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今月1日、埼玉県戸田市の中学校に若い男性が刃物を持って侵入。それを制止しようとした教師を刃物で斬りつける事件が発生し、容疑者が17歳の少年だと発表され世間に衝撃が走りました。容疑者の少年は「誰でもいいから人を殺したいと思った」という供述をしていて、その言葉に戦慄と悲しみを感じました。

幸い本件は殺人事件には至りませんでしたが斬りつけられた教師が記憶したであろう事件時の記憶がトラウマになって今後の人生に悪い影響が与えられなければいいなと切に思います。

 

閑話休題

 

はい、それでは、本の紹介へ參りましょうか。

本日紹介する作品は、小倉日向さんの『極刑』です。

いつものようにあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

 

【あらすじ】

愛娘を殺されながらも犯人に極刑を望まなかった半田龍樹は、妻とも別れ、脱サラし小さな居酒屋を営み始めた。店に流れる平穏で癒やされる空気。

 

だが常連客は知らなかった。龍樹が卑劣な罪を犯しながらも捕まる事なく更に罪を重ねる者達に制裁を与えていることを・・・

 

しかし龍樹の心は晴れない。自分のしている事も罪であることを判っているから・・・

果たして龍樹の心は救われるのか?

 

 

【解説】

 

①本作の著者は小倉日向さん!

 

本作の著者は小倉日向さん!1964年新潟県生まれの59歳。

上越教育大学大学院修了。地元での公務員生活を経て、2020年、本作『極刑』にて作家デビュー。

毒とユーモアを好み、筒井康隆、モンティ・パイソン、北野武らに影響を受けたと本人談。

現在2作目にして最新刊『いっそこの手で殺せたら』が刊行中!

 

 

【感想】

本作『極刑』は連作小説スタイルのクライムノベルです。

ページ数は383ページ 8つの章によって構成されています。

 

主人公は、愛娘を殺人事件で亡くした男性・半田龍樹。

彼は容疑者足る男と弁護士を介して交渉し、ある条件の見返りに裁判時に弁護側の証人として出廷し「容疑者には極刑を求めない」という証言をした。

その条件とは刑務所に収監されている容疑者との面会を拒まないという事。

妻と別れ、脱サラし小さな居酒屋を営み始めた龍樹は、定期的に裁判所を訪れ容疑者の男と会話を交わす。

それ以外は居酒屋の主人として店を訪れる客に癒やしを与える日々・・・

 

しかし、そんな温厚な居酒屋の主人に裏の顔が!彼は、卑劣な罪を犯しながらも捕まる事無く、更に罪を重ねる外道にもう罪を犯させない様に私的な制裁を与えていたのだ。

殺人、傷害、個人情報や犯罪の証拠を暴露するなどして外道に制裁を与えていく主人公の行き過ぎた自警主義や法律を介さない私的制裁の行動に眉をひそめ嫌悪しなくてはいけないだろうに、スカッとした快感を覚えてしまった。

 

それは、テレビドラマの必殺仕事人シリーズや古くはチャールズ・ブロンソン主演の映画『Death Wish』(邦題・狼よさらば)シリーズを観て覚えた痛快感に通じるモノでした。

 

それと同時に主人公が私的な制裁を加えた後に感じているのであろう、罪を犯した意識、虚無感、徒労感を感じさせて物悲しい。

 

とそこまでは読んでいて結構イイ感じのクライムノベルなのだが、娘を殺した容疑者が律儀に刑務所での面会に応じる様に違和感が?

 

また卑劣な罪を犯しながらも警察に捕まることもなく(※「暴走」では暴走死傷事故を犯し逮捕されながらも裁判にて悪友の偽証によって比較的軽微な刑で刑務所を出所した金持ちのボンボンの例もあるが・・)更に罪を重ねる外道をあっさり探し出して私的制裁を行っている主人公にも違和感やもの足りなさを感じてしまった。

 

もう少し外道共にたどり着く様を詳細かつ緊張感、臨場感を感じさせる描写をしていてくれたら、と思うのは著者に期待し過ぎたか。

 

まあクライムノベルとしてはまずまずの作品だと思いました。

 

ということで、必殺仕事人敵なクライムノベルな作品を読みたいあなた。一度手に取ってみることをお薦めします。

 

 

ということで本日はここまで!じゃあまた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事には、minaa_keyさん、sumito0108さん、まるうさんの写真素材がPhoto ACを通じて提供されています。