皆さんこんにちは。ブログ主です。
世はゴールデンウィーク!コロナ渦も一段落したところで、ウキウキ気分で何処かへお出かけになる方々も多いと思います。
で、自分はというと、読む暇もなく積んでいた本を読み潰す所存です。
さてさて何冊消化できるのか?
当ブログのネタにもなるのですから、がっつり消化したいものです。
閑話休題
はい、それではいつも通り本の紹介へと参ります。
本日紹介する作品は、薬丸岳さんの『最後の祈り』です。
いつものようにあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
保阪宗佑は小さな教会の牧師を努めながら刑務所で教誨師を行っている。
若き日の過ちで二人の女性の人生を狂わせてしまった宗佑が辿り着いた先が牧師であり教誨師であった。
そんな彼だったが今は一つの暗い想いを旨にある人物と相対する為に刑務所に赴いている。
それは、妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人・石原亮平。
受刑者の精神的救済をする教誨師に在るまじき想いを胸に秘め石原と会話を続ける宗佑。
死刑執行がいつ行われるか判らない中、続ける二人の対話の先にあるものとは?
【解説】
①本作の著者は薬丸岳さん
本作の著者は薬丸岳さん。1969年兵庫県明石市生まれの53歳。
若い頃は俳優を志すも断念。その後バーテンダーなどを経てシナリオを学び、日本脚本家連盟ライターズスクール66期卒業。しかし脚本家、漫画原作者を志すも断念。あらためて作家を目指した。
2005年、『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞受賞。メジャーデビュー。
2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞受賞
2017年、『黄昏』で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)受賞
社会派ミステリーを得意とする作家さんです。
②教誨師とは何?
教誨師とは、刑務所等の矯正施設において、服役中の囚人に対して、過ちを悔い改め徳性を養うための道を説く者。多くは宗教家がこれに任ぜられる。日本ではとくに真宗の僧が多く行っているそうです。
【感想】
今回紹介するお話はとてもヘビーで重いお話です。
教会の牧師を勤めながら教誨師を勤める保阪宗佑は、若い頃自らの過ちで二人の女性の人生を狂わした過去を背負い生きていた。
そんなある日、密かに見守っていた親子の名乗りもしていない実の娘がお腹の子と共に通り魔の餌食になり殺される。
通り魔は実娘も含め4人を犠牲にしていた。逮捕された犯人・石原亮平は裁判の場で反省の色も見せず、死刑判決が下っても「サンキュー」と高笑いする始末。
殺された実娘の姉・真里亜に死刑囚石原に対する最大の復讐を願い請われた保阪は教誨師としても牧師としても、してはならない復讐を行う為、石原担当の教誨師となって対面を続ける。
しかし実娘を殺した男を前に、復讐心を隠し教誨師として彼の話を聞き続ける事は、保阪の心を徐々に消耗させていく。
一方、幼少期の家庭内の不和より裏道人生を歩んできた石原は愛を知らず世を憎んで生きてきた。その先に犯した凄惨な犯罪。投げやりな心持ちの中、死を恐れずにいた自分に穏やかな語りで接する教誨師の保阪との対面で自身の内面と向き合い頑ななだった心に徐々に変化が見られる。
そして死刑囚石原と対面し続ける教誨師の保阪の姿に違和感を感じた刑務官の小泉直也は保阪の動向に注目していく。
この三者の目線で語られる物語は、薬丸岳がテーマに描く「罪とは?」「贖罪とは?」「罪人の心の再生」に集約されていく。
ラスト、死刑執行前、石原が保阪に願った事とは?
是非、この結末を読者となって見届けて欲しい。そんな一冊でした。
ということで本日はここまで!じゃあまたね!
※当ブログ記事には、くろてん、れなピさんさんの写真素材が写真ACを通じて提供されています。


