こんにちは!ブログ主です。当ブログを閲覧くださってありがとうございます。
3月も3週目、季節は春を迎え、野山には花が咲き、鳥の声が戻ってきました。
そうなって来ると山へ出かけ、ハイキングやキャンプを楽しみたいという方も増えてくるというもの。
そんな中、昨今のキャンプブームを背景に、個人で山を購入して、キャンプを楽しむ強者も増えてきた様です。
実は山も場所によっては驚く程リーズナブルな価格で購入できると言われています。そのお値段は、わずか数百万円程だとのこと。
それならば買えるということで購入者も増えているということですが、購入してからトラブルに見舞われる方も増えているとのこと。
山の持ち主ともなれば、所有の山で起きたトラブルにも責任が及びます。台風などで山が崩れ公道や他人の土地に土砂や木材が流出したとかになると土砂や木材の撤去責任を負うことにもなります。その時の費用は数千万円~億単位の金額になることも。
後からそのことに気がついて山を手放そうとしても、山が売れない事などザラだと言います。山が安かったのも管理が大変だと判っていて誰も欲しがらなかったかもしれません。
そしてお荷物不動産を抱えて頭を抱える持ち主が!なんてことも。
レジャー目的で山の購入を考えている方は、管理責任という事も考えて慎重に検討したほうが良いと思います。
閑話休題
はい、それでは本の紹介へと参りましょうか。
本日紹介する作品は、久しぶりに登場のこの方、佐々木譲さんの代表作・「北海道警シリーズ」の最新作!『樹林の罠』です。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。
【あらすじ】
北海道警大通署刑事課盗犯係の遊軍的存在、佐伯宏一と新宮昌樹は弁護士事務所の事務所荒らしの案件を捜査していたが、弁護士事務所への依頼者に、前日起こった交通事故から発覚した拉致傷害事件の被害者の名を発見し二つの案件が関連しているのでは?と推理し拉致傷害事件で亡くなった被害者について深く掘り下げていく。
すると2つの事件の裏には旭川を舞台とした原野商法と違法伐採の案件が潜んでいた。
佐伯と新宮は、拉致傷害事件の捜査本部に参加していた機動捜査隊の津久井、生活安全課の小島百合らと協力して事件の真相を探るのだが・・・
【解説】
①本作の著者は佐々木譲さん
本作の著者は佐々木譲さん。1950年北海道夕張市生まれの72歳。
北海道幌月寒高等学校卒業後、広告代理店や本田技研で広告関連の仕事に従事した後、1979年『鉄騎兵、跳んだ』で文藝春秋「オール讀物新人賞」を受賞し、作家デビュー
1990年『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞長篇部門・第8回日本冒険小説協会大賞・第3回山本周五郎賞を受賞。
1995年『ストックホルムの密使』で第13回日本冒険小説協会大賞を受賞
2002年『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞を受賞
2008年『警官の血』で第26回日本冒険小説協会大賞受賞、2008年版『このミステリーがすごい!』で1位
2010年『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞
2016年、第20回日本ミステリー文学大賞を受賞
代表作
・第二次大戦三部作
・北海道警シリーズ
・警官の血シリーズ、など
社会派エンターテイメント、歴史ミステリー、警察小説などの作品を得意とする作家さんです。
②北海道警シリーズとは?
本作を含む北海道警シリーズは、『笑う警官』から始まる北海道警札幌大通署に勤める佐伯宏一を始めとする警官達の事件捜査の模様を描いた作品群。
シリーズ初巻の『笑う警官』は、北海道警内で密かに行われていた裏金造りの疑惑について北海道議会の百条委員会で証言する予定になっていた警官を阻む為、道警幹部が証言者の警官に殺人事件の容疑者の濡れ衣を着せ逮捕抹殺しようとする事を知った佐伯宏一を始めとする警官達が、彼の無実を証明するために密かに捜査を行っていくという作品。
北海道警の裏金作りは暴露され、事態に関与していた幹部の多くは処分されたが、道警上層部や同僚からは佐伯達は疎まれ、以後佐伯らは閑職に追いやられる。しかし、彼らはそんな待遇にもめげず警察官の本分を旨に各部署で真摯に仕事をこなしていく。
作品は、
・笑う警官
・警察庁から来た男
・警官の紋章
・巡査の休日
・密売人
・人質
・憂いなき街
・真夏の雷管
・雷に撃つ
・樹林の罠
【感想】
北海道警内での裏金作りを暴く事に助力した事で、道警内で裏切り者扱いの果て、閑職に追いやられた佐伯宏一らの、不遇な待遇を受けながらも、警官としての本分を全うすべく日々真摯に任務を全うしていく様を描いている『北海道警シリーズ』の最新作が本作『樹林の罠』です。※2023年3月時点
今作では、①弁護士事務所荒らしの容疑者を追う佐伯宏一と新宮昌樹、②交通事故から発覚した拉致傷害事件の容疑者を追う津久井卓、③父親を訪ねて旭川から札幌までやって来て保護された少女の面倒を見ることになった小島百合、とそれぞれの部署で任務に精励する警官達。そんな彼らの3つの案件が一つになる時、隠された事件が浮かび上がるという次第。
果たして彼らは隠れていた事件の闇を暴く事ができるのか?というストーリー。
この「一つ一つの事件の先に、より大きな事件が隠れていた」という展開は北海道警シリーズでは良くあるシチュエーション。各部署で精一杯任務に精励する主人公・佐伯を始めとした警官達の群像劇足る警察小説は、地味で地道な捜査模様を精緻な描写で描き、派手さは無いものの、地に足がついた表現力は読み応えばっちり。
今作は、キャンプやレジャー目的な市民が山を買うことが多くなってきた時流に合わせた事件が取り上げられています。おっ新しい!でも捜査の描写とかは本当に地味で目新しさは無いです。
前巻で、年老いて病を得ている父親を引き取る事を決めた佐伯は、付き合っていた小島百合に将来父親の介護の負担を担ってもらう事が忍びなく別れました。今回起こった事件捜査において二人は久々に再会!
だが大人な二人はお互い淡々と接し感情を表沙汰にしない。強い感情表現・描写が無い所に、「胸に秘めた想い」「諦めた想い」が感じられ、『諦観』という言葉が二人の様子から思い浮かびました。
今巻もしっかり丁寧な描写でケレン味のない実直な警察小説に出来上がっています。逆に「驚き」「新鮮味」が足りない点が物足りない。このシリーズ初期の作品『笑う警官』や『警察庁から来た男』などにあった緊張感が正直感じられない。
そこをどう評価するかで本作の評価は決まる。という事でその評価を決めるのはまだ本作を読んでいないあなた!何処かでこの作品を見かけたなら是非本作を読んでみてください!
ということで本日はここまで!じゃあまた!
※当ブログ記事には、K-factoryさん、まりんさんのイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。