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昨日、某ショッピングモールへスマホ関連の事で開店直後に行きました。

で、用事の前にトイレに立ち寄り行為をした後トイレを出ようとした時、個室のドアが開いた状態のまま、高齢の男がトイレットペーパーホルダーをガチャガチャと音を立てて何かイジっている。

ちょっと変な印象を持ったが、店舗での予約時間もあったのでその場を通り過ぎ手を洗ってトイレを出て用事を済ませに行ったのだが、後で思うと、あれはトイレットペーパーホルダーからトイレットペーパーを抜き取り盗もうとしていたのでは?という考えが思い浮かんだ。

 

この頃、スーパーなどの小売店や公共施設のトイレでトイレットペーパーを盗む輩が出ているという。時にはあまりの多さに、盗難対策にトイレットペーパーのロール側面に施設名をスタンプして印字したものさえある。

 

トイレットペーパー泥棒というなんとも情けない犯罪場面に遭遇したかもしれない事に驚き。また人が通りかかってもその行為を辞めない男のその大胆さに驚きました。

閑話休題

 

はい、それでは本の紹介へと参りましょう。

 

本日紹介する作品は、結城充考さんの時代小説、『首斬りの妻』です。

 

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

 

【あらすじ】

時は天明。戦無き天下泰平の世。

篠山藩江戸詰め奥右筆渡部嘉右衛門の娘リクは退屈な藩邸暮らしを嫌い剣術に勤しむ女武道。市中の堀内道場へ通い日々汗を流していた。

そんなリクに舞い込む縁談話。相手は幕府から御試御用を司る山田家の養子となったばかりの三輪源五郎だった。当時、罪人の斬首を担当する山田浅右衛門は首斬りの一族として忌み畏れられていた。ゆえに父や藩は縁談に反対し、すぐに断ろうとする。しかし源五郎の剣技と立ちふるまいを目にしたリクは、その深い度量に惹かれるものを感じて・・・

 

【解説】

 

①本作の著者は結城充考さん

 

本作の著者は結城充考(ゆうきみつたか)さん。1970年香川県生まれの53歳。

生まれは香川県高松市だが少年時代は埼玉県で育つ。

高校時代からSFや時代小説に傾倒。映画の自主制作に携わる。

20代後半より小説の執筆に着手。

2004年、『奇蹟の表現』にて第11回電撃小説大賞銀賞受賞。

2005年、『奇蹟の表現』が電撃文庫より刊行されメジャーデビュー。

2008年、『プラ・バロック』で第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。

2015年、テレビ朝日にて『クロハ機捜の女性捜査官』のタイトルで、『プラ・バロック』がテレビドラマ化。

主にSF小説、ミステリー作品を得意とする。

 

代表作

・『奇蹟の表現』シリーズ

・『クロハ』シリーズ

・『捜査一課殺人班イルマ』シリーズ

・躯体上の翼

 

②山田浅右衛門とは?

 

山田浅右衛門とは、江戸時代、幕府から御試御用(刀の試し斬り役)死刑執行人を努めていた武家の名です。世間からは「首切り浅右衛門」「人斬り浅右衛門」とも呼ばれていました。

御試御用は幕府腰物奉行の支配下にあったれっきとした幕府御用でしたが山田浅右衛門は旗本では無く、身分的には浪人でした。

何故「浪人」という立場だったのかは「死の穢れを伴う役目のためにこうした措置がとられた」という説や、「旗本では行えない役目外の収入を得ることが困難となるため」や「御試御用は世襲ではその技能を果たしうる者が出ない可能性がある為」という複数の説が唱えられています。実際山田家では実子が居ても養子を取って跡を継がせた事例が確認されています。

また山田家は「浪人」と言ってもかなり裕福な家で、役目である死刑執行役としての収入は低かったものの幕府からの御試御用での収入や、旗本、大名家から頼まれる試し斬り&刀剣鑑定目録付けでの収入、死刑執行後の遺体下げ渡しの特権による遺体から取り出した肝臓、脳、胆嚢、胆汁を原料とする労咳など難病に効くとされる薬の製造販売により莫大な収入があり裕福だった(一説によると3~4万石の大名級の資産)と言われています。

 

本作に登場する山田家に養子として入り継ぐ事になった三輪源五郎は五代目山田浅右衛門吉昌だと思われます。

 

【感想】

本作は「首斬り人の家」山田家に養子として入る青年三輪源五郎に想いを寄せたお転婆武家娘の渡部里久(リク)の恋とサスペンスの物語です。

 

リク(渡部里久)は、武家の娘としては異色の存在。

年頃の娘らしい花嫁修業や習い事には目も向けず女だてらに剣術にのめり込む女武道

舞い込んできた縁談話も気に入らない話なら父親にはっきり断る気の強いお転婆娘でトラブルメーカー。

 

そんな女武道のリクが通っている剣術道場で見惚れたのが、幕府御試御用で死刑執行人の家山田家の養子候補である三輪源五郎。

 

彼の深い度量と凛々しさ、肝の座り方に惚れたリクは彼との将来を夢想する。

 

しかし彼は、世間から「首斬り人」と忌み嫌われる山田家の養子候補。実は内々に篠山藩奥右筆(高位文官)の渡部家にリクとの縁談話が舞い込んでいたのだが、篠山藩もリクの父嘉右衛門も「首斬り人の家」との縁談を断っていた。そしてリクには通っている道場の弟子仲間で幕府先手組の旗本向井重之助との縁談話が持ち上がっていた。が、源五郎を慕うリクはそれを断る。断られた向井はリクをなんとしても嫁に迎えたいということで、ここに恋の鞘当て話が持ち上がる。

 

「リクは首斬りの妻に、なりとうございます」

 

それとは別に時代背景として天明の飢饉からの江戸の政情不安から来る、「辻斬り」米価格の高騰から来る「打ち壊し」という事件に首を突っ込んでしまったお転婆リクの身に振りかかる危難。果たしてリクと源五郎の運命は!事件の犯人は誰なのか?というサスペンス。

 

この2つの要素が合わさってできている時代小説が本書です。

 

武家のお転婆娘と首斬りの家「山田家」の養子との恋とサスペンスの2つのドキドキが見もの。

 

また短い文章ながら、忌み嫌われる「首斬り人の家」との縁談を嫌悪し、娘の良縁を願う父親の想いも感じられてGood!

 

ラストの 父嘉右衛門の娘を想いながらも放たれるセリフでの物語の〆に、娘の源五郎への想いの強さに根負けした父親の悲哀と娘を想う気持ちが現れていてイイと思います。

 

本作、なかなかおもしろいと思うので何処かでこの本を見かけたら手に取って読むことをお薦めします。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはnomnomさん、シルバーバック2さんの写真素材が写真ACを通じて提供されています。