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1月2日、羽田空港の滑走路で、日本航空の旅客機が海上保安庁の航空機と衝突して炎上した事故においてJALの乗員の冷静沈着で適切な対応で燃え盛る乗機から乗客367人全員を18分で脱出させた事が海外のメディアで高く評価され報道がなされている。

CAは機内から炎上する機体の状況を見て取り前方のドアからのみ脱出をする決断をし乗客を落ち着かせて冷静に避難誘導を行い。機長は乗客脱出後、機内をすべて見回り残っていた乗客を発見し脱出させるなどその勇気と機長としての役目をしっかり果たした。そして日本人乗客もパニックにならず落ち着いて乗員の誘導に従い整然と脱出した。乗客がパニックになって暴れたりもたついて余分な時間を消費していれば犠牲者が出ていたはずで、日本人の冷静沈着な行動に世界中のマスコミ報道は絶賛の嵐である。

 

ところが翻って日本のマスコミの報道はと見れば、事故発生直後からJAL乗員の瑕疵をなんとか見つけてやろう、報道してやろうとの悪意さえ感じる報道ばかり、その中でも貨物室に収容されていたペット2頭を救わなかったと大きく報道したことで、ネットでは「ペットも救え!」「ペットは貨物室ではなく乗客と一緒に乗客スペースに乗せるべき!」などの声も上がり、賛否両論で炎上してしまった。

 

この件では、日本の報道機関のおそまつさが露呈した事に加え。「ペットの乗客スペースに飼い主と一緒に乗せるべき」という論を声高に叫ぶ方々が、ではソレを航空会社に実現してもらう為の方策を示さず、ただ要求のみを叫ぶ事態にあきれてしまった。「ただただ感情論で私達の要求を通せと声を大にして叫べば」航空会社側が責任問題や対応の面倒臭さを考慮して最悪貨物室内も含めて生き物の積載を辞める可能性もあるのにだ。ただただ具体論を提示せず「自分たちの為にサービスしろ」と持論を押し通し要求するだけでは世の中は良い方向には変わらないと思うがどうであろうか

 

閑話休題

 

はい、それではいつも通り本の紹介へと参ります。

 

本日紹介する作品は、時代小説のヒットメーカー、佐伯泰英さんの

『恋か隠居か 新・酔いどれ小藤次(二十六)』です。

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

 

 

【あらすじ】

元長屋の差配だった新兵衛さんが身罷って四年の月日が経った文政十三年。江戸で伊勢神宮へのお蔭参りが流行する中、赤目小藤次と息子の駿太郎は今日も変わらず包丁研ぎの生活を続けていた。そんなある日、難波橋の秀次親分が厄介話を小藤次に持ってくる。話によると、三十間堀西岸にある爺様道場主と孫娘の二人でひっそり営む東軍新当流加古道場に三兄弟の無頼の者がやって来て、「家を出て行方不明となっていた道場主の息子が造った借金のカタに道場を明け渡せ」「真剣勝負でカタ付けてもよいぞ」と強請りを行っているので助けてやって欲しいとの事。小藤次は、思案をして駿太郎を加古道場の入門者として送り込み様子を見ようと考えるのだが・・・

 

 

【解説】

 

①本作の著者は大人気時代小説作家の佐伯泰英さん

 

本作の著者は大人気時代小説作家の佐伯泰英(さえきやすひで)さん。

1942年福岡県北九州市生まれの82歳。

日本大学芸術学部を卒業後、実家の新聞販売店を継ぐつもりだったが芸術に携わりたいと一念発起。1971年より1974年までスペインに滞在。スペインと闘牛を題材にしたノンフィクション『闘牛士エル・コルドベス 1969年の叛乱』と『闘牛はなぜ殺されるか』、小説『ゲルニカに死す』を発表しメジャーデビュー。以後南米スペイン語圏内を舞台とした冒険小説や国際謀略小説を発表するも鳴かず飛ばずに。

仕方なく路線変更で時代小説作家に転身!

1999年、初の書き下ろし時代小説『瑠璃の寺』が重版出来になるほどのヒットとなり時代小説家として生き始める。以後『密命』シリーズなどの人気シリーズを出版各社より発表。『密命』『鎌倉河岸捕物控』『居眠り磐音』『酔いどれ小藤次』の各シリーズがドラマ化、あるいは映画化されるなど映像化も行われるなどし、刊行された作品数、出版数、売り上げ金額も時代小説作家としては記録的になるなど、人気時代作家となり今に至る。80歳を超えた近年は自身の体力気力の衰えから人気長編シリーズを次々終了し、刊行ペースを落とし1~4巻程度の長さの書き下ろし作品へとシフトしている。

 

代表作

『密命』シリーズ

『古着屋総兵衛』シリーズ

『吉原裏同心』シリーズ

『鎌倉河岸捕物控』シリーズ

『居眠り磐音』シリーズ

など多数。

 

 

②『酔いどれ小藤次留書』シリーズとは?

