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先週の9月19日、米国メジャーリーグのドジャースVSマーリンズ戦において、大谷翔平選手が、6打数6安打3本塁打10打点2盗塁の大活躍してシーズン51本塁打-51盗塁という1つのシーズンでホームラン50本、50盗塁以上を達成したのは大リーグで史上初めての快挙である記録を打ち立てた。
シーズン50本塁打-50盗塁のメジャー記録を目指して試合に望んだ大谷翔平選手はこの日、まず2安打2盗塁を決めた後、1安打。その後の第四打席から3本連続の本塁打を決めて10打点を達成。チームも大勝した。まさしく大谷Dayだった。
しかしこんな印象的な試合模様で記録を打ち立てる事が出来たのも、相手チームが逃げずに大谷翔平へ向かって来てくれたからこそ。
試合後のインタビューで敵チームであったマーリンズのスキップ・シューメーカー監督は「大谷を敬遠することは、野球的にも、私のカルマ的にも、そして野球の神様的にも、悪い行動だと思った。我々は野球をリスペクトしている。だから彼からアウトを取るように抑え込めるかどうか試してみるべきだと思ったんだ。恐れずに立ち向かったチームを誇りに思うし、野球はそうあるべきなんだ。マーリンズにとっては良くない日だったけど、野球にとっては良い日だった。」と語った。
「ここで逃げては野球じゃないだろ。偉大な相手に立ち向かって行くべきだ。恐れずに立ち向かえ。それが立ち向かった投手にも貴重な経験となる」と言っている様。
そして立ち向かい、マーリンズにとっては最悪の一日になったが、こんな素晴らしい監督が率いる敵チームあって、こんな劇的な試合が成立した。
そして球場に来たお客さんにとってまさに記憶に残る大スペクタルショーであったに違いない。こんな試合を見せられたら、「また球場に行こう」と思うはず。興行的にも「野球はおもしろい」というCM効果は絶大だろう。そんな一日でした。
そして翌日20日、記録達成した大谷翔平選手は、平常運転というが如く、対ロッキーズ戦で1ホームラン、1盗塁を決め、シーズン52-52と記録を伸ばしている。
シーズンの残り試合も後わずか。大谷翔平選手は何を見せてくれるのであろうか?
閑話休題
はい、それではいつも通り本の紹介へと参りましょうか。
本日紹介する作品は、横山信義さんの『機動部隊旗艦「大和」1-鋼鉄の守護神』です。いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
昭和16年(1941年)12月8日、日本国は米英蘭に対して開戦。航空主兵主義を掲げ空母を中心とした海軍を持って戦いに挑んだ日本海軍の支援を受けた日本陸軍によって連戦連勝、破竹の進撃を行い瞬く間にマレー、フィリピンの制圧に成功した。
そんな日本にとって次なる目標はオーストラリア。かの国を連合国から脱落させ、南太平洋における日本の覇権を確立する。そのためにはニューギニアの要衝ポート・モレスビーを奪取し、ここを拠点として豪州に圧力をかけるのである。
だが、米海軍も空母を前線に投入し、史上初となる空母対空母の対決――珊瑚海海戦が繰り広げられた。
結果は大敗。戦略目標だったモレスビー攻略も頓挫してしまった。
開戦以来無敵を誇ってきた機動部隊には、深刻な問題が隠されていたことが顕わになったのだ。しかし、航空母艦という艦種自体が抱える弱点を克服することは容易ではない。
事態を重く見た連合艦隊司令長官山本五十六は、誰もが驚愕するある決断を下した・・・
【解説】
①本作の著者は横山信義さん!
本作の著者は横山信義さん。1958年長野県生まれの65歳。
東京工業大学卒業後、本田技術研究所に入社。勤務の傍ら執筆活動をしていて、
1992年、「鋼鉄のレヴァイアサン」で小説家デビュー。
サラリーマンとの兼業作家生活を続ける。その後、会社勤めとの二足のわらじより独立。以後第二次世界大戦時期の架空戦記を多数発表し続ける作家さんです。
代表作
・八八艦隊物語
・修羅の波濤
・修羅の戦野
・蒼海の尖兵
・海鳴り果つるとき
・遠き曙光
・海の牙城
②戦艦大和とは?
