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今月3日午後10時半、お隣の韓国でテレビ番組に生出演していた韓国大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が演説中に突如「非常戒厳を宣布する」と戒厳令を表明しました。そして、国会と地方議会、全ての政党活動と集会、デモを禁ずるとの布告を出しました。その上で、国会での活動を禁ずるために兵士らが国会議事堂に突入しました。

隣国韓国で戒厳令が出るのは45年振り。

 

これに対して韓国国民は大反発!大統領が禁じた筈の「デモ」が起き拡大し、国会議事堂の門に殺到。国会議員たちも国会内に突入。大統領が禁じた筈の「国会決議」を行い、大統領の措置解除を決定しました。 その結果、尹大統領は「立法府の命令に従う」と述べ、戒厳令をわずか6時間で解除する決定を下しました。

例えわずか6時間の事だったとは言え、隣国の緊急事態的な出来事に日本のTV局は一切沈黙!英国BBCや米国CNNなど海外の放送局がこの緊急事態を報じる中、隣国である日本のマスコミがこの事態を一切報じる事が出来なかったのは、「国民に内外の重要ニュースを報道する責務」があるであろうマスコミの対応能力の低さが露呈しました。

 

今回の韓国の戒厳令について、日本で一早く事態を報じたのはSNSのXでの個人の投稿やニコニコ動画などのネットサービスでした。既存のオールドメディアに出来なかった「内外の緊急事態の報道」をネットのサービスが行えたところが注目すべき点だと思います。

 

昨今日本のマスコミは兵庫県の斎藤知事に関する報道でも、調査報道における、「今起きている事を素早く正確に国民に伝える事」を忘れおざなりの取材で、不正確かついささか恣意的すぎると思われる報道を繰り広げました。

 

その様子や今回の韓国での戒厳令発布における日本のマスコミの取材力低下と素早い対応力の低下具合を見ているとその将来が暗澹とせざるを得ません。

 

日本のマスコミはSNSへの批判をするより、まず自分の足元を見つめ直す事を行って欲しいと考えます。

 

閑話休題

 

はい、それではいつも通り本の紹介へと参りましょう。

 

本日紹介する作品は、Y.A 著『社畜転生 貴族の五男』です。いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

【あらすじ】

リューク王国南方領域の雄・ヘッケン辺境伯の五男のオズワルドは馬から放り出され地面に叩きつけられた衝撃で、自分が前世、令和日本でブラック企業に勤め過労死した鈴木史高だった事を思い出す。と同時に魔法の才の発現を確認したオズワルドは、ここが魔法・魔物が存在する中世風異世界であり、辺境伯家での自分の立場は、下賤な身分の母から生まれた者として、上の兄たちやその母に疎まれて何かとイジメを受けている立場なのをあらためて確認した。この状況を脱する為には領地を出て自立するしかない。そのために魔法が使えることを隠し秘密裏に訓練を行うと決心するのだが・・・

 

 

【解説】

 

①本作の著者はY.Aさん

 

本作の著者はY.Aさん。神奈川県在住で、2014年、小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿した『八男って、それはないでしょう!』が実本化されメジャーデビュー。近年では『ソードアート・オンライン・オルタナティブ・グルメ・シーカーズ』など、人気作品のスピンオフものも手掛ける。

代表作

・八男って、それはないでしょう!

・銭の力で、戦国の世を駆け抜ける

 

 

【感想】

 

まず本作はいわゆるライトノベル作品なのだが、既存のライトノベルの単行本や文庫本ジャンルの作品として刊行されずに、通常の小説ジャンルのハルキ文庫から刊行されているのが特徴だ。近頃、こういうライトノベル作品が一般的な小説ジャンルから刊行されるのが、ちょくちょく出てきている。例をあげると宝島社文庫から蝉川夏哉 著『異世界居酒屋げん』などが出ている。

 

この現象をどう考えればよいのか判らないが、今まであった、若者をターゲットにしたファンタジーや恋愛小説として区分けされていたライトノベル作品が、全年齢層をターゲットにした一般的な小説ジャンルへ進出してきたのは、ライトノベルが若者子供の購読のみならず全年齢層に購読されても大丈夫だという自信が出版社側にあると自分は推察した。

 

自分は若者向けのライトノベルから、女性向けのハーレクイン、成人男子が好んで読む官能小説、高年齢層に好まれる歴史・時代小説までジャンルを問わず活字であれば幅広く読んでしまう読書家なので気にしないが、ライトノベル作品が一般小説分野に進出してきた事には関心がある。

 

ライトノベルである本作『社畜転生 貴族の五男』が、一般小説のジャンルの読者を満足させる事が出来るのか?という視点で読んでみた。

 

本作はY・Aさんのメジャーデビュー作『八男って、それはないでしょう!』に良く似た設定の作品で、現代日本で亡くなった主人公が貴族家の末子として異世界転生を果たし、明るい見通しが立たない貴族家の末子として生きるより、自身を鍛え、家を出て自立しようと藻掻く様子を描いた、ライトノベルでは定番の設定の物語です。

 

ライトノベルの読者には「またか!」と思われる設定の物語ですが、ライトノベル本を読んだ事のない読者には、それなりに新鮮に読めるかもしれません。

 

正直この作品を読んでいて、私には『八男って、それはないでしょう!』の焼き直しあるいは厳しく言うと「劣化版」という印象を受けましたが、物語としては、ギリギリ大人の読者の購読に耐えられる作品という感じ。いや、この作品より緩い読み応えの作品も一般小説ジャンルには多数存在するので少々厳しい評価なのかな?

 

主人公には全属性の魔法も使える才もあり魔力量も豊富という、いわゆる「チートな能力持ち」で、凄腕の魔法の師匠が魔法の鍛錬を無償でしてくれるという、ご都合過ぎる設定なのは『八男って、それはないでしょう!』譲りでなんとも甘々な感じがします。

しかし、ご都合過ぎる設定の一般小説ジャンルの作品も数多いので、本作がそれで「大人の読者を満足させられない」と軽々に判断するわけにはいかない。

 

全体的に甘々設定でヌルい感じが否めない作品ですが、主人公に無償で魔法を教え込む師匠が、実はある意図を持って主人公を鍛えていた・・という深謀遠慮の陰謀の雰囲気が見られる点、その一点だけに「大人の読者をも満足させうる」可能性を感じた。

 

まだ本作は物語の序章にしか過ぎず、これから大きく化けるかもしれないので、即断できないが、本作が若者向きのライトノベルから全年齢層を満足させうる作品になりうるのか?という問いに「ぎりぎり」という印象を自分は感じました。

 

さて今後この作品がどう盛り上がっていくのかが自分には楽しみです。

気になる方は一度ハルキ文庫を探してみてください。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!