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ゴールデンウィークに入る前のXでこんな投稿がありました。

 

JRのみどりの窓口にて、

お年寄りの男性。「◯◯までののぞみの自由席を欲しい」

JR「GW中はのぞみは全席指定席です。ひかりなら・・」

お年寄りの男性「◯◯までののぞみの自由席を・・」

JR「お客様、のぞみは全席指定席で・・」

この繰り返し

 

いますねぇ、こういう、むちゃを押し通そうとする人。

それにしてもGW中は、新幹線のぞみは全席指定席とあれほど前から宣伝していても、まだこういう風なことを言ってくる人が・・

 

まあそれはいいとして、「のぞみは全席指定席で・・」とみどりの窓口のJR職員の方に言われても、自由席をくれと繰り返す老人。昨今では、こういうシルバー世代のクレーマーが増えてきているそうで、こういう方達は「自分は正しい症候群」という精神病を患っているそう。巷で良く聞く「キレる老人」もこの精神的な病の方なのだそうです。

 

とはいえ病だから許せると言えるものでもなし、こういう方を上手くいなしてお帰りいただく方法ってないもんですかね?

 

閑話休題

 

はい、それでは本の紹介へと参ります。

 

本日紹介する作品は、谷津矢車さんの時代小説『吉宗の星』です。

 

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

 

 

【あらすじ】

 

時は江戸。徳川御三家紀州藩主・徳川光貞の三男として生まれた新之助は生みの母の身分が低さゆえ母と共に虐げられた扱いを受けていた。

彼を冷たい目で見ないのは生みの母紋と乳兄弟の星野伊織と師である鉄海和尚のみ。

鬱屈した日々を過ごしていた新之助は、ある日五代将軍徳川綱吉に呼び出され、「大事なものを守りたければ高みに登れ」とけしかけられる。

新之助の心に熱き想いが芽生えたことを悟った星野伊織と鉄海和尚は新之助を紀州藩主にすべく暗躍を始めるのだが・・・

 

 

【解説】

 

①本書の著者は谷津矢車さん!

 

本書の著者は谷津矢車(やつやぐるま)さん。1986年東京都生まれの38歳

東京都青梅市に生まれ中学生の頃から小説を書き始める。

駒沢大学文学部歴史学科卒。

2012年、『蒲生の記』で第18回歴史群像大賞受賞。

2013年、『洛中洛外画狂伝』でデビュー。

2015年、角川文庫から刊行される予定の『からくり同心 景 黒い好敵手』と既に刊行されていた『からくり同心 景』が編集者が著者に無断で加筆修正して刊行されたものだと発覚し販売中止、回収、絶版されるという騒動に巻き込まれる。

2018年、『おもちゃ絵芳藤』で第7回歴史時代作家クラブ賞受賞。

 

代表作

・蒲生の記

・洛中洛外画狂伝

・曽呂利

・しょったれ半蔵

・蔦屋

・ぼっけもん

 

②徳川吉宗ってどんな人

徳川吉宗は、江戸時代中期に活躍。紀州藩第五代藩主。徳川家第八代征夷大将軍。

初代将軍徳川家康の曾孫。四代将軍徳川家綱、五代将軍徳川綱吉の再従兄弟。

貞享( じょうきょう )元年(1684年)紀州藩主徳川光貞の四男として生まれる。母は紋。幼年時は家老の加納正直の元で育てられる。

光定次男・治郎吉が病死した後は、新之助に改名、江戸紀州家藩邸で育つ。

元禄九年(1696年)13歳で従四位下右近衛権少将兼主税頭となり松平頼久に改名。

元禄十年(1697年)紀州藩邸を訪問した将軍徳川綱吉にお目見えし越前国丹生郡に三万石賜り葛野藩藩主となる。この時名を松平頼方(よりかた)に改名。

宝永二年(1705年)五月、光貞長男・綱教死去。光貞三男・頼職が紀州藩第四代藩主になる。同年八月父光貞死去。同年九月頼職死去。同年頼方は22歳で紀州家を相続し藩主に就任する。