 

『酔いどれ小藤次留書』シリーズとは佐伯泰英さんが描く『酔いどれ小藤次留書』(19+1巻)と『新・酔いどれ小藤次』(25巻~)の2つのシリーズで構成される江戸時代を舞台とした長編時代小説シリーズの事です。

 

お話の内容は、

時は江戸後期。九州外様の小大名豊後国森藩の江戸下屋敷厩番の中間・赤目小藤次は酒でしくじり藩を追放された。しかしそれは表向きの事。小藤次の真意は、主君・久留島通嘉が江戸城の控えの間にて同僚の大名四家の当主達に「城を持たぬ大名」と辱めを受けた事への報復行為を己一人で行う為だった。

 

赤目小藤次は大名四家の大名行列を次々襲撃すると御鑓を奪う。そして御鑓の返還の条件として主君・久留島通嘉へ詫びを入れさせると、一人江戸の街中に去っていった。

以後小藤次は貧乏長屋に住み包丁研ぎの仕事で糊口を凌ぐ生活を始めるのだが、詫びを入れさせられた四家の大名家の家臣達が恥辱を払うと称して小藤次の命を付け狙うのだった・・・

 

 

【感想】

 

新年早々、『酔いどれ小藤次』の新作が刊行された!

 

えっ、『新・酔いどれ小藤次』シリーズは、25巻で完結したんじゃないの?

 

佐伯先生がコレで終わりと言っていたよね?

 

そうです、佐伯先生は、近年寄る年波には勝てぬと人気長編シリーズを次々終了し、1~4巻程度で完結する小巻の長編書き下ろし作品にシフトしたはずでした。

 

ところが佐伯先生、『酔いどれ小藤次』の物語を締めたものの、孫の様な存在の赤目駿太郎を十代半ばで放り出した事が気になってしまったとの事。赤目駿太郎の剣術家としての行く末と淡い恋模様を描きたいと思い、完結を撤回しまた書き始めたというのだ。

 

まあ自分としても、お気に入りのシリーズの復活は望むところ。

25巻で新兵衛長屋の元差配の新兵衛さん身罷って4年後から物語は始まり、小籐次は老いを深め、駿太郎は身の丈六尺四寸を超える大柄の若武者に育った。

 

相変わらず母のおりょうは和歌の集いを主催し、小籐次駿太郎親子は包丁研ぎをして生活している。そこにいつも通り厄介事の助成を頼まれる小籐次と駿太郎。

 

今巻では、『ある町道場を巡る陰謀』や『旗本のお嬢様が無頼の者に襲われている所』に赤目駿太郎が助力に入るといった流れになっている。赤目小籐次はアドバイスのみ。老いた小藤次は息子駿太郎に出番を譲って見守る立場。

 

「小藤次全然活躍しないじゃん」と思うぐらい赤目小藤次の活躍は無し。

駿太郎の無頼の者達との殺陣シーンや駿太郎と助けられた女性キャラ達との間で流れる淡い恋模様が描かれていて。主人公の代替わり感が強いお話になっています。

 

ただ駿太郎は好青年の良い子ちゃんなので、物語のおもしろさでいうと物足りない。

もっと人間的深みやアクが出てこないと物語が面白くないのだが、そこはまだ成長過程の若者なのでしょうがない。

 

しかし駿太郎が主人公となるなら、いっそ題名も『新・酔いどれ小藤次』じゃなくて、『赤目駿太郎○○譚』みたいな題名で新シリーズとすればいいのに・・・佐伯先生はあくまで『新・酔いどれ小藤次』シリーズの続巻としてしまった。ココらへんが佐伯先生にも「老い」を感じる所だ。

 

しかし、駿太郎主体の物語進行だけではまだ役不足!だから小籐次ももう少し活躍させてやってくださいよ。お願いしますよ佐伯先生!

 

ということを述べながらもニュースが!本作で佐伯先生の描く長編書き下ろし時代小説作品の数が300冊になったそうです。すごい!お身体をご慈愛してもっと読者を喜ばせ続けて欲しいですね。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはnomnomさん、Arttectureさん、の写真素材が写真ACを通じて提供されています。