ブログ主です。当ブログへのご訪問ありがとうございます。
10月9日午後4時、衆議院は本会議冒頭で解散した。通常は解散詔書を読み上げると同時に万歳の声が上がるのだが、今回は与野党共シーン。その後与党側からチラホラ万歳の声、野党側からヤジが飛び交う異様な場であった。首相就任後8日での解散は戦後最短。衆議院解散後の臨時閣議で「15日公示27日投票」と決まり、衆議院解散から投開票までは18日間と戦後2番目の短期決戦になる。
今回の衆院選では、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け処分された議員の行く末と与党自民党への国民の審判的色合いも強いと思うが、政治資金を巡る問題だけでの投票は悪手だと思う。物価高は続き、少子高齢化も進み社会保障費も上昇の一途。現役世代の負担も増すばかり。中国ロシアの圧力に対する国防問題、LGBTや環境の変化に伴う豪雨災害や震災への対応など見るべき点も多い。
選挙権のある国民、特に若い方は自分の未来にも関わる事ですので、各党の公約をじっくり見定め、各党がどういう社会を目指しているのか?各公約が整合性が取れて矛盾していないか?選挙に受かっても法案がまず通らないバラ巻き型の都合の良い公約を掲げていないか?冷静に吟味判断を行って投票して欲しいと投票権を持つ一人として想います。
閑話休題
はい、それでは本の紹介へと参りましょう。
本日紹介する作品は第70回江戸川乱歩賞受賞作のミステリー作品!
日野瑛太郎さんの『フェィクマッスル』です。
いつもの様にあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
たった3か月間のトレーニングで人気アイドル大峰颯太がボディービル大会3位入賞を果たした。SNS上では「そんな短期間であの筋肉ができるわけがない、あれは偽りの筋肉だ」と、ドーピングを指摘する声が持ち上がり、炎上状態に。そんなアンチの声を無視して大峰颯太は疑惑を完全否定し、騒動を嘲笑うかのように「会いに行けるパーソナルジム」をコンセプトとしたトレーニングジムを六本木にオープンさせる。
文芸編集者を志し出版社に入社した松村健太は、不本意ながらも週刊誌『週刊鶏鳴』編集部に配属された新人記者。仕事をやらせてもどうにも使えない松村に編集長は、この疑惑についての潜入取材を命じる。
早速ジムへ入会した松村は大峯のマンツーマントレーニングを受ける資格を得る為に肉体改造に着手。偶然知り合った馬場智則というベテラン会員の助力を得てトレーニングを始める。果たして松村は肉体改造を成功させる事ができるのか?
そして大峰颯太のあの筋肉は本物か偽物なのか?
松村は、ある大胆な方法で大峰のドーピング疑惑を検証する手段を思いつくのだが・・・
【解説】
①本作の著者は日野瑛太郎さん
本作の著者は日野瑛太郎さん。1985年の茨城県生まれの39歳。
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了者
江戸川乱歩賞を4作連続の最終候補の末受賞。4作連続の最終候補は同賞史上初だという。
②江戸川乱歩賞とは?
江戸川乱歩賞とは、1954年、大正時代から昭和時代に活躍した名推理作家の江戸川乱歩の寄付を基金として、日本推理作家協会が推理小説を奨励する為に設けられた文学賞です。
第3回以降は、長編小説を公募していて推理作家の登竜門的扱いの文学賞になっています。受賞者は正賞として江戸川乱歩像が、副賞として1000万円が贈呈されていたが現在は副賞が500万円となっています。
また受賞作は講談社より出版され、その後も同社が作家を手厚くフォローするので、メジャー作家が良く育つとも言われています。
1992年から後援に入ったフジテレビより受賞作が単発ドラマ化か映画化が行われています。
第70回になる今年は、東野圭吾、綾辻行人、有栖川有栖、真保裕一、辻村深月、貫井徳郎、湊かなえという錚々たる人気作家が選考委員になって、日野瑛太郎 著『フェイクマッスル』と、霜月流 著 『遊廓島心中譚』の2作品が選ばれました。
【感想】
第70回江戸川乱歩賞受賞作品で、推理作家の登竜門的文学賞である本賞を今年受賞したのは2作だった。その内の1作が、日野瑛太郎さんの『フェイクマッスル』。
本屋によって平積みされている単行本の帯に江戸川乱歩賞受賞の文字が踊っていたので手に取って読んでみたのだが、感想として思ったのが・・
①コレってミステリー?
②サクサク読める!
③コミカルな読み口!
だった。
まず①から、本作のストーリーは、ある日人気アイドルが3ヶ月のトレーニングでボディービル大会に出て3位入賞した。普通素人が3ヶ月のトレーニングでボディービル大会で入賞できる身体に肉体改造できるわけが無いので、あれはドーピングによる肉体改造では?という疑惑がSNSで湧き炎上。
本人は否定した上で六本木にトレーニングジムを開くという。そこである週刊誌の編集部が仕事が出来ない新人のポンコツ記者に潜入取材を命じるというお話だ。
ミステリー要素としては、「ボディービルダーとして入賞したアイドルのドーピング疑惑を探る」という点で、主人公はトレーニングジムに潜入取材を図る雑誌記者であって、ミステリーでおなじみの警察官でも探偵でもない。少々戸惑ったが謎を追っているのは間違いなくミステリーと言えばミステリーの範疇の作品です。
②の「サクサク読める」というのは、ストーリーがシンプルでミステリーとしては登場人物が少なく、難解なトリックも存在せず、伏線も少ない為と思われる。なので本当にサクサク読めてあっという間に読み終えました。
③の「コミカルな読み口」というのが、本作を読んでいてギャグがあるわけでも無いのに、何処となくコミカルな印象が漂っている。
編集部で仕事が出来ないと評価されている新人記者が、ドーピング疑惑を追ってトレーニングジムに入会。自身自らトレーニングを実体験して肉体改造に挑んで3ヶ月でボディービル大会に出れる身体に仕上がる事が出来るかを検証。更に渦中のアイドルがドーピングを行っているかを調べる為にあれこれ策を巡らし四苦八苦する様に何とも言えないコミカルな雰囲気が漂っているのだ。
主人公が知恵を絞って真剣に行っているのに読者が何ともいえずニヤついてしまう所に著者の力量が伺える。なのでミステリーと言っても殺伐とした印象も陰惨さもピーンと張った緊張感が漂うわけでもなくおもしろく読めた。
こういうミステリーもあるんだなぁ・・という印象の一作。
本当にサッと読めるので是非手にとって読んでみてほしい、そんな作品でした。
ということで本日はここまで!じゃあまたね!