当ブログを訪問くださっている方こんにちは!ブログ主です。
4月6日、2019年に大阪府吹田市の交番を襲撃し、警察官を包丁で刺して拳銃を強奪、強盗殺人未遂などの罪に問われていた男性被告(36)に対し、大阪高裁は逆転無罪を言い渡され、大阪高検は3日、上告を断念するというニュースが耳に入ってきた。
あの事件は、容疑者がかなり準備を整えて犯行に至ったと聞いていたので、、重い統合失調症による「心神喪失」状態だったと判断され刑事責任は問えないと結論付けたのは意外だった。
正直、かなり計画的と思われる事件だと思われるのに、「心神喪失」を認定されるとは・・・それよりこの被告は、今後2005年に制度が始まってる、心神喪失者等医療観察法、医療観察法によって治療の必要性の有無や治療方法が検討されて専門の治療施設への入院、通院、必要なしが決まるのだろうが、この被告の先行きは如何に?
治療が上手くいってくれる事を心底願う自分がいる・・・
閑話休題
はい、それではいつも通り本の紹介へと参ります。
本日紹介する作品は、当ブログではお馴染みの人気ミステリー作家の
中山七里さんの『殺戮の狂詩曲』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
千葉県市川市の富裕層向け老人ホーム「幸郎園」にて入居者の老人9人が殺されるという殺人事件が発生した。容疑者は「幸郎園」に努めていた職員・忍野忠泰。
彼の犯行動機は、上級国民への嫌悪と不要老人の切り捨て論。その身勝手極まりない言い草に世間が騒然とする中行われた精神鑑定も異常無し。
9人殺害で極刑は間違い無しという状況で忍野の国選弁護人に名乗りを上げたのは、少年時代幼女殺害事件を引き起こした過去を持つ悪評塗れの弁護士・御子柴礼司だった。
勝算0%の裁判に挑む御子柴は何故この裁判の国選弁護人を引き受けたのか?
御子柴の事件調査が今始まる。
【解説】
①本作の著者は中山七里さん
本作の著者は中山七里さん。1961年岐阜県生まれの62歳。
幼稚園に入る前よりの読書好き、特にミステリー作品を読み続け、高校生の頃から執筆活動に勤しみ、大学生の頃、「謝罪」という東大安田講堂の落城の話を書き江戸川乱歩賞に応募したところ予選を通過した。
その後、就職の為、執筆活動を辞めていたが、2006年、20年ぶりに執筆活動再開
2009年、『さよならドビュッシー』にて第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞。48歳でのメジャーデビュー。当初はサラリーマンとの兼業だったが、仕事が忙しくなったので専業作家になった。
メジャーデビュー作の『さよならドビュッシー』では、「明るく爽やかな音楽ミステリー」というミステリーの新ジャンルを確立した。
②御子柴礼司シリーズとは?
御子柴礼司シリーズは、中山七里のリーガルミステリー作品。
少年時代、幼女殺害事件を引き起こした過去を持つ園部信一郎は、医療少年院を出所後、御子柴礼司に名を変え、司法試験に合格し弁護士になった。
それから数年後、御子柴は、高額報酬を要求する替わりに、どんな罪名でも必ず執行猶予や減刑、時には無罪も勝ち取る気鋭の辣腕弁護士になっていた。
しかしある裁判において御子柴の過去が暴露され世間は騒然!御子柴への嫌がらせが続出!しかし御子柴は動ずる事なく、検察有利な裁判をひっくり返すべく裁判に挑んでいく。
2023年4月現在の作品は6作。
・贖罪の奏鳴曲
・追憶の夜想曲
・恩讐の鎮魂曲
・悪徳の輪舞曲
・復讐の協奏曲
・殺戮の狂詩曲
本作はWOWOWや東海テレビ/フジテレビ系列でドラマ化もされています。
・WOWOW 2015年1月24日~2月14日『連続ドラマW』にて、三上博史主演、『贖罪の奏鳴曲』のタイトルで放映
・東海テレビ/フジテレビ系列 2019年12月7日から、要潤主演で、「オトナの土ドラ」枠にて『悪魔の弁護人 御子柴礼司 〜贖罪の奏鳴曲〜』のタイトルで放映。シリーズ第1作『贖罪の奏鳴曲』から第4作『悪徳の輪舞曲』まで放送。
【感想】
はい!またまた弁護士・御子柴礼司の新作が発売されました。
今回の事件の舞台は、富裕層向けの老人ホーム。その老人ホームで起きた犠牲者9人の殺害事件。容疑者は施設の介護職員。あっこの事件のモチーフって2016年に起きた『相模原障害者施設殺傷事件』なんじゃぁ?と頭に思い浮かぶながら読んでいく
すると、容疑者は富裕層に対して「上級国民」と称し憎しみと嫌悪感を持ち、また不要な高齢者は切り捨てるべきという偏った思想を持ち確信犯的に犯行を行っていたと判明。精神鑑定も問題無しで、極刑は免れないとの予想も立っていた。
まあそこで浮かんだ以下の疑問を頭に物語を読み進めていく・・
①御子柴は、何故金にもならない容疑者も犯行を認めている勝率0%の裁判の国選弁護人になったのか?
②勝率0%の裁判をどう引っくり返してくれるのか?
③本の帯にあった『ミステリーという技法を用いることによってのみ可能な、命あるものへの賛歌である。―杉江松恋(文芸評論家)』は、介護を必要とする老人達と身内の家族との関係性に関わりあいがあるのか?
御子柴の調査は、被害者家族や親族の被害者に対する想いに切り込んでいく。そこには富裕層であっても免れない、高齢者の介護の問題も浮かび上がる。
それでもこの事件の裁判を引っくり返す感じは無い。そして反省の念の無い容疑者。検察、裁判官、裁判員、傍聴者皆の頭に「極刑」の文字が浮かびあがる中、裁判に挑む御子柴!勝算はあるのか?という疑問を旨に更に読み進めていくと驚愕の事実(どんでん返し)が・・・
って感じで、読者である私の頭に、あれやこれや、いろんな想い、疑問が浮かびあがりながら読んでいくリーガルミステリーの読み進めはとても楽しかったです。
中山さんの作品の特徴である「どんでん返し」も、こう来たか!って感じでしたし。
そして本作を読み終わった後、疑問が解けて、はぁースッキリ!
勝算の無い裁判に挑んだ御子柴の想いを受け止めじんわり温かい読後感を迎えた一作でした。
ということでクールでドライな態度の御子柴の心の内にある想いに触れてみたい方は是非本作を手に取る事をお薦めします。
ということで本日はここまで!じゃあまた!
※当ブログ記事にはhoutyoさん、miyukiiさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。


