ブログ主です。当ブログへの訪問ありがとうございます。
イスラエルとガザ地区を実効支配するハマスとの戦いは今も止むことなく続いている。そんな中ガザ地区の病院攻撃を巡る情報戦に各国の報道機関も揺れた。
パレスチナ自治区ガザの病院で17日に起きた爆発について、ハマス側が発表した「イスラエル側の爆撃で500人以上の犠牲者が出た・・・」との内容を欧米の報道機関が報じ、それを引用する日本の報道機関もその旨を報道した。
その後、カタールに本拠を置く衛星放送ニュースチャンネル・アルジャジーラが「病院への攻撃はイスラエルの攻撃では無くハマスと協力関係にあるイスラム聖戦の発射したロケット弾が反れたものの可能性を報じ」更に各国の軍事関係組織や報道機関が攻撃後の映像を分析した結果、イスラエル軍の爆撃の跡というよりロケット弾の攻撃による可能性が高いとの分析が発表され始めた。
まだ完璧な結論とは言えないが、起きた事を検証することなく直ぐに反応するのは、戦争を行っている両側の組織による情報戦、プロパガンダに乗ってしまうことになる。
何か事あれば、直ぐに反応し結論を下すのは駄目で、一旦冷静に事を考察する事をしないと、各国報道機関も、それを見て聞く各国市民も情報戦に踊らされてしまうと私自身も反省する事しきりの出来事だった。
それにしても中東に本拠を置くアルジャジーラがパレスチナ側(ハマス側)寄りの報道をせず「イスラエルの攻撃ではない」と報道したのには驚いた。日本の報道機関の多くが第一報でイスラエルの攻撃だと報道していた。情報戦にまんまと乗ってしまったのだ。自身で裏取りもすることをせず、検証もせず、入ってきた欧米の報道を垂れ流したことは大変残念に思わざるを得ない。
閑話休題
はい、それでは本の紹介へ参りましょう。
本日紹介する作品は、伊岡瞬さんのミステリー作品、『代償』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
奥山圭輔の人生は小学5年生の時、遠縁の浅沼道子とその子供・達也が近所の団地に越してきて不穏な影が落ち始め、圭輔の小学6年生の冬のある日に起きた不幸な出来事によって完全に引っくり返った。
その後圭輔は不本意ながら浅沼家に引き取られ辛い日々を送るが、新たな友人・寿人を得たことからの縁により、忌むべき浅沼家より離れることができた。
しかし数年後、弁護士になっていた圭輔に、またもや不穏な影が落ちる。あの忌むべき男・達也より「自分の裁判の弁護を依頼したい」という手紙が送られてきたのだ・・・
【解説】
①本書の著者は伊岡瞬さん
本書の著者は伊岡瞬さん!
1960年東京武蔵野市生まれの63歳。
日本大学法学部卒業後広告会社勤務を経て、2005年『約束(いつか、虹の向こうへ)』で第25回横溝正史ミステリ大賞受賞とテレビ東京賞をW受賞でメジャーデビュー。嫌ミス作品も多く手掛ける作家さんです。
2016年、『代償』で啓文堂書店文庫大賞受賞。
2019年、『悪寒』で啓文堂書店文庫大賞受賞。
2020年、『痣』で第6回徳間文庫大賞受賞。
主にミステリー作品を発表する作家さんです。
②『嫌ミス』って何?
『嫌ミス』とは、ミステリー作品の1つのジャンルで、読み終わった後「嫌な気分」にさせられる後味が悪い作品のこと。
通常ミステリーは殺人事件が起こっても最後には犯人が判明し事件が解決し何処かスッキリした開放感を持つことが多いもの。ところが『嫌ミス』は事件発生の動機などに人間の心の奥に潜むドロドロとした闇の部分を見せられ憂鬱で後味が悪い作品なんです。しかしこの「見たくもないもの」を見せられるという所に微妙な快感を覚えさせられ癖になる作品でもあると思います。
【感想】
先月より一回だけ他の作家さんの作品をご紹介しただけで今月分も合わせて5回もミステリー作家の伊岡瞬さんの作品をご紹介させていただきましたことは、ちょっとやり過ぎたかと反省をしています。
あえて言わせて頂くと、私が伊岡瞬さんの作品に「ドハマりしてしまった」というのが理由になります。
近頃、当ブログでご紹介する作家さんが偏りだいぶマンネリ化しているという意識があったので図書館の本棚で読んだことない作家さんの著書を「あ行」から探していた際に目に入って手に取ったのが伊岡瞬さんの作品「悪寒」でした。
そこでその作品を読んで作品の世界観にドハマりして、一気に6冊もの作品を借りて読み漁った結果が、ブログでの伊岡瞬さんの作品の多数紹介になりました。
伊岡さんのミステリー作品は、すべてが嫌ミス作品ではないですが、読んでいて、時に腐臭を嗅いだ気がしたり、時に胸にムカつきを覚えたり、両肩に重りを載せられた様な感じをさせられる作品が多々あります。そう、すご~くいや~な気持ちです。
それでもページを捲る指は止める事ができないで、最後まで一気に読ませられるだけの強い魅力があるんです。
それは本作「代償」も同じ。
そして本作は迷うこと無く極上の「嫌ミス」作品!
小学5年生の時、遠縁の親戚・達也とその母・道子と知り合ったことで主人公・圭輔の平和な生活は破壊され、彼は心を病んでいく。
そんな主人公が、新しく知り合った友を得たことで、友の知り合いによって、不幸な生活から抜け出す事ができ新しい生活が始まった。
しかし平穏な暮らしをしていた圭輔の生活にまたあの忌むべき男・達也が介入してくる。
気が弱い主人公・圭輔は、忌むべき達也の悪意に対抗できるのか?
というのが本書のお話。
もうこの作品は読んでいて、何度も「読むのを辞めようか」と考えた作品で!それでもページを捲る指が止まらない。お腹の奥にどす黒い液体が貯まっていく様な錯覚を覚えながら読み切った作品。消耗しつつも。インパクトがしっかりありました。
正直本作は「嫌ミス耐性」がかなり無いと読めない作品です。なので万人には薦められない。ハマるか!読みきれずにページを閉じ二度と読まないか。二つに一つの作品。
ということで本作はお薦め!そしてこれで一旦伊岡瞬さんの作品の紹介はおしまい!
でもまだ読んでない作品が手元に残っているので、またハマった作品に出会えましたら、しばらく間を置いて紹介しますのでよろしく!
では、本日はここまで!じゃあまたね!
※当ブログ記事にはyoseiさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。