戦艦大和は日本海軍が建造した超弩級戦艦。建造当時世界最大の戦艦だった。
1930年開催され締結されたロンドン海軍軍縮条約が失効後の1937年、今後米国&英国で建造されるであろう数多くの戦艦に対抗するに当って建造数で敵わない日本海軍は質の面で対抗しようと18インチ級の大砲を装備し強力な防御力を持った巨大な戦艦を建造して対抗しようと考えた。その構想の元に建造されたのが大和級戦艦である。
その一番艦大和が就役したのが1941年12月16日、同日附で第一艦隊第一戦隊に編入されました。
その後大和は就役後の訓練に入り、1942年2月12日連合艦隊旗艦に指名。
5月にはミッドウェー海戦に出撃するも後方に居たため戦闘せず、6月には米国潜水艦を発見。初めて実戦で大砲を撃つも戦果なし。
1942年8月のガダルカナル島を巡る戦いに出撃するも敵潜水艦の魚雷攻撃を受けるも無傷。以後大和はしばらく戦場に出してもらえず、日々訓練の日々。海軍の身内からも「大和ホテル」と揶揄されるようになる。
以後輸送任務に駆り出されたりするも華々しい実戦に出ることなく、戦局が米国有利になった1944年になってからようやく戦場に出してもらうも自慢の大砲で敵艦を撃つ艦隊決戦は行われず、1944年10月のレイテ沖海戦に出撃米国空母に砲撃し沈めたのが砲撃戦で敵艦を沈めた唯一の戦果である。
その後1945年、沖縄での戦いへの援護に出撃するも米国機動部隊の空母機の攻撃を受け沈没。最後まで戦艦どうしの砲撃による艦隊決戦は行われなかった。
【感想】
第二次世界大戦の仮想戦記シリーズをいろんな設定で書き続ける横山信義さんの新作がまた刊行されました。
今度の設定はオーソドックス。
政治的背景や各国の戦力は概ね史実通り。日独伊三国軍事同盟も堅持。ただドイツではヒトラー政権がクーデターにあってヒトラーが失脚。ドイツ陸軍の将軍が政権を運営していく感じに・・つまりヒトラーが軍に余計な干渉をして過ちを犯す事が無くなったわけです。それ以外は今のところ普通の設定。
物語の始まりは、昭和17年5月始まりで、開戦から6ヶ月程した辺り。日本軍は開戦以来連戦連勝、破竹の勢いで進撃しフィリピン&マレー半島を奪取。次は米国への支援補給地ともなるオーストラリア攻め。
そこでニューギニアの要衝ポート・モレスビーを奪取し、ここを拠点化しようと日本海軍は主力の空母機動部隊を向かわせるも、迎撃してきた米国海軍の空母機動部隊との間で史上初の空母VS空母の海戦が勃発!結果大敗を喫してしまう。
連戦連勝する中、あきらかになっていなかった日本海軍の弱点が露呈する。そこで海軍の連合艦隊司令長官山本五十六は、日本海軍が建造した史上最大の新型戦艦で連合艦隊旗艦の大和を旗艦から外し、空母機動部隊の旗艦とする事を決める。
戦艦大和を旗艦に据える理由は、その艦が持つ大きな大砲を必要としたわけでは無く、最新鋭の機器を持つ通信能力と搭載する水上偵察機。
そう本シリーズのテーマは「日本海軍の通信能力と偵察能力の向上」という点だと思われる。本テーマが向上する事で、海軍内の将兵の意識はどう変わるのか?そして敵国米国の動きはどう変化するのか?
大艦巨砲主義の元、日米艦隊決戦の切り札として建造された戦艦大和は、太平洋戦争が始まると連合艦隊旗艦に指名され、「連合艦隊旗艦」「切り札」がそう簡単に沈められてはならないという理由で長らく戦場に出してもらえず、戦場に出された頃にはもう手遅れで日本は敗戦への道を突き進んでいた・・そんな戦艦大和が戦争の序盤から使われていたら?という問いに応えた一作。
もちろん、本シリーズの終わり方も「日本勝利」で終わることは無いだろう。「引き分け(痛み分け)」か、「最悪までいかずの日本の負け」だろう。
後はどう戦い、どう戦さを締めるかだ。
作品の語り口は安定のいつもの横山節。敵味方双方の将兵がその場その場で決断行動し戦争を体感し語るスタイル。
シリーズ開始の巻なので、初戦の敗退の後、山本五十六の決断ははまり、戦艦大和は活躍するのだが、今後の日本海軍は徐々に大国米国の強力な戦力に追い詰められていくだろう。それをどこまで抵抗しうるのか?
いつもの通りならシリーズは8巻あたりまで続くだろう。たぶん本シリーズのテーマである「日本海軍の通信能力と偵察能力の向上」でどこまで物語を盛り上げられるか?著者の力量に期待するばかりである。
ということで横山信義の仮想戦記ものの初巻ですのでまずまず気持ちよく読めました。今後に期待しつつ本日はここまでとさせて頂きます。それではまた!