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昨年7月に暴漢に銃撃され死去した安倍晋三元首相の一周忌法要が7月8日午前に、東京・芝公園の増上寺で営まれる。一般からの献花も同日13時~16時受け入れるそうです。

 

昨年、選挙応援に奈良入りしていた元総理大臣の安倍晋三氏は7月8日11時30分頃近鉄大和西大寺駅北口付近で暴漢に銃撃され亡くなった。

 

逮捕された容疑者は「母親は世界基督教統一神霊協会(旧統一教会)に入信しその後同協会の教えに傾倒していった事で家庭が崩壊した事、その同協会と安倍元総理の間に深い関係性があったと認識し同協会への恨みを晴らす目的で・・」という事が報道された後、彼の境遇に同情した少なくない人が減刑の嘆願を行ったという。

 

正直、自分としては「減刑?はぁー、くそくらえ」と言いたい。

 

現役の政治家、しかも元総理大臣が選挙活動の最中、街頭で殺すという所業を何を持って減刑する必要があるのか?直接彼の家庭を壊した恨むべき対象でもなかったのにだ・・・

 

今も私はよく判らない。だが「減刑すべきと」そういう風に考える人も一定の数いるのだ。

 

そしてそういう極少数の意見がマスコミやSNSを通じて拡散報道され話題になる。

 

報道&言論の自由とは不愉快な事も飲み込み許さなければいけない苦いモノでもあるという事なのだ。

 

閑話休題

 

はい、それでは本の紹介へと参りましょう。

 

本日ご紹介する作品は、当ブログではお馴染みの中山七里さんのミステリー

作品『能面検事の死闘』です。

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

【あらすじ】

 

4月10日、南海電鉄岸和田駅で無差別連続殺人事件が発生!7人の命が失われた。

現行犯逮捕された容疑者の笹清政一は、大学卒業時リーマンショック後の就職氷河期で正社員にも付けず人生が狂わされたと主張、「失うものは無い自分は無敵の人だ」と噓ぶいた。

そんな笹清に「彼はロスジェネ世代の被害者だ」と一部の者が擁護の声が上がる中、

笹清を取り調べ送検する役目の大阪地検で郵便物が爆発!6人の犠牲者が発生!「ロスト・ルサンチマン」と名乗る者から、笹清の釈放を求める犯行声明が発せられた。

事件の担当を命じられた大阪地検一級検事の不破俊太郎は事務官の惣領美晴と事件の調査に向かうのだが・・・

【解説】

 

①本作の著者は中山七里さん!

 

本作の著者は中山七里さん。1961年岐阜県生まれの61歳。

幼少の頃からの読書好き。高校時代から小説を書くようになり書いた作品が、江戸川乱歩賞の予選を通過したこともあった。その後就職を機に執筆活動から遠ざかっていたが20年後に執筆を再開。この時に書いたのが『魔女は甦る』は「このミステリーはすごい大賞」に応募して最終審査までいき。

2009年、『さよならドビュッシー』で第8回このミステリーがすごい大賞に受賞。48歳での小説家デビューとなった。

主にミステリー作品を発表する作家さんだが、作風が手広いのが特徴。本人いわく「どうしたら長く小説家として続けられるだろう」と考えた末、警察小説やリーガルサスペンス、ダークでシリアスなサスペンスからコメディー要素が入ったミステリー更にプロデビュー時の作品で新たに確立した「明るく爽やかな音楽ミステリー」と作風は変幻自在。更に読者を楽しませる為に、物語の最後にそれまでのストーリーの世界観をがらりと変えるどんでん返しが仕掛けられていることが多く「どんでんがえしの帝王」なる異名で呼ばれているとか。読者を楽しませる努力を絶やさない作家さんです。

 

 

②『能面検事』シリーズとは?

 

『能面検事』シリーズは中山七里の描く警察小説(検察小説)作品。

大阪を舞台に、大阪地方検察庁で謹厳実直冷静沈着情実無視忖度無し、取り調べ時に能面の様に一切表情を変えない一級検事不破俊太郎の活躍を描くミステリー作品。

本作はその第3弾!

 

 

【感想】

 

本作は『能面検事』シリーズの第3作目。

 

世間を騒がせた無差別連続殺人鬼である笹清容疑者の担当になった「能面検事」こと不破俊太郎と部下の事務官・惣領美晴が、彼を釈放しようと暗躍する爆弾魔の正体を暴くお話です。

 

ここらへんは近年起きた京王線殺傷事件を思い起こさせ、また安倍元首相暗殺事件後の一部の市民が被疑者の告白した動機に同情して減刑を望む発言がSNSなどで上がるなどした事例などが発想の元になっているのかなと感じました。

 

まあそれは置いておいて、本作の基本的なスタイルは過去のシリーズ作と同じ。

 

過去に犯した過ちから、謹厳実直、冷静沈着、情実排除、忖度無し、仕事時は能面の様に表情を一切変えないベテラン検事の不破俊太郎が組織の柵や対立無視で難事件解決に挑むという作品。

 

相棒である事務官の惣領美晴は、将来検事になる事を夢持つ新米事務官で、不破とは対照的に、何かあると情実に心揺れまくり、浅はかで思い込みも激しいピエロ役。そんな彼女からの視点で物語は進む。

 

惣領美晴は、情実に囚われやすく、組織内の立場や柵に囚われていて、世間一般的なモノの見方で事件を観ている。コレは捜査する大阪府警や大阪地検内でもそういうモノの見方をしているということ。そんな彼女には犯意や犯行動機を隠し、世間一般的なモノの見方をする者を欺こうとする犯人の思惑には簡単に騙されてしまう。

 

それに対して、情実に囚われず、組織内の立場や柵を一切無視して、世間一般の常識と呼ばれている事柄さえも無視して、原理原則に沿って冷静沈着に一つ一つの事象を検証検討していく不破は犯人の思惑や仕掛けに翻弄されず真実にたどり着いていく。

 

この構図は本作を含めたシリーズに共通する点だ。

 

自分は本作を読んでいて、1990年代フジテレビで放送されていたドラマ『古畑任三郎』を思い浮かべてしまった。事件が発生すると現れる警部補古畑任三郎と部下の今泉刑事。事件に相対して単純で通り一遍等の考え方しかできないピエロで引き立て役の今泉刑事。そして全く別の視点で事件を精査し鮮やかに犯人のトリックを暴いていく古畑任三郎警部補。あの構図が思い浮かんでしまったのだ。

 

この構図が本シリーズのキモであるならば事務官の惣領美晴はずっとこのキャラクターのまま、事件の度に世間一般(事件捜査をしている警察も含む)と同じく、情実に囚われ怒り嘆き悲しみ狼狽し成長を示すことなく同じ醜態を繰り返すことになる。

 

そこはちょっと悲しく残念だ。

 

本作でもこの構図は変わらず相変わらず惣領美晴は犯人の思惑に気が付かず心を揺さぶられて事件の真相にはたどり着かない。

 

このピエロ役から降りないかぎり惣領美晴はずっとこの立場のまま・・と判っていながらも、その成長がみられない様にガッカリ。

 

次回作があったらもうちょっとでもいいから彼女の成長が観られればいいな・・と思いつつ作品を読み終えました。

 

ということで本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事には、acworksさん、AQ-taroさん、matsunoさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。