宝永三年(1706年)伏見宮貞致親王の娘・理子を正室に迎えるが宝永七年(1710年)死別。

宝永七年(1710年)4月にお国入りした吉宗は藩政改革に着手。藩政機構を簡素化し質素倹約を徹底して財政再建を図り藩財政を立て直す。

享保元年(1716年)江戸幕府七代将軍徳川家継死去により本家血筋が絶えた為、徳川御三家より次期将軍を選ばれることになり吉宗が八代将軍に選ばれた。

将軍に就任した吉宗は、御側御用取次の新設、定免法制定、上知令制定、公事方御定書の制定、足高の制の制定、新田開発の促進、江戸町火消の設置、目安箱の設置、大奥の整備、小石川養生所の設置など享保の改革を行い、傾いた幕府財政の再建、官僚機構の改革、司法制度改革、医療制度改革などを行った。が一方で、年貢を五公五民にするなど増税を行い、農民に寄る一揆も頻発させた。また幕府だけでなく庶民にまで倹約を強いたため、経済や文化は停滞した。

延享二年(1745年)将軍職を長男家重に譲るが大御所として死ぬまで政務を行った。

寛延四年(1751年)死去。

 

吉宗は、幕府財政の立て直しの功績から徳川将軍家中興の祖とも言われる。

 

また将軍在任中に次男宗武に田安家を四男宗尹に一橋家を創設。(吉宗死後九代将軍家重次男重好に清水家を創設)コレが御三卿と呼ばれ、以後14代将軍家茂まで吉宗の血縁が将軍になった。(徳川御三家の尾張水戸の血筋が将軍家から外れた)

 

【感想】

 

徳川吉宗といえば昭和生まれの方はテレビ時代劇「暴れん坊将軍」を思い出すのではないかと思われるのだが(古い話題でスミマセンね)本書はその徳川第八代将軍吉宗を主人公にした半生記作品です。

 

時は江戸時代中期。徳川御三家の一つ紀州徳川家に生まれた三男新之助は母の出自が低いせいで周りから疎まれ蔑まれていた。味方なのは、母・紋、乳兄弟の星野伊織、勉学や人生の師である鉄海和尚のみ。

 

鬱屈とした想いを抱いて生きていた新之助は同じく母の出自が低い為疎まれてきた経験のある五代将軍綱吉の目に留まり謁見することで、心の内に隠れていた野望や反骨心に火を付けられる。高みを目指す新之助の胸中を慮った星野伊織と鉄海和尚は新之助を藩主に!将軍に!とすべく暗躍を始めるというストーリー。

 

前半は新之助を紀州藩主に!中盤は新之助を将軍に!の陰謀劇、成り上がり物語。後半は将軍になった新之助(吉宗)の政治改革話、権力闘争劇といった感じでドラマチック!

 

私自身は本書を読んでいる最中、田中芳樹さんのスペースオペラ『銀河英雄伝説』のラインハルトローエングラムを思い出してしまった。ラインハルトの成り上がりと皇帝となっての政治改革、財政改革に勤しむ姿、そして彼の成り上がりを助ける親友であるキルヒアイス、や家臣オーベルシュタインの姿が本書の主人公新之助や星野伊織にオーバーラップされていく。

 

そして遂に将軍となった新之助だったがその傍らには・・・

 

そして将軍となった新之助に、かつて「大事なものを守りたければ高みに登れ・・」とけしかけた五代将軍綱吉のやつれ疲れ果てた姿が蘇る。

 

将軍親政を掲げる者の孤独や過酷さが新之助を襲う。しかしもう降りることはできない。将軍親政を疎み権力の再奪取を望む門閥派の武家共と必死に戦う新之助の人生の結末とは・・・

 

なかなかドラマチックかつ平易でおもしろく書かれた英傑の生涯を描いた半生記ものです。何処かでこの本を見かけたら是非手に取ることをお薦めします。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはaoi-kiyomiさん、しまたけひとさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。