夕張中岳/1493m峰ー2017.5.3 | 道北ヤブ山日記

夕張中岳/1493m峰ー2017.5.3

夕張中岳/1493m峰ー2017.5.3 (2名)


通称・夕張中岳は、芦別岳の北西約3kmにある鋭鋒。

南に位置する1436峰、1415峰と共に魅力的な山であるにもかかわらず、地形図には山名どころか標高点すら無いのは何とも凄い事実だ。



2016.1 極楽平から見る夕張中岳


過去2012年5月に一度山頂を踏んでいるが、今回は日帰りで再び登ってみることにする。

当初単独で計画していたが、yokoさんが同行することになり2名Pとなる。

体力勝負の山行だが、yokoさんなら大丈夫との判断である。


十八線川沿いの林道は温水池より約1km、右岸に架かる橋の付近で積雪となる。

車を置いて、シートラで歩き出す。


林道は所どころ雪が切れる。スキーを履きたい衝動に駆られるが、なかなか雪は繋がらない。

そうこうしているうちに、Co500の渡渉点となる。

スノーブリッジは無く、倒木を利用して慎重に渡渉する。

昨シーズンから何度となく使ってきた十八線川ルートだが、これほど遅い時期にスキーで登ったのは初めてだ。

厳冬期に苦しめられた深雪ラッセルが無いことを考えると、ペースは否応なしに上がる。

緩い沢地形を辿るこのルートは極めて快適で、見慣れた景色に余裕さえ出る。

途中でワカンをデポし、御茶々岳と槙柏山のコルへ難なく抜けた。

槙柏山の西に進むと、芦別岳が迫力を持って目に飛び込んでくる。

各支稜とルンゼが手に取るように分かり、北から見る姿は最も格好も良い。


全てが順調だったが、稜線に出る前にyokoさんのシールが絶不調となる。

粘着力はすでに無くなっており、ベロベロと剥がれて使い物にならないのだ。

抜かる雪質と山頂までの距離、そして日帰りの時間を考えると、シーデポするには厳しい状態。

一瞬ワカンをデポしたことを悔やんだが、ひとまず細引きで縛って応急処置を施し、できる限りスキーで進むことにした。


主稜線上1196コルと夫婦岩。


細引きの抵抗で滑りは悪いらしいが、それは仕方ない話。

自分が秀岳荘取り付けシールしか普段使わないのは、このようなトラブルを極力避けるためである。


主稜線から南西に向かって高度を落とすと、沼記号のある平坦地となる。

正面奥には目指す夕張中岳が現れ、良いロケーションだ。

ここでテン泊できたら幸せだろう。


支稜の北斜面を極力トラバースして進む。

2回目ともなると無駄のないルート取りが可能となる。


いよいよ本峰が迫る。基部までスキーを使えたのは大きい。

支稜線上に出ると南側の展望が開ける。

通称シューパロ岳の1436峰から夕張岳までの稜線が一望。

夕張マッターホルンは小さく迫力に欠ける。

翌日、岳友のshun1さんがシューパロ岳に登るとのことだ。

天候も良く、最高の山行となるに違いない。

基部にスキーをデポし、アイゼンをつけて登る。

膝が斜面に当たるほどの急傾斜で、クラスト時や降雪後には登りたくない斜面だ。

運良くグサグサの雪のため、容易にステップが切れる。


夕張中岳山頂。

最高の天気に最高の展望。 御茶々、松籟、 夫婦岩、遠くは白い十勝連峰と大雪山。

北望。 小天狗、布部、富良野西。遠くには幌内山地の低い山並み。

芦別岳は手前の山塊が大きすぎて、山頂部分の迫力は無い。

目を凝らすと山頂には人影があった。本谷から来たのだろうか。


とにかく条件に恵まれた。大パノラマである。

そう易々と登れる山でもないため、時間を取って山頂からの眺めを目に焼き付けた。


雪は緩んでいるとはいえ、急斜面の下りは慎重に行う。

表層が切れて小雪崩を誘発。湿雪のため流れるスピードは遅く、フォールライン上にいない限りは問題なかった。


基部に戻ってスキーを装着し、来たルートを引き返す。

途中、何度も何度も振り返っては、山腹に刻まれたトレースを眺め、満足感に浸った。


主稜線上の1196コルを越えた途端、多くのパーティとすれ違ったり、トレースを見たりと、十八線川沿いルートは賑やかだった。

それもそのはず、この日からGW後半戦が始まり、今後3日間は晴れ予報なのだから。




実は1492m峰??


先述のように通称・夕張中岳には地形図上に標高点も山名もない。

WEBでの山行記録を見ると、そのほとんどが1493m峰となっているが、これって本当だろうか。出典はどこ?

折角なので、自分の過去2回の山行におけるGPSログを調べてみた。


2012年5月20日の山頂に積雪は無く、最高点のヤブ上にザックを置いた。

その時の標高は1491.623m


そして今回は2017年5月3日

積雪は1m以内と思われる。GPSは最高点の雪上に置いた。

その時の標高は1492.584m

積雪分を考えると、さらに低いはず。


GPS自体誤差があるので何とも言えないが、2回のGPSでの計測が正しいとすれば、1491m台となりそうだ。四捨五入するとしても、1493m峰ではなく1492m峰が妥当なのではないだろうか。