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平年より一週間以上早く、桜が開花しました。

 

自分の住んでいる地域でも、公園や川の土手に植えられている桜の木が五部咲き、いや七部咲きになってきています。

 

今年は、花見に行く人も多い様です。コロナ渦ももう終わったという雰囲気ですが、どうなんでしょう?もう安心してよいのでしょうか?

 

我が家には呼吸器系の疾患を持つ高齢者が居るので、まだまだ心配。

 

また変異種が出て元の木阿弥にならなければいいなと思いつつ、桜並木の下を散歩しました・・・

 

 

閑話休題

 

はい、それでは本の紹介に参りましょうか。

 

本日紹介する作品は、当ブログでお馴染みのミステリー作家、中山七里さんの『祝祭のハングマン』です。

いつも通り、あらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

【あらすじ】

 

警視庁捜査一課の春原瑠衣は、中堅ゼネコン・ヤマジ建設課長の父と暮らしている。

 ある日、父の同僚が交通事故で死亡するが、事故ではなく殺人の可能性が出てきた。さらに別の課長が駅構内で転落死、そして父も工事中の現場事故で亡くなる。

 追い打ちをかけるように瑠衣の許へやってきた地検特捜部は、死亡した3人に裏金作りの嫌疑がかかっているという。

父は会社に利用された挙げ句殺されたのではないか?だが証拠はない……。

 疑心に駆られる瑠衣の前に、私立探偵の鳥海(とかい)という男が現れ、彼の話を聞いた瑠衣の全身に、震えが走るのだが・・・

 

【解説】

 

①本作の著者は中山七里さん

 

本作の著者は中山七里さん。1961年岐阜県生まれの61歳。

幼稚園に入る前よりの読書好き、特にミステリー作品を読み続け、高校生の頃から執筆活動に勤しみ、大学生の頃、「謝罪」という東大安田講堂の落城の話を書き江戸川乱歩賞に応募したところ予選を通過した。

その後、就職の為、執筆活動を辞めていたが、2006年、20年ぶりに執筆活動再開

2009年、『さよならドビュッシー』にて第8回このミステリーがすごい!大賞を受賞。48歳でのメジャーデビュー。当初はサラリーマンとの兼業だったが、仕事が忙しくなったので専業作家になった。

メジャーデビュー作の『さよならドビュッシー』では、「明るく爽やかな音楽ミステリー」というミステリーの新ジャンルを確立した。

 

【感想】

 

法律で裁けぬ『悪党』は、司法を超えた復讐の代行者『私刑執行人(ハングマン)』が始末する。というコンセプトのテレビドラマ、1970年代から今も放送されている時代劇の『必殺シリーズ』や1980年代に放送された現代劇の私刑執行人『ザ、ハングマン』あのテイストの再現が中山七里のミステリー作品で復活しました。

 

ある意味、勧善懲悪なベタな展開のお話。でもこういう展開のお話って時代を問わず結構ウケるんですよね。

 

本来罪を犯した疑惑がある者を司法を介せず私刑するのは法治国家ではご法度。

そんな事は判っていても、私刑執行人というダークヒーローが活躍する作品がウケてしまうのは、法の網をかい潜り悪い事を行っていても法によって裁かれずに逃れる者が存在するからであり、そんな存在にイラ立ち、ストレスを感じている人が少なからずいるから。

 

こういう「法の網をかい潜る悪事を行う悪党を密かに始末する私刑人というダークーヒーロー」というストーリーには勧善懲悪モノにある爽快感があるからこそ。

 

その観点からこの作品を見てみると、どうも爽快感が薄い!その理由を考えてみると

 

①父親を事故を装って殺され、その事件の真相を探る女刑事である瑠衣というヒロインがあまりにもポンコツでイラっとしてしまう。

 

刑事の彼女、正義感は旺盛だが、直情的で感情が赴くまま行動して聞き込みも上手くこなせない。「絶対コレじゃぁ犯人は捕まらないな」と思える真相究明の為の捜査シーンが物語の半ばまで延々と見せられるのは正直苦痛でした。

 

もちろん物語的には、容疑者が捕まってしまえば「私刑執行人」の出番がありませんので、コレで良いのですが、彼女の稚拙な行動の描写が続くととにかくうんざりといつた感じなのです。

 

②またこの手の私刑執行人モノのキモは、悲惨な境遇に落ちて苦しむ被害者家族の描写と罪を逃れて高笑いする悪党との対比模様が大きいほど、私刑執行人が悪党を始末することに快感を覚えるのだが、その点においても被害者家族の苦痛、悲惨さ描写が淡白に思えたのもマイナス点なのかなと思います。

 

そして③として、物語の半ばから現れた謎の私立探偵・鳥海との出会いから私刑執行、そしてラストまでの描写が短すぎるのは、物語のバランスを悪くしていてマイナス点。

 

ということで、イマイチこの私刑執行人の物語に感情が乗り切れなかったというのが自分の感想です。

 

ですが上手くイジクリまわしたら、この私刑執行人の物語ももっとおもしろくなるはず!と思わせるモノはありました。シリーズ化もされやすいと思うので、次回作に期待!

 

ということで積極的に推せはしませんが、まずまず及第点はクリアされているかな?という感じのミステリー作品です。興味が湧いた方は、是非手にとってみてください。

 

では本日はここまで!じゃあまたね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事には、クマダさん、れんげさん、のイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。