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閑話休題
はい、それでは本の紹介へと参ります。本日紹介する作品は!
土橋章宏さんの『縁結び代官 寺西封元』です。
いつもとおりあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
時は江戸時代後期、文化文政の時代。
御徒組頭の寺西封元は、突然幕府老中・松平定信に呼び出しを受けた事に焦っていた。先日。定信の行列に農民による駕籠訴が殺到した時、農民の持っていた訴えの手紙の内容を大声で読み上げたのだ。その事で定信の元に訴えの手紙が渡ったのだが・・・
「あの事で罰せられるのか」と思い、定信の元にやって来た封元だったが、定信は身分も下位であるが昌平坂学問所の学問吟味で優秀な成績を修め四書五行や心学も学びお努めにおいても不合理だと思えば旧来のやり方にこだわらず大胆に変えるという柔軟性を持った封元にある仕事を任せようとしていた。
その、ある仕事とは、長年の飢饉で農民多数が逃散し疲弊し荒れた天領である陸奥国白川郷塙村の代官の仕事だった・・・
【感想】
本作を読んで「こんな男がいたのか?」というのが第一印象である。
日本各地に知られざる偉人が数多く存在しその地では語り継がれているけれど、全国的には知られていない人物は数多くいる。
そんな一人が本作の主人公・寺西封元である。
寺西封元は江戸幕府の役人で幕府直轄領である「天領」の一つ陸奥国(現在の青森県、岩手県、宮城県、福島県と秋田県北東部にあたる)白川郷塙の代官(村長・町長・市長の様な立場)であった実在の人物である。
そんな幕府の一小役人だった彼の頌徳碑が彼の地には多く建てられ偉業を讃えられているという。
それは江戸の文化文政の頃、東北地方を中心として飢饉が頻発し、農村では餓死者が多数出て、農民の間では子の間引きが行われ、年貢を収められぬ農民が逃散して、荒廃の一途を辿っていた時、彼は着任した地の農村の復興に尽力し成功させたからである。
彼は一般的に前例主義の役人(公務員)であるのにも関わらず、合理主義者でアイデアマン。大胆に政策を変更実施し農村の復興させることに成功。そしてこの政策は幕府・各藩にも採用され各地の農村を復興させた。
私欲を捨て無私の心で生涯を農村復興に尽力し続けた幕府の小役人は農民たちにとって神様仏様になった。
彼の葬儀の際には近隣1万人を超える参列者が集まったという。
一人の小役人が腹をくくって大事に挑んだ事で多くの命が救われた。この男もすごいが彼を抜擢し前例をくつがえす政策を好きにやらせた上司もすごい。
そんな幕府の小役人の苦悩と奮闘の日々を描いた本作は痛快であり胸がポッと温かくなる。
初春のこの時期に読むのが相応しい一冊だと自分は思います。
お薦めです。
【解説】
①本作の著者は土橋章宏さん
本作の著者は土橋章宏(どばしあきひろ)さん。1969年大阪府生まれの54歳。脚本家。
関西大学工学部卒業後日立製作所に入社。2000年に退社し自身のWeb制作会社を立ち上げる。2008年、Web制作会社の経営の傍らシナリオ・センターのシナリオ8週間講座でシナリオを学び、TVドラマ、ラジオなどの脚本、小説を手掛ける様になる
2009年、「スマイリング」にて第13回函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ受賞。「海煙」にて第13回伊豆賞受賞。第18回シナリオS1グランプリ入賞
2010年、第1回MONO-KAKI大賞受賞
2011年、城戸賞入選。第3回TBS連ドラシナリオ大賞入賞
2015年、「超高速!参勤交代!」にて第38回日本アカデミー賞最優秀脚本賞受賞
代表作(脚本)
◎映画
・超高速参勤交代!
・超高速参勤交代リターンズ!
・NINJA THE MONSTER
・さむらいマラソン
・引っ越し大名
◎ドラマ
・無用庵隠居修行
・父、ノブナガ
・くノ一忍法帖蛍火
ほか
②寺西封元という人物はどんな人?
寺西封元(てらにしたかもと)は、江戸時代文化文政期の幕府役人。天領である陸奥国白川郷塙(現、福島県塙町)6万石の代官としての実績が讃えられている。(後に小名浜領3万石、伊達郡桑折陣屋3万石、半田銀山、川俣代官所の2万石をも治める様になる)塙代官として、儒教の五倫五常を平易に説いた、いわゆる寺西八ヶ条を広めるなど農民の教化に努め、特産物の創出や各種の政策を実施し間引きの横行などによって生じていた人口減少に歯止めをかけるなど農村の復興に尽力した。
1818年、勘定組頭も兼務し江戸在勤となるが1820年には桑折代官に復帰、そのまま死去するまで桑折にて代官職を全うした。死後、彼の遺徳を偲び旧領内9カ所に寺西神社をはじめ生祠,頌徳碑が建てられた。
③頌徳碑とは?
頌徳碑(しょうとくひ)とは、偉人や先駆者などの徳や偉業をほめたたえる文章を刻んだ碑の事。
という事で、本日はここまで!ではまた!