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2025年7月16日、選考会が行われた、直木賞と芥川賞の2つの権威ある文学賞について選考委員会は「本年は該当作は無し」という発表を行った。
選考委員9人による談話として「突出する方面が全然、別だった。 その突出の具合が図抜(ずばぬ)けて突出している場合は別だが、みな違う方向を向きながら同じくらい突出していた。」と出て、ずば抜けた作品。突出した作品がなく、新しさを感じさせる新鮮な作品が無かった事が伺える。
選考委員としても、権威ある「直木賞」と「芥川賞」に、並の作品を推すわけにもいかず、致し方無しという風情。
選考委員もそれぞれ推す作品がバラバラで、まとまった数の推薦者が得られず、また他の選考委員を自陣の推し作品に引き込むだけの説得力ある理由を提示できなかったのであろう。
主催する出版社と全国の本屋さんにとっては真に残念ではあるが、無理に受賞作品を出して、つまらなかったりすれば文学賞側への批判の的になりかねないので「受賞作」無しというのも良いんじゃないかと思われる。
閑話休題
はい、それでは本の紹介へと参りましょうか。
本日紹介する作品は、大人気ミステリー作家、東野圭吾さんの
『マスカレード・ライフ』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
ホテル・コルテシア東京で、灸英社主催の『日本推理小説新人賞』の選考会と発表記者会見が行われる事になった。
しかし、そこに警察からホテル側に一つの要請が舞い込む。文学賞受賞の最有力候補者が、ある死体遺棄事件の重要参考人だというのだ。
警察は会場に現れるであろう容疑者を確保したいと言う。
ホテル内で騒ぎになりお客様にご迷惑をお掛けしたくないホテル側は穏便に事が済む様に警察に協力する事に・・
警視庁を辞め、コルテシア東京の保安課長となった新田浩介とコンシェルジュの山岸尚美が、お客様の安全確保を第一に新たな活躍をみせる!
【解説】
①本作の著者は大人気ミステリー作家の東野圭吾さん
本作の著者は当ブログでもお馴染みの大人気ミステリー作家の
東野圭吾(ひがしのけいご)さん。
1958年大阪市生野区生まれの67歳。
1985年、『放課後』で第31回江戸川乱歩賞受賞しメジャーデビュー。
1999年、『秘密』で第52回日本推理作家協会賞受賞
2006年、『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞受賞、第6回本格ミステリ大賞受賞
2008年、『流星の絆』で第43回新風賞受賞
2012年、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第7回中央公論文藝賞受賞
2013年、『夢幻花』で第26回柴田錬三郎賞受賞
2014年、『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。
など数々の文藝賞を受賞し、「このミステリーがすごい!」「本格ミステリベスト10」「ミステリーが読みたい」などの出版社企画において常に作品の名が上がるなど、大ヒット作を連発。多くの作品がテレビドラマや映画化されるなど日本を代表する推理作家さんです。
代表作
・放課後
・白夜行
・手紙
・容疑者Xの献身
・ナミヤ雑貨店の奇跡
・流星の絆
・祈りの幕が下りる時
②『マスカレード』シリーズとは?
『マスカレード』シリーズは、東野圭吾によるホテルを舞台にしたミステリー作品
のシリーズ。一流ホテルである「ホテル・コルテシア東京」を舞台に、ホテル内で起きる事件に対して、捜査一課の若手刑事・新田浩介と女性フロントクラーク・山岸尚美の活躍を描いたシリーズ。(※新田はマスカレード・ゲームで昇進警視庁捜査一課係長に、しかしその後警視庁を退職。以後ホテル・コルテシア東京へ転職。山岸尚美はフロントクラークよりコンシェルジュに昇進。)
作品は、
2011年、マスカレード・ホテル
2014年、マスカレード・イブ
2017年、マスカレード・ナイト
2022年、マスカレード・ゲーム
2025年、マスカレード・ライフ
2019年、『マスカレード・ホテル』は、木村拓哉、長澤まさみ主演で映画化。
2021年、『マスカレード・ナイト』も、木村拓哉、長澤まさみ主演で映画化。
【感想】
本作は、ミステリー作家の東野圭吾さんの大ヒットミステリーシリーズ『マスカレード』シリーズの最新作です。
一流ホテルである「ホテル・コルテシア東京」を舞台に巻き起こる警察沙汰の厄介事をホテルスタッフの山岸尚美とホテルスタッフに化けた警視庁捜査一課の刑事新田浩介が解決するというミステリー作品。2019年と2021年に木村拓哉さん、長澤まさみさん主演で映画化もされているので知っている方も多いかと思います。
本作は、前日譚のマスカレード・イブも加えてシリーズ5作目にあたります。
今作では、主人公の新田浩介が、前作マスカレード・ゲームで山岸尚美が負傷した責任を取って警視庁を退職。ホテル・コルテシア東京に保安担当として再就職しています。つまり本物のホテルマンになったという事。前刊までと違ってホテルマンとしてまずホテルを利用するお客様、とホテルが大事にという姿勢がより強く出ています。
そして今刊の目玉ポイントが、ホテルで開催される出版社主催の文学賞選考会とその後の文学賞受賞者の記者会見!特に文学賞選考会において審査委員に選ばれた作家さん達のやり取りの模様がなんとも人間臭く生々しい。ココは直木賞の選考委員も行われた事もある東野圭吾さんが描くだけに、誇張された部分もあるであろうが、こういう雰囲気で決まっていくものなのか?と想像し何とも興味深く面白かった。
ただ『マスカレード』シリーズも5作目になると、初刊の『マスカレード・ホテル』の様に、曰く有りげな人物が次から次へと現れ、わちゃわちゃする感が若干薄れ、面白みが少し減った感じが・・・主人公の新田浩介もホテル内でのトラブル対処に慣れて、お客様とホテルの為には何が最善手であるのか考え選択し対処できる様になっておりシリーズが続き、経験値を貯めた感が見れるのだが、それだけにストーリーの抑揚が穏やかになっているのが惜しい気がする。
できれば、ココで新たに「ホテルマンが何たるか」まだ判っていない初な新人ホテルマンキャラの登場があって欲しい所。そして何も判っていない新キャラに新田と尚美がホテルマンとは何かを教授する形になってくれればおもしろい。
次回作で是非ご登場欲しいと願う。
さて本作の事件に話戻すと、死体遺棄事件の容疑者と推測される人物が文学賞選考会に現れるという事件の本筋については、こんな終わり方もあるかな?と自分が予想した推測の一つにヒットした感じでまあまあの終わり方。そしてメインの事件以外に起きたもう一つの案件の終わり方のほうが自分には意外な感じで驚きがあった。
作品全体としては「まずまず及第点」といった評価。
東野圭吾作品に稀にある、頭を揺すぶられる様な衝撃のある作品に久々に出逢いたいという気持ちになった読後感でした
ということで本日はここまで!じゃあまたね!
※当ブログ記事には、kojillowさん、綾瀬さん、ニッキーさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。