ブログ主です。当ブログへのご訪問ありがとうございます。
GW後半今日も含め後3日。
今年のGW前半は親族が集まってBBQでワイワイやって楽しく過ごす事が出来ました。甥っ子や姪っ子の子どもちゃんも大勢集まりワーワーキャーキャー!
普段は落ち着いている我が家だが、この時とばかりの騒々しさにちょっと幸福感を感じましたが、流石に毎日じゃぁ大変だろうなというのが感想。
次はお盆休みだなぁ・・
閑話休題
はい、それでは本の紹介へと参りましょう。本日紹介する作品は、当ブログでもお馴染みのミステリー作家中山七里さんの『氏家京太郎奔る』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
ゴミ屋敷と化していたアパートの一室から半ば白骨化した遺体が発見された。被害者は天才ゲームクリエーター九十九考輔。殺害現場から採取された証拠品のDNAが彼の同僚であった御笠徹二のものと一致したとして彼は殺人容疑で逮捕される。その事を知った民間科学捜査鑑定所《氏家鑑定センター》の所長氏家京太郎は驚く。御笠は氏家の高校時代の親友だった。無罪を主張する御笠の力になるべく、氏家は証拠品の再鑑定を請け負うのだが・・・
【解説】
①本作の著者は中山七里さん
本作の著者は、当ブログでもお馴染みの中山七里さん。
1961年岐阜県出身の64歳。
1961年岐阜県の呉服屋で生まれる。小さい頃から本が好きで特にミステリー作品を読み漁る。高校時代には自分でも小説を書き始めていた。
大学時代『謝罪』という題名で東大安田講堂事件をテーマとした作品を江戸川乱歩賞に提出。予選通過を果たしたが決勝までいかなかった。その後就職を機に文筆から手を引いた。
2006年、大阪への単身赴任時、大好きな島田荘司のサイン会に赴き生の作家を見て一念発起して作家の夢にもう一度チャレンジ。
2009年、『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい大賞』受賞。48歳でメジャーデビュー!
当初は会社員との兼業作家だったが後に専業作家となった。
主にミステリー作品を発表する作家さんでメジャーデビュー作『さよならドビュッシー』では、明るく爽やかな音楽ミステリーという新たなジャンルを確立した。他にもダークでシリアスなホラーミステリー、警察小説、リーガルミステリー、コージーミステリーなど様々なテイストのミステリー作品を発表している。
多くの作品で物語の最後にこれまでの作品の流れをひっくり返す落ちを付けることから「どんでん返しの中山」という異名でも呼ばれる。
代表作
・『さよならドビュッシー・岬洋介シリーズ』
・『弁護士御子柴礼司シリーズ』
・『刑事犬養隼人シリーズ』
・『嗤う淑女シリーズ』
・『作家毒島シリーズ』
・『ヒポクラテスの誓いシリーズ』
など
【感想】
本作は以前紹介した『鑑定人 氏家京太郎』シリーズの第二弾!
警視庁の科学捜査研究所(科捜研)の仕事に不満を感じた主人公の氏家京太郎は、退職して科捜研の有力メンバーを引き抜き民間の科学捜査鑑定所《氏家鑑定センター》を開いた。《氏家鑑定センター》は、民事、刑事を問わず様々な科学鑑定の依頼が舞い込んで大忙し。しかし、科捜研の人材を引き抜き、刑事案件では自分達の鑑定にいちゃもんを付ける《氏家鑑定センター》は科捜研いや警視庁、検察にとっては目の敵
しかし確かな証拠品鑑定技術は、時に裁判の結果さえもひっくり返す。リーガルミステリー、もしくはサイエンスミステリーの一作です。
で、第二弾の本作は、主人公の氏家京太郎の高校時代の親友が逮捕された案件の証拠品の再鑑定!つまり冤罪事件の裁判を科学鑑定の力でひっくり返せ!ってお話。
良いですねぇ、科学捜査!科捜研的お話は大好物ですよ。テレビ朝日系放送の『科捜研の女』や米ドラマ『CSI.科学捜査班』が好きな方なら是非読んで欲しい一作。
検察から提供されなう証拠品。そこで警察が見逃した盲点となる証拠を、熟練の技術or最新の科学分析で事件の謎を解き明かし事件の顛末を明らかにして裁判をひっくり返す痛快さ!は見事。
もちろんこういうリーガルミステリーやサイエンスミステリーは不利な状況から最後に裁判を逆転するだろうな・・と判っていて読むもの。その事件をひっくり返す過程がどれだけ良く出来ているかが評価ポイント。今回もその点は良く出来ている。最後にきちんとどんでんがえし。
そして日本の刑事裁判における司法制度の不公正な点もしっかり指摘。事件現場から採取された証拠品は検察が全て握っていて(警察が保管)、裁判の際には検察が自分達に都合の良い証拠のみを裁判に提示できる。つまり自分達に不利になる証拠は出さなくて良い。そして弁護側が証拠品の再鑑定の為に検察or警察に証拠品の提供を求めても「鑑定で全量使ってしまい残っていない」と拒否できる。
コレでは弁護側は手足を縛られて裁判を行えというべき事。日本の司法は検察有利に造られている。本来、容疑者は逮捕された後は中立の立場の拘置所に収監して、警察は拘置所で刑務官の監視や時間管理の上で取り調べを行うべきだし、証拠品も採取された後は裁判所が管理して弁護側にも全ての証拠品を提供し鑑定できる様にしないと公正な裁判は行えないと思う。そうでなければ袴田事件での不自然な証拠品によって冤罪事件が引き起こされる懸念がある。
そういう事も本書ではさりげなく指摘しているのは社会派ミステリーでもあるなあ等と想いふけった。
あぁそうそう、本作でも他の中山七里作品からゲスト出演者が!あの作品から、特殊清掃を営む「五百旗頭」さんが友情出演!中山作品のディープなファンにとっては、思わずニヤッとしてしまう演出が嬉しい!
とまあ、科学捜査で事件の真相を暴き出す科学捜査ミステリーの快作。痛快感は十分ですので是非一読を!
ということで本日はここまで!じゃあまたね!