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一昨日の朝、弾むような感じで歩くランドセルを背負った小さい女の子とその後に続くスーツを着たお父さんお母さんらしき男女を見かけました。

 

「あぁ、入学式・・」

 

頭上には7部咲きの🌸桜の花が・・

 

新しい世界が開いていく・・

 

「思いっきり楽しんでね・・」

 

閑話休題

 

はい、それでは本の紹介へと参りましょうか。

 

本日紹介する作品は、

佐々木譲さんの『警官の酒場 道警・大通警察署』です。

 

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。 

 

 

【あらすじ】

道警の不祥事に起因する警官射殺命令に抗った事で捜査の第一線から外され続けてきた佐伯宏一だったが、腐る事なく職務に邁進したことで重大事案の検挙率は道警一。そんな実績と長い時間が道警の現上層部を動かし佐伯らの制裁解除に繋がり、佐伯へ警部昇進試験受験の命が下った。揺れる佐伯の心。

そんな中、苫小牧の競走馬育成牧場で強盗殺傷事件が起こり4人組の容疑者が札幌方面に逃走を図るのだが・・・

 

 

【解説】

 

①本作の著者は佐々木譲さん

 

本作の著者は佐々木譲(ささきじょう)さん。1950年北海道生まれの74歳。

夕張市に生まれ幼小時札幌に移り北海道札幌月寒高等学校を卒業後、広告代理店や本田技研工業で広告関連の仕事に従事する。

1979年、『鉄騎兵、跳んだ』で文藝春秋オール読物新人賞を受賞し作家デビュー

1990年、『エトロフ発、緊急電』で第43回日本推理作家協会長編部門賞、第8回日本冒険小説協会大賞、第3回山本周五郎賞受賞。

1995年、『ストックホルムの密使』で第13回日本冒険小説協会大賞受賞

2002年、『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞受賞

2008年、『警官の血』で第26回日本冒険小説協会大賞受賞

2010年、『廃墟に乞う』で第142回直木賞受賞

2016年、第20回日本ミステリー文学大賞受賞

 

歴史モノや社会派の警察小説を重厚かつ丁寧に描く作家さんです。

 

代表作

・第二次大戦三部作(ベルリン飛行指令、エトロフ発緊急電、ストックホルムの密使)

・道警シリーズ(笑う警官、他)

・警官の血シリーズ(警官の血、警官の条件)

・鉄騎兵が跳んだ

・天下城

 

 

②『北海道警』シリーズとはどんなお話?

 

『北海道警』シリーズは、『笑う警官』を初めとする北海道警察を舞台とする警察小説。2004年の『笑う警官』から2024年の本書『警官の酒場 道警・大通警察署』まで20年間に11冊が刊行されている。

 

シリーズ初巻の『笑う警官』のストーリーは、ある日札幌のマンションで女性警官の遺体が発見される容疑者とされたのが彼女と付き合っていたとされる津久井卓巡査部長。「彼は麻薬の常習者で、拳銃を所持しているので市民の安全の為にも彼を射殺せよ」と早々と射殺命令が下る。そんな中、県警大通署の佐伯宏一の元に旧知の津久井から、自身に冤罪が掛けられているとの連絡が入る。彼は北海道警察における裏金事案について道議会の百条委員会で証言する予定だったのだ!道警上層部の証言者抹殺の陰謀だと受け止めた佐伯ら道警有志は密かに津久井を支援し彼を道議会の百条委員会に送り届けようとするのだが・・・という24時間を描いたお話。

 

以後、道警幹部に疎まれた佐伯宏一新宮 昌樹、津久井 卓は閑職に追いやられるが彼らは腐る事なく警察官として本分を全うしようとそれぞれの部署で精励するのだった・・・という北海道警察大通署でのある日の日常を描いた警察小説シリーズです。

 

 

【感想】

 

2004年『笑う警官』から始まった『北海道警シリーズ』も今年で20年!

およそ2年に一冊ペースで11冊目。

このシリーズとの読者としてのお付き合いも長くなった。

 

主人公の佐伯宏一を始めとする北海道警の仲間達はその間、例え閑職で冷や飯を食わされても、警官としての誇りと矜持を旨に日々坦々とそれぞれの職場で全力を尽くしてきた。

 

そんな北海道警のある日を切り取り緻密な筆致で描いているのが『北海道警シリーズ』の作品群だ。そしてこのミステリー話の合間に垣間見せる彼らのプライベートな一面は物語にリアルさと奥行きを与えている。

 

特に主人公の佐伯宏一とヒロイン小島百合の大人の恋模様は、一歩一歩相手との間合いを詰めていく感じでゆっくりじっくりと進んでいたのだが、前巻で佐伯の家の事情(老齢の親の介護問題)で結婚を諦め、離別れるという事態に。

中年男と結婚適齢期を過ぎつつある年の差カップルに起きた悲運にして現実じみた事態が描かれ、少なからず読者に精神的打撃を与えていたのだが、本作ではそこに希望の光が差し込んでいる。

 

もうこれだけで、『北海道警シリーズ』を愛し読み込んできたベテラン読者は歓喜。

 

そして物語の端緒である『笑う警官』において、北海道警察内の不正告発に協力した事で道警上層部から睨まれ窓際に追われ、同僚達からは距離を取られながらも、日々坦々と警察官として全力で仕事を続けてきた彼らに光が差し込んできた。

 

それは佐伯とその仲間達に新たな生活への扉が開く転機となる。

 

そのポジティブな結末には読者をホッとさせ。彼らの行く末を応援する気分にさせてくれた。

 

そんな本作で『北海道警シリーズ第一部』は終了!・・んっ、第一部?

 

著者の代表作で20年の長きにわたって描いてきた警察小説シリーズだが、これで終わりとする事なく、まだこれから次の展開が在るという。

 

著者もかなりの年齢になってきたが、まだまだ精力的!これでまた新たな『北海道警シリーズ』を待つ楽しみが出来た。

 

でも佐々木さん、また2年も待つのは待ち遠しいから早く新シリーズの初巻を出してくださいね。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはコージーワークさん、なかのやさん、の写真素材が写真ACを通じて提供されています。