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先月、札幌市中央区の歓楽街ススキノで男性の頭部の無い遺体が見つかった異様な事件は、今月になって主犯と見られる無職の女性(29)とその両親が逮捕された。

 

動機はまだ判らないものの、容疑者らの自宅からは切断した頭部、殺害目的&遺体の解体用に購入したと思われるのこぎり4本を含む包丁など20点の刃物、遺体運搬用のスーツケース、返り血を浴びないように用意したと思われるレインコート、遺体を撮影した動画等が見つかったという。

 

報道によると、主犯と見られる娘の猟奇的な犯行に加担した両親(母親)の証言に「娘の犯行を止めたかったが、止められなかった・・」とあり、娘可愛さなのかどうなのか、身内が犯罪を犯す事が判って、犯行を手伝ってしまう「家族」という絆の堅固さ郷の深さと一見普通に見えた一家にこういうモンスターが育まれてしまった事に複雑な想いを抱かずにはいられません。

 

閑話休題

 

はい、それでは本の紹介に参りましょうか。

 

本日紹介する作品は、当ブログの常連、堂場瞬一さんの警察小説シリーズ「ラストライン」の4作目『骨を追え』です。

 

 

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

【あらすじ】

 

警視庁に入って30年あまり、五十路を迎えたベテラン刑事の岩倉剛は思うところがあって本庁勤務を離れ所轄署勤務を望み、今度は立川中央署に赴任してきたが、着任そうそう多摩川沿いの解体工事中の廃屋から遺体が発見されるという事件に出くわす。

十年前、この付近で女子高生が失踪するという未解決事件があったことを思い出した岩倉剛は嫌な予感を覚えていた。

検視の結果、件の事件の被害者は十年前に失踪したとされた都立高校の女子高生・真中礼央と判明!事件は殺人死体遺棄事件に発展!

 

立川中央署に捜査本部が開設!本庁捜査一課と立川中央署の捜査官は十年前の事件の洗い出しに掛かるのだが捜査本部は十年前の失踪事件において有力容疑者とされた女子高生の彼氏だった三川康友に疑いをかけていて・・・

 

 

【解説】

 

①本作の著者は堂場瞬一さん

 

本作の著者は堂場瞬一さん!1963年茨城県生まれの60歳。

1986年、大学卒業後、読売新聞東京本社に入社。社会部記者や雑誌編集者として勤務する中、執筆活動を行う。

2000年、スポーツ小説の『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞でメジャーデビュー。

2012年、読売新聞社退社。専業作家の道へ。以後、主にスポーツ小説と警察小説の作品を発表し続ける。

2015年、デビュー15年目で著作100冊を達成!日本最速での達成とも言われる。

今も意欲的にに作品を発表し続けている売れっ子作家さんです。

 

②【ラストライン】シリーズとは?

 

「ラストライン」シリーズは堂場瞬一さんの警察小説シリーズの1つ。

思うところがあって本庁勤務から所轄署へと異動を志願した五十路のベテラン刑事岩倉剛が赴任先の所轄署で起きる難事件の解決に挑むという作品。

 

岩倉は、残り少ない警察官人生を鑑みて、難しい事件の捜査の際は、捜査方針が1つの方向に凝り固まり果ては冤罪事件を引き起こさない為に上司に睨まれても注意喚起する役割を買って出る事を自認している。つまり捜査本部の「最後の砦、最終防衛線」という意味で「ラストライン」という表題になっている。

 

また本作は、堂場作品の常である、他の警察小説シリーズのキャラクターからのゲスト出演が多数あるのも特徴。

 

同氏が多数の警察小説を発表している事を利用し、同じ世界線に生きているという事を前提にした「お遊び」というか堂場瞬一の警察小説世界の拡がりを体現した仕掛けで、本作にも『警視庁失踪課・高城賢吾シリーズより高城賢吾、醍醐塁が、『警視庁犯罪被害者支援課』シリーズより村野秋生、安藤梓が出演しています。

 

 

【感想】

 

一週別作品の紹介を挟んでまた「ラストライン」シリーズの紹介へと戻って参りました。

本作はシリーズ4作目。こんどは舞台を立川に変え話が展開!立川中央署に着任早々事件に巻き込まれた岩倉剛ことガンさん!

 

事件は廃屋解体現場から女性の遺体発見事案!

調べてみると遺体は十年前起きた女子高生失踪事件の当事者らしい。

十年前の女子高生失踪事件は殺人死体遺棄事件へと変化し、立川中央署に捜査本部が設置され捜査が開始される。

 

捜査は10年前の失踪事件の捜査当時有力容疑者とされた失踪した女子高生真中礼央の彼氏だった三川康友に注目集まるが、いつものように捜査方針が一つの方向に凝り固まる危険性を危惧した岩倉が懸念を呈し全方位での捜査に・・

 

そして事件捜査に犯罪被害者支援課の村野秋生が登場!亡くなった女子高生の遺族である真中家のフォローに入り、真中家家人への聞き込みを行いたい岩倉と対立!

 

物語は事件捜査を進めたい岩倉目線と犯罪被害者支援に邁進する村野目線の2つの目線から話が進むのがおもしろい!

 

事件解決の為に被害者の証言が欲しい岩倉と被害者の心労第一に考える村野と二人の立場の違いが際立つ。

 

「ラストライン」と「犯罪被害者支援課」の2つのシリーズの共演とは堂場瞬一ファンは歓喜!

 

物語は、あいかわらず丁寧な聞き込み捜査を重ねる岩倉の粘りから意外な真犯人を炙り出していくのだが、なかなか「毒」のある結末に。

 

ミステリーですから詳しく語れませんが、事件の動機・発端は、現実の世界でも良くある内容のお話で、読者の周りにも、「ここまでいかなくても、人間関係においてボタンを掛け違えてしまって上手くいかなくなった方がいるのでは?」と、思われる内容でした。

 

物語のラストに自身の犯罪が発覚し自身の未来が閉じられ絶望を味わったであろう容疑者の心の内を思うと私の胸の内に鉛の塊がどすんと落ちてきた感じがしました。うーんヘビー!

 

ということで本作は「ラストライン」シリーズの中でもかなり読み応えのある一作でした。お薦めです。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはこまわりさん、ろころこさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。