを繋ぐ山行は十分楽しいものだった。
情報をいただいたノリタマ君に感謝したい。
ルートはこんな感じです