皆さんこんにちはブログ主です。

 

台風15号が去っていきましたが、今回の台風、結構風雨が凄かったですね。

 

私の住む地域でもかなりの降雨量で、近所の河川の水位もかなり高まりましたし、道路が冠水した所も、河川や上下水道のインフラ設備の排水能力が近年の長時間の豪雨に耐えられなくなってきているんだなと思います。

 

まだまだ台風が活動する季節なので今後が心配です。もうここらへんで台風の活動を終えてくれることを望みます。

 

閑話休題

 

はいそれでは本の紹介へと参ります。

 

本日紹介する作品は、第20回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作!である

南原詠 著 特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 』です。

 

 

いつも通りあらすじ紹介から参りますのでよろしくお願いします。

 

【あらすじ】

 

大人気V Tuber の天ノ川トリィが特許権の侵害を警告された。所属事務所は特許トラブルの解決を謳うミスルトゥ特許法律事務所に事態の解決を依頼!そして事務所に現れたのが、かつて特許権を盾に企業から莫大な賠償金をぶんどってきた凄腕の弁理士・大鳳未来だった。

ぶんどり屋から企業の護り手に転じた彼女は、V Tuber 天ノ川トリィを救うべく警告を発したライスバレー株式会社に赴くのだが・・・

 

 

【解説】

 

①本作の著者は南原詠さん

本作の著者は南原詠(なんばらえい)さん。1980年東京都目黒区生まれの42歳。

東京工業大学大学院修士課卒。大学院で半導体工学の研究をしていて、大学院卒業後電気メーカーにエンジニアとして就職。3年程エンジニアとして働いた後、弁理士へ進路変更を考え勉強を開始、会社内でも知的財産の部署に異動した。その後弁理士試験(国家試験)に合格。以後企業内弁理士として働きながら執筆活動開始。以後7年間で11作各文学賞新人賞へ応募した。

2021年10月、『バーチャリティ・フォール』(応募時タイトル)で宝島社主催第20回『このミステリーがすごい!』大賞受賞!

 

②弁理士って何?

 

弁理士とは『知的財産に関する専門家』です。お仕事は、

 

・特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を取得したい方のために、代理して特許庁への手続きを行う

 

・知的財産権の取得についての相談をはじめ、自社製品を模倣されたときの対策、他社の権利を侵害していないか等の相談まで、知的財産全般について相談を受けて助言、コンサルティングを行う。

 

・特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの侵害に関する訴訟に、補佐人として、又は一定要件のもとで弁護士と共同で訴訟代理人として参加する。

 

で、国家試験合格が必要な国家資格です。

 

③企業内弁理士とは?

 

著者の南原さんのお仕事である『企業内弁理士』とは?企業に所属し特許や商標、ライセンス契約の取得、知財活用のために販路開拓、特許や商標、ライセンス契約に関するトラブル対処を行う仕事です。

 

④『このミステリーがすごい!大賞』とは?

 

『このミステリーがすごい!大賞』は、2002年、宝島社、NEC、メモリーテックの3社が共同で創設したミステリー小説の賞で、ミステリー要素があればSF小説や時代小説、恋愛小説なども対象とする間口の広さで新人作家を発掘することを目指して創設されました。

本作は、2021年、第20回の大賞作です!

 

 

【感想】

 

つい最近本屋をぶらついていましたら『第20回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作!』とのポップと共に本作が平台に積まれていたので思わず手に取って購入!読んで面白かったので早速レビューしてみました。

 

本作は知的財産の専門家である弁理士の活躍を描いた企業ミステリー?です。

 

まず、「弁理士って何?」ってところから始まった物語。私こんな職業初めて聞きましたよ。弁護士、司法書士、行政書士とかは聞いたことあったけど、こんな国家資格を有する職業があったんですねぇ。特許とか商標に関する事は弁護士さんが行うものだと思っていました。

 

で、お話を読んでみると、話の筋として、以前は特許権をタテに大企業から巨額の賠償金をせしめていた凄腕の女性弁理士・大鳳未来が一転、特許侵害を警告された企業を守る」ことを専門とする特許法律事務所をパートナーの弁護士と共に立ち上げクライアントの護り人として活躍するというお話。

 

本作は本業が弁理士でもある著者が、特許や商標といった一般人が良く知らない「専用実施権」「クレームチャート」「冒認出願」などの専門用語の解説や制度の仕組みを平易に解説しつつ、知的財産に関わる企業同士の抗争をミステリー仕立てで語っています。

 

物語的には池井戸潤さんの『下町ロケット』の様な勧善懲悪的な胸熱なストーリーで、特許や商標を盾に中小企業をイジメる大企業の『悪』を正義の主人公がやっつける!という感じの物語で、爽快感が売りの作品だと言えます。

 

また本作においては被害者が今時の職業としてV Tuber を取り上げる事で目新しさを加味しているのも新鮮でしたね。ただそのV Tuber を攻撃する『悪』の手口は目新しいものではないのかもしれませんが・・・

 

一見難しそうと思われる特許権や商標権と企業の絡みとトラブル模様を平易で痛快に描いた企業ミステリー。面白いので、是非手に取ってみることをお薦めします。

 

 

 

 

 

 

※当ブログ記事にはシルエットAC様から提供頂いたイラストが使用されています。