当ブログを読んでくださっている皆さんこんにちは!ブログ主です。
本日は8月の最終週の日曜日ですね。暑い暑いとぶつくさ言っているうちにいつの間にか夏が終わろうとしています。
とはいえまだまだ暑い日が続くと思うので皆さんお身体をご自愛ください。
そういえば先週、欲しい本があって地元の本屋に無かったのでAmazonなどでその本を検索すると、なんと廃版になっていました。
でがっかりしていたんですが、ふと思いついてAmazon の電子書籍サービス「kindle」で探してみると、なんとありました!
ということで久々にkindleで書籍を購入!
実本では、売れないと出版社が判断し廃版にした本でも倉庫スペースがいらない電子書籍のkindleなら生き残る事ができるのですね。
いやー目からウロコでした。
これからは実本が廃版になっていてもKindleで探してみよっと!
閑話休題
さあそれではいつもの様に本の紹介へと参りたいと思います。
本日は、今野敏さんを代表する警察小説シリーズ、東京湾臨海署安積班より短編集の暮鐘を紹介したいと思います。
いつも通りあらすじ紹介から参りますのでお楽しみに!
【あらすじ】
江東区有明にある不動産屋で強盗致死事件が発生した。臨場する臨海署安積班。
捜査を開始すると遅れてやって来た本庁捜査一課の刑事達。係長は高圧的で所轄署員を見下す佐治係長だ。現場にやって来ると早速所轄署の捜査員を顎で使おうとする佐治に苦言を呈する安積。その直後「自分がやった」と凶器のナイフを持って男が自首してきた。早期の事件解決だと結論付ける佐治。しかし自首してきた男に疑念を抱く安積班の須田。部下の意見を聞き入れた安積は佐治に進言し自首してきた男の背後を洗うのだが・・・ ~by暮鐘~
【解説】
①本作の著者は今野敏さん。
本作の著者は今野敏さん。1955年北海道生まれの67歳。
大学在学中の1978年に『怪物が街にやってくる』で第4回問題小説新人賞受賞し作家デビュー。
1979年大学卒業後某電気会社に就職。作家とサラリーマンの二足の草鞋を履く。
1981年某電気会社を退職。作家家業に専念。
1999年空手道今野塾を主宰
2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞受賞
2008年『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞&第61回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)W受賞
2013年日本推理作家協会理事長就任のち、2014年から2019年まで代表理事
2017年『隠蔽捜査』シリーズで第2回吉川英治文庫賞受賞
警察小説、SF、バイオレンス、空手、伝奇小説、オカルト、など多彩なジャンルの作品を提供する作家さんです。
代表作
・安積班シリーズ
・隠蔽捜査シリーズ
・聖拳伝説シリーズ
・秘拳水滸伝シリーズ
・宇宙海兵隊・宇宙海兵隊ギガースシリーズ
など
②作品タイトルの「暮鐘」の意味?
「暮鐘」とは、夕暮れに鳴らす寺の鐘のこと。本作二話目のエピソードタイトルで、自首してきた男の証言の嘘に関わる言葉です。
③安積班シリーズとは?
安積班シリーズとは、今野敏さんの代表的警察小説シリーズ。
お台場をはじめとする湾岸地域を管轄する警視庁東京湾臨海警察署を舞台に、安積警部補率いる刑事課強行犯係安積班の活躍が描かれている。なお『蓬莱』から『神南署安積班』までは原宿神南署が舞台。
本作はTVドラマ化も4度されている。
・『ハンチョウ 神南署安積班』2009年~2011年放送 佐々木蔵之介主演
・『ハンチョウ 警視庁安積班』20012年~2013年放送 佐々木蔵之介主演
・『警視庁臨海署~安積班』2019年放送 中村芝翫主演
・『警視庁臨海署安積班』2021年放送 寺脇康文主演
本作『暮鐘』は、シリーズ21作目で短編集となっている。10話収録。
・『公務』 働き方改革を理由に「残業時間を減らせ」という命令を課長から下された安積だったが、どうしても納得がいかない安積は署長に直談判するのだが・・・
・『暮鐘』 強盗事件発生後、自首してきた犯人の行動に違和感を感じた部下の進言を重視した安積は自首してきた男の周辺をもう一度洗うのだが・・・
・『別館』 羽田沖のプレジャーボートで人質事件発生!水上安全課の巡視艇で現場に向かう安積達だったのだが・・・
