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昨今、出場が多い救急車の消防官の方々が制服姿でコンビニなどに寄って飲食料品を購入するのを解禁する自治体が増えてきています。

 

ところがその事を非難する意見が自治体の役所に寄せられていると聞きびっくり!

 

そもそも何がいけないのか意味が判りません?

 

もちろんこういう非難をするのは極一部のクレーマーじみた輩です。

 

そもそもいつ出動がかかるか判らない消防官の方々が制服で買い物に来てくれる方が安心できますし、町を巡回する地域課のお巡りさんやパトロールカーのお巡りさんが制服で商店に買い物に来てくれる方が地域の防犯も兼ねてくれて安心です。

 

批判する方々は、こういった公務員の方々が町に現れたら都合が悪い方なのでしょうか?変ですね?

 

閑話休題

 

はい、それでは、いつも通り本の紹介へと参りましょう。

 

本日紹介する作品は、五十嵐貴久さんの

『鋼の絆 ギンイチ消防士・神谷夏美』です。

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

 

 

【あらすじ】

近い将来起きるとされる首都直下型地震に対応する為に設立された銀座第一消防署(通称ギンイチ)は消防庁直轄の大規模消防署で日本全国から選りすぐられた消防士が集められている。

そんなギンイチに日本全国から優秀であると推薦されてきた消防士達が事実上の採用試験足る3ヶ月研修にやってきた。

消防士として十分な実務を経験し体力技量に優れた消防士達の中に、体力も実務も備わっていない女性消防士・神谷夏美が何故か加わっていた。

脱落率91%という過酷な研修が容赦なく研修生に襲いかかる。

全く訓練に付いていくことができず落ちこぼれる夏美。チームメイトは、夏美に足を引っ張られる事を隠さず研修辞退を進める。

自分でも辞めた方が良いと自覚しながらも辞退を言い出せずいる夏美。そんな時、大規模火災が発生し研修生にも出場が命じられるのだが・・・

 

 

【解説】

 

①本作の著者は五十嵐貴久さん

 

本作の著者は五十嵐貴久さん。1961年東京都生まれの61歳

1985年、大学卒業後大手出版社扶桑社入社。販売部、編集部で勤務。勤務の傍ら小説を書き始める。

2001年、長編小説『TVJ』が第18回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞

同年、『リカ』が第2回ホラーサスペンス大賞・大賞受賞

2002年、小説家としてメジャーデビュー

2007年、『シャーロック・ホームズと賢者の石』で第30回日本シャーロック・ホームズ大賞・大賞受賞

 

『TVJ』『交渉人』などの「サスペンス」

『1985年の奇跡』『2005年のロケットボーイズ』などの「青春小説」

『安政五年の大脱走』『相棒』などの「時代小説」

と、いろんなジャンルの小説を発表する作家さんです。

 

②男女雇用機会均等法って何?

 

男女雇用機会均等法というのは、企業に雇用されて働く従業員が、性別を理由にして差別を受けることがないように制定された法律です。職場において、男女間の格差をなくし、個々人が十分に能力を発揮できる雇用環境を整備するために作られました。

本作でも主人公の夏美が研修に推薦された理由が・・・

 

 

 

【感想】

 

この秋クールのテレビ放送で開始したアニメに『め組の大吾 救国のオレンジ』という作品があるが、しっかりとした取材を基にした緻密な描写と熱い人間描写に定評がある曽田正人さん原作のコミック作品の映像化で迫力ある人間ドラマを展開している

 

この作品の序盤であった様な、国民の命を護る公務員の学校を舞台とする青春小説?っていうのは『海猿』『警視庁53教場』『教場』『天神』など多数あるが、本日紹介する鋼の絆 ギンイチ消防士・神谷夏美』も、そういった作品群の一つだ。

 

本作は、近い内に起こるとされる首都直下型地震による大災害から都民の命を最大限救う目的で設立された消防庁直轄の特別な大規模消防署(※架空)『銀座第一消防署(※通称ギンイチ)』の消防官採用試験も兼ねた3ヶ月研修の模様を描いた作品。

 

このギンイチ勤務の採用試験も兼ねた3ヶ月研修には、全国の都道府県消防本部より推薦を受けてやってきた体力もあり実務もこなしてきたエリート消防官達が集う。だがそんな中、体力は基準最低レベル、殆ど実務経験無しの女性消防官・神谷夏美が入っていた。

 

実は神谷夏美がこの3ヶ月研修に推薦されて参加することになったのは、消防庁が男女機会均等法を守っていますというポーズの為に消防庁幹部が謀って参加させたもの。また彼女の父親が殉職した名消防官だったというのもありました。

 

しかしこの3ヶ月研修の教官は全国一の消防官とも謳われるの村田大輔消防司令長。彼は初っ端から油断していた研修生達に放水を喰らわし負傷者が出ても「研修中に怪我人が出るくらい当たり前。油断するほうが悪い。研修失格!」というスパルタ指導の「鬼教官」!

 

そんな鬼教官が指導する研修の内容は過酷で、体力も技術も精神も劣る夏美は早速付いていけない。あまりにも不甲斐なさにチームを組まされた研修生も他チームの研修生も皆研修辞退を夏美に迫る。内心「辞退」の気持ちがよぎる夏美だったがタイミング悪く「研修辞退」を言い出せない。

 

ズルズルと研修を受け続ける中、実際の火災現場に出場することになった研修生達や如何に・・・って感じの暑苦しささえ感じる公務員学校物語なんだが、

 

物語の前半の研修初期。夏美を除く研修生達は皆体力自慢で実務も3年以上ある現役の消防官で自己評価も高い連中。だがそんな彼らを鬼教官の村田は全く評価せず消防官失格レベルと言い放つ。反発しながらも、採用を勝ち取りたい研修生達は、ダメダメ夏美に足を引っ張られチームの評価が落ちることで自分達の評価も下がる事を恐れ夏美に研修辞退をしきりにささやく。

 

それが研修が続く中で彼ら達の心の中に変化が生まれ、自然と「真の消防官」に生まれ変わっていくのだがその件はなかなか良い感じに物語をまとめていて、この手の公務員学校物語としてはまずまずの作品だと思います。

 

もちろん満点とはいかず不可解なポイントもチラホラ!

 

夫を殉職で亡くしたにも関わらず娘が消防官になることを反対したであろう夏美の母とかの存在が全く無し。ふつうこういう人間ドラマを描くなら物語の奥行きを深める為に出演すべき主人公の両親兄弟姉妹の親族の出演が全く無いとは・・・

 

また主人公の夏美に「亡き父親の様な立派な消防官になってやろう」という熱情・覇気があまり感じられず、ネガティブな事ばかり考えている。それでいてキツい研修に心折れているのに辞退を言い出さず研修を受け続けている?全く人間性が判らない不思議ちゃんです。

 

まあ、そのダメダメ夏美がズルズルと研修を受け続けることで、周りの研修生達が消防官として大事なことに自然と気が付き実行できたのであるから夏美が辞めなくて良かったと言えるのだが釈然としない。

 

と、まあ不満点はあるが、そこそこ読める作品。『海猿』とかが好きな読者なら一度読んでみて!と思える一作でした。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはイラストKIDさん、フリーカットさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。