ブログ主です。当ブログを閲覧頂きありがとうございます。
昨日と今日の二日間、私の住む町内の神社では秋祭りが開かれています。
秋の風に乗って、笛と太鼓の音と若者の元気な掛け声が聞こえてきます。
昨今、私の地元では若者が減ってかなり年配の者も第一線に出ないと祭りが維持できなくなりつつあります。
少子高齢化も進むとこういった地域の行事も維持できなくなる。
秋祭りもいつまで行えるのか?
来年も再来年も、ずっとずっと笛と太鼓の調べに乗って元気な掛け声が聞こえてきますように・・・
閑話休題
はい、それでは本の紹介へ参りましょう。
本日紹介する作品は、伊岡瞬さんのミステリー作品、
『いつか虹の向こうへ』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
元刑事の尾木遼平は元刑事の中年オヤジ。ある事件をきっかけに警察を辞め、妻は離縁し家を出ていき、今は警備会社で交通整理をやって糊口をしのいでいる。そんな彼の住まいには行き場を失った男女3人が同居していた。
ある日仕事終わりに酒を飲んで帰宅の途についていた尾木は若いチンピラに喧嘩を売られ・・気がつくと自分は住まいで横になっていて、家出中だという早希という女が転がり込んでいた。
どうやら酔っ払った尾木を連れ帰ってくれたらしい。一宿一飯の恩義ということで3日ばかり彼女の居候を許したのだが、その後尾木は自分の命が関わるトラブルに巻き込まれていく・・・
【解説】
①本書の著者は伊岡瞬さん
本書の著者は伊岡瞬さん!
1960年東京武蔵野市生まれの63歳。
日本大学法学部卒業後広告会社勤務を経て、2005年『約束(いつか、虹の向こうへ)』で第25回横溝正史ミステリ大賞受賞とテレビ東京賞をW受賞でメジャーデビュー。
2016年、『代償』で啓文堂書店文庫大賞受賞。
2019年、『悪寒』で啓文堂書店文庫大賞受賞。
2020年、『痣』で第6回徳間文庫大賞受賞。
主にミステリー作品を発表する作家さんです。
②『嫌ミス』って何?
『嫌ミス』とは、ミステリー作品の1つのジャンルで、読み終わった後「嫌な気分」にさせられる後味が悪い作品のこと。
通常ミステリーは殺人事件が起こっても最後には犯人が判明し事件が解決し何処かスッキリした開放感を持つことが多いもの。ところが『嫌ミス』は事件発生の動機などに人間の心の奥に潜むドロドロとした闇の部分を見せられ憂鬱で後味が悪い作品なんです。しかしこの「見たくもないもの」を見せられるという所に微妙な快感を覚えさせられ癖になる作品でもあると思います。
【感想】
嫌ミスといったら女性作家さんだと湊かなえさん!辺りが思い浮かぶと思いますが、男性作家さんだとこの伊岡瞬さんが思い浮かぶ。
ということで先月、伊岡瞬さんの作品を立て続けに投稿させて頂きましたが、自分の中で伊岡瞬ブームが来ていまして、今回も、もしかしたら次回も伊岡瞬作品の紹介をさせて頂きます。
ということで本日は、『いつか虹の向こうへ』を紹介させて頂くのですが、実はこの作品、著者の解説でも触れましたが著者のデビュー作で第25回横溝正史ミステリ大賞受賞とテレビ東京賞のW受賞作。
本作を読んでみると、内容はかなりハードな内容で暴力の香りプンプンではあるものの、結末はちょっぴりだけど希望を持たせる終わり方。『嫌ミス』とは呼べない作品ではないかと思えます。
ある日刑事として真っ当な人生を歩んでいたが、ふと「魔が差した」事で転落人生を歩むことになった主人公の尾木は、これまた転落人生を歩むことになった男女3人と静かな同居生活を営んでいた。
そんな寄り添い合って生きていた4人の同居生活に家出中と称する若い女・早希が転がり込んできたことで風雲急を告げる。
早希が抱えていたトラブルの元である男が死を迎えたことで、地元の暴力団の会長から「死んだ男を殺した犯人を見つけろ、見つけられねばお前を埋める」と無理難題を
言い渡された主人公は、タイムリミットまで犯人探しに奔走するというお話。
タイムリミットが設定されることで緊張感が創出される演出。
上手く進まない捜査、理不尽な暴力の行使、緊迫感漂い、絶望がチラつく!そんな中。事件の謎を追い求める主人公を助けようと動く同居人達に見舞われる悪夢。その援助の果て知った事件の顛末とは・・・
ラスト本書の原題である「約束」の意味が何か判って、ほんの少し救われた気持ちになりました。
ということで「こりゃ賞取る作品だな!」と思えるハードな展開のミステリー。お薦めです。
ということで本日はここまで!じゃあまたね!
※当レビューには、set02さん、デザインKさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。