・『確保』 警視庁指定の重要指名手配被疑者が潜む管内のマンションを監視する臨海署安積班と相良班。臨場してきた本庁捜査一課の佐治は気に食わない安積より元部下だった相良に現場指揮を任すのだが・・・
・『大物』 班員の桜井が暴力団員の恐喝事件案件での対処を巡って組対課の刑事と揉めてしまった。安積は組対課の係長に謝罪をするが櫻井は恐喝された店を再度監視したいと言う。進言を取り入れた安積は組対課に合同捜査を持ちかけるのだが・・・
・『予断』 珍しく定時に仕事が終了した安積班。安積は班員の須田、村雨、水野と共に居酒屋で会食する事にしたのだが、その居酒屋に鑑識の石倉係長が居て合流。その石倉が犯人探しのミステリークイズを安積班のメンバーに提示してきて・・・
・『部長』 臨海署に連続強盗事件の捜査本部が設置された。警視庁側の捜査員の数との人数合わせで安積班に地域課の大ベテランである大牟礼行男巡査部長が加わった。捜査一課の警部補沼田は自分より年上ながら階級が下の大牟礼を見下している様だ。そんな時容疑者が確保された。しかし大牟礼は容疑者が強盗をするわけがないと主張する・・・
・『防犯』 安積と同期の速水が所属する交通機動隊が高速隊と連携しあおり運転犯を拘束した。しかし証拠不十分で容疑者は釈放。速水は被害者にあおり運転犯が危害を加えるのではと心配し安積に対処を依頼するが安積の上司である課長は安積班の監視を許可してくれない。どうにかできないか悩む安積の耳にあおり運転犯の逮捕の一報が入ってくるのだが・・・
・『予告』 お台場で開かれるテレビ局主催の野外イベントの展示品のアニメフィギュアを盗むとの犯行予告が臨海署に届いた。メンツを掛けて全署をあげての警備体制を敷く臨海署だったが・・・
・『実戦』 青梅のコンテナ埠頭で乱闘騒ぎが発生!現場に臨場した安積班。現場は10人程が暴れていて収拾がつかない。そんな時班員の黒木が収縮警棒を手に乱闘集団の輪に切り込んで行くのだが・・・
【感想】
本書は今野敏さんの代表的警察小説である『安積班シリーズ』の短編集です。
『安積班シリーズ』はお台場をはじめとする東京都の湾岸地域管内を管轄する警視庁臨海署の刑事課強行犯第一係、係長である安積 剛志(あずみ つよし)警部補とその部下の活躍を描いた警察小説です。
今回は10作の短編をまとめた短編集スタイルを取っての刊行。一話が短いのでちょっとしたお時間があれば1エピソード読むことができます。
臨海署の刑事課強行犯一係を率いる安積剛志は、正義感が強く理不尽な事は許しておけない一徹者。とは言っても強面で暴力的な雰囲気を持たず、思慮深く物腰柔らかで落ち着いた雰囲気の男。彼を知る上司や部下、他署の者など多くの人に信頼されています。
前回の短編集(19作目)の『道標』が複数のそれぞれに人物視点から見た安積剛志の人物像を描いたものだったが、今巻では、安積係長の目を通して見聞きしたエピソード10篇が収録されている。
今巻においては、安積が長年率いてきた班員の新たな一面を知り驚き再認識したエピソードが印象的。それに加えて自分をライバル視して対抗していた捜査一課出身の相良係長が捜査一課時代の先輩に逆らって安積に配慮した行動を取ったエピソードも加えて、長年の付き合いで相手の事を見知っていると思いこんでいたが実は他人の事など容易に推し量れるものではないという事を示してくれているのが心に残った。
人のある一面を見て「あの人はこういう人だ」と断定してしまうのは自分もやりがちな事だが、他人が自分に見せているある一面以外にも多くの面を人は持っている。
人は相対する人毎に「見せる顔」が違うし、時間経過と共に心情・内面も変化していくこともある。その変化や別の顔を察することもできず最初に固定された印象で「この人はこういう人」だと人は思い込んでしまう。しかし対象者が自分の持っている印象と異なる行動した時の戸惑い、驚きを本作のいくつかのエピソードで垣間見えおもしろい。
安積班シリーズも初巻が発刊されてから24年!主要キャラクターの情報のアップデートもでき今の彼らが知れることは、このシリーズを長く読み続けているファンの一人としてとても喜ばしかったです。
本作は安積班シリーズ初見の方でも楽しめる作品ですが、できれば既刊を読んでから本書を読んでいただければなお良い一冊です。
なので本書はもちろん、シリーズ既刊もどこかで見かけたら手に取ってみることを自分はお薦めします。
ということで本日はここまで!じゃあまたね!
※当ブログ記事にはkazukiさん、minokikakuさん、のイラスト素材がイラストACを通じて提供されています。