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5月31日、日本テレビは、今年1月に亡くなった漫画家芦原妃名子さんの自殺の原因と思われる自社放送のドラマ「セクシー田中さん」に関するトラブルについての自社が作成した調査報告書を発表した。

https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/pdf/20240531-2.pdf

公表された調査報告書を読み込めば判るが、日本テレビの姿勢はとにかく責任回避の言い逃れに終止したもので、SNSなどで炎上するのは当たり前のもの。

 

ジャニー喜多川氏の性加害問題の発覚時、あれほどジャニーズ事務所へ第三者機関の設置による調査を訴え事務所トップは責任を取れと追求していたマスコミの一つである日本テレビが死人も出た自社放送のドラマの制作現場の問題について、自社での調査の果て4ヶ月近く経過してあの内容なのには呆れる。

 

他人のあやまちには厳しく追求しておいて、自社のあやまちには甘く、亡くなった原作者を蔑ろにするその姿勢は、どこかの野党と同じ感じ・・・あぁ日本テレビさんも政府与党のあやまちは追求するが、同じ様なあやまちを犯した某野党の報道はほぼありませんよね?同じムジナなのですかね?

 

他人を厳しく追求し非難をするなら、自分の犯したあやまちについては、より厳格に自身を見つめ直し反省し謝るべき所は謝罪する姿勢を持たねばならぬと思うのですがどうでしょうか?

 

閑話休題

 

はい、気分を変えていつもの様に本の紹介へと参りましょうか。

 

本日紹介する作品は、久々登場!あさのあつこさんの時代小説作品

 

『おもみいたします』です。

 

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

 

【あらすじ】

 

時は江戸。五歳の時、視力を失ったお梅は、予約が一年先まで埋まっている凄腕の女揉み治療士。家族のいないお梅は、白い犬の姿に身をやつしている人ならざるモノの十丸と一軒のしもた屋に住んで日々患者の元に赴き揉み治療を行っている。

そんなある日、深川元町の大店今津屋のお内儀のお清が酷い頭風(頭痛)に悩まされているので治療をお願いしたいと依頼があった。本来は予約待ちしていただく所だが患者の様子が相当悪いと診てとったお梅は予約待ちの予定を組み替えて今津屋へ赴くのだったが・・・

 

【解説】

①本作の著者はあさのあつこさん

 

本作の著者はあさのあつこさん。1954年、岡山県生まれの70歳。

幼い時から漫画や本が好きで中学生頃から創作を書き始める。

作家となるきっかけを掴む為、青山学院大学文学部に進学。

大学時代は児童文学サークルに入って創作を続ける。

大学卒業後は創作活動の時間が取れそうだと小学校の臨時教師となるが、多忙で小説は書けず退職。その後姉の同級生だった歯科医と結婚、子育てと医院の手伝いに没頭。子どもの手がかからなくなった36歳になって創作活動を再開。

大学時代に指導を受けた作家で主宰の後藤竜二に誘われ、日本同人協会「季節風」に入会。「季節風」に連載した『ほたる館物語』が認められ、37歳で作家デビューする。ペンネームがひらがなで「あさのあつこ」としたのは、女優の浅野温子さんの間違われないようにしたため。

1997年、『バッテリー』で野間児童文芸賞を受賞する。幅広い世代の支持を得て児童文学としては異例の1000万部ベストセラーになる。

1999年、『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞を受賞。

2005年、『バッテリー』全6巻で小学館児童出版文化賞受賞。

2011年、『たまゆら』で島清恋愛文学書受賞。

主に児童文学と時代小説を書く作家さんです。

 

代表作(児童文学)

・『バッテリー』シリーズ

・『The MANZAI』シリーズ

 

・『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ

代表作(時代小説)

・『弥勒』シリーズ

・「おいち不思議がたり」シリーズ

・「燦」シリーズ

・「闇医者おゑん秘録帖」シリーズ

 

【感想】

 

今回は、久々に、あさのあつこさんの時代小説作品のご紹介です。

 

主人公は、幼き時に視力を失った少女・お梅さん。若いながら、凄腕のもみ治療士として生計を立てています。

一軒のしもた屋に一人住まいで、白い犬「十丸」と住んでいるのですが、この犬、姿を犬に身をやつしていますが、どうやら人ならざるモノの様。テレパシーでお梅と会話を交わしています。他にも天竺鼠の「先生」と心で会話するなど、視力を失ったかわりにお梅さんは人ならざるモノとの交流ができるようです

 

さてお話に戻りますと、まず「あさのあつこさんの時代小説」作品によくある、冒頭の序章でおどろおどろしいシーンから始まり、物語には剣呑な展開が待っているぞと読者に示唆。読者の関心を惹きつけます。

 

そして一転、視力を失いながらも凄腕の揉み治療士として立派に生計を立てているお梅さんの日常風景が語られ、傍に寄り添う白い犬十丸がどうも尋常ではない人ならざるモノらしいと判明する。

 

そこに「大店のお内儀お清が長年酷い頭痛で困っているので治療してほしい」という依頼が舞い込み、何かを感じたお梅は先約者達を飛び越してお清の治療に大店へ赴いて行くというお話の進行。

 

これが普通だと、視力を失った少女が周りの人々に助けられつつも揉み治療士として健気に生きていくという人情話になるのだが、あさのあつこは違う。

 

ココにミステリー要素を加えていくのだ。冒頭のおどろおどろしいシーンで読者が薄々感じていた事件性が明らかに。お内儀の頭痛の原因と長屋で起きた殺人事件。いや他にも起きていた事件の謎解きにお梅が関わっていく。

 

もちろん謎解きそのものは別キャラクターが行う。有能な岡っ引きの親分仙五郎がソレだ。物語の中盤から登場し、大店のお内儀・お清を相手に裏長屋に住む一人暮らしの女が殺された事件の謎解き話を繰り広げる。

 

もうこのへんは『弥勒』シリーズなどのあさのあつこの時代小説ミステリーの様式だ。

 

つまり本作は一見人情時代劇と見せておいての捕物時代劇(ミステリー)だったということだ。結果この騙され感はOK!ただよくある人情時代劇ではおもしろくない。もう一段上のおもしろさを提供してくれる著者に感服!

 

ミステリーなのでコレ以上はネタバレになってしまうので語らないが中盤は岡っ引きの仙五郎親分の謎解きタイム。もう仙五郎親分が名探偵コナンかと思ってしまいましたよ。

 

まだシリーズ初巻ということで、お梅の傍らにいる人ならざるモノがどうしてお梅の傍らに居るのか?そして人ならざるモノとお梅が心で会話できる事、お梅の視力を失った原因、お梅の過去、はまだ語られず次巻に持ち越し。

 

こりゃー、次巻が待ち遠しい。

 

あさのあつこが新たに展開し始めた時代ミステリー作品。是非読んでみて欲しい。お薦めです。